第14話 休日って何でしょう
街案内を閉じても、答えは出なかった。
スイーツ。
劇場。
市場。
公園。
どれも気になる。
けれど。
「皆さん、休日って何をするのでしょう」
ソフィアは椅子へ座ったまま、小さく首を傾げる。
考えてみる。
思い返してみる。
しかし、答えは見つからなかった。
幼い頃。
光魔法が発現したソフィアは、教会へ迎え入れられた。
それ以来、聖女候補として様々なことを学んできた。
光魔法。
歴史。
礼儀作法。
神学。
外交。
人を救うための知識。
聖女として必要なことは、徹底的に教え込まれた。
だが、それは決して苦ではなかった。
聖女になることは、幼い頃からの夢だった。
だから毎日が楽しかった。
もっと学びたい。
もっと人を救えるようになりたい。
その一心で歩み続けてきた。
だから。
休日の過ごし方など、一度も考えたことがなかった。
「多分……」
ソフィアは窓の外を眺めながら、小さく笑う。
「私くらいの歳の女性は、恋愛とか結婚とか考えてるんでしょうね」
「ははは……」
乾いた笑いが部屋へ響く。
そして、ふと我に返る。
「……あれ?」
「私、休日以前に、普通の女の子が何をしているのかも知りませんでした」
史上初の聖王大聖女。
休暇二日目。
ソフィアは人生で初めて、自分が「普通」を知らないことへ気付いた。




