97話 ムキッ!
97話 ムキッ!
午後、昼食後…少し休んだタークはシャツを脱いで上裸、筋肉美を見せながらもトレーニングに励んでいた、腕立てだ。
ターク「ほっ!ほっ!」
勿論の事魔物退治には役に立たないが体力を向上させる事は考える猶予を作るために必要なのだ。
周りではルニャ族達もトレーニングに励んでいた。
ルニャA「るにゃ1001!るにゃ1002!」
ターク「!?」
タークはそんなルニャAの掛け声を聞いて腕立てを中止する。
ターク「まったく…数え方を教えるべきだったかー?ルニャAー…」
しかし反応せずに集中して腕立てを続けている。
腕はそこまで長くないが腕立てっぽい事をしていて、おそらく負荷は感じているのだろう、可愛かった。
さらにルニャAの他にも…ルニャB、ルニャC…ルニャIまでがるにゃ1005…るにゃ1006とカウントしている。
ターク「っ…な…なんだこりゃ…ってか…」
ターク自身も腕立てをかなりこなしていた事に気付いた、胸の張りが尋常じゃない。
その時…。
ゲマナとグリンスとヴァルドが来る。
ゲマナ「おー!今日も励んでんじゃん!」
ヴァルド「おっ!中々仕上がってんな!ターク!
じゃ!腕相撲すっか!」
ターク「断る!」
ヴァルドは豪快に笑う。
グリンス「おぉ…」
グリンスはなんか声を漏らしてた。
ゲマナ「しっかし…なんかルニャ族もタークも今日は…こう…ハードじゃない?どうしたの?」
ターク「え…?いや…なんだかさ、見られてる気がするというか、野生の圧を感じるというか。」
タークはジェスチャーをするが多分伝わってない、ゲマナの何してんだこいつの目に耐えきれずやめた。
そんな時背後に動きがある。
タークは足元に何か熱を感じるのだ、振り返るとルニャ軍団達が何か鋭い目をしてこちらを見ている。
ルニャC「ボスぅ!!あまっちょろいにゃ!!」
ターク「え…?」
ルニャF「ペチャクチャしてる暇があるならトレーニングにゃ!どうしてにゃらスクワットしながら話すにゃ!」
ルニャ軍団達は筋肉を見せるポーズを次々にとってるがルニャ族はルニャ族で変わりがなかった、可愛いだけだった。
ターク「…なんだろうな」
ゲマナと顔を見合わせるターク。
グリンス「タークの言う通り何かが近くにいるみたいだ」
グリンスがタークの横に来て周りを見渡し出す。
ターク「何か?」
???「ご名答!!にゃ…」
モチッ!!!モチッ!!!足音を鳴らしながら歩いてくる何か。
ルニャI「にゃ…あ…あれは!!」
ルニャ族達が大きく目を見開いて固まる。
身体が大きいムキムキの…ルニャ族だ。
普通ルニャ族はタークの膝くらいまでの大きさ、目の前のルニャ族はヴァルドと同じくらいの大きさだ、おそらく身長185cm。
ターク「…なんだぁ?」
ゲマナ「これまた…凄いの来たね…」
ルニャッスルビルニャー「俺はルニャッスルビルニャーにゃ!よろしくにゃ!」
肉球を差し出して。
ターク「あ…え…どうも」
タークは肉球を両手で包む、柔らかい。
ルニャッスルビルニャー…以後ビルニャーは茶トラ猫の色合いとまったく同じ、身体は大きくところどころ筋肉のシルエットは見えるが毛があるのでデカイ可愛い立った猫だった。
ゲマナ「ってかすごーい!もふもふー!お日様の匂いー!」
気付いたらゲマナはビルニャーの背後にいて抱きついて頬を擦りつけていた。
ルニャG「にゃんてこった!伝説のニャディビルニャーが来てしまうとは!」
ターク「なんでもニャに変えるのな…」
グリンス「ところで、どのような用があって来たのだ?」
グリンスの純粋な質問だった、首を傾げて聞く。
ビルニャー「オレは旅をしてる最中にゃ、ちょっとした勝負したい時に丁度筋肉の音がしてやってきたにゃ、でも見た目だけでへぼそうにゃ」
タークを見て確かにそう言い放った。
ターク「なっ!」
ルニャ族が同時にタークを見てくる。
ボスに対する言われたままで良いのにゃ?という顔だ。
ターク「……俺の筋肉は、誰かと比べるための筋肉じゃないのさ…」
流石ボスにゃ!のまなざしを背中に向けられるターク。
そう言ってヴァルドの後ろにいく。
ヴァルド「なんだ?」
ターク「今回は!こいつが相手になる!」
ビルニャー「にゃ?」
ビルニャーはヴァルドを見るなりニヤリとする。
ビルニャー「こいつ強いのかにゃー?タフガイぶってるだけにゃー!」
ビルニャーはバカにするように笑っていた。
ゲマナ「性格良いわけじゃないのね…」
ゲマナは苦笑いしながら。
ヴァルド「んだー?このイケすかない猫はよぉ…一捻りだっての!がははは!」
ヴァルドは笑った後に鎧を外してインナーで筋肉を見せる。
ヴァルド「俺の筋肉は立派な骨付き肉でできてるんだぜ!がはははっ!」
ムキッ!と見せる。
ビルニャー「甘いにゃ!オレの筋肉はプロテイン配合・骨付き肉味のチュルチュルで作られてるにゃ!直飲みだにゃ!」
ヴァルド「チュルチュル!?んなペースト状のモンでこの大胸筋が育つかぁ!」
ビルニャー「なめるなにゃ!チュルチュルはゴールデンタイムに舐めるだけで上腕二頭筋が爆発する神の粉にゃ!」
ターク「粉なのか?ペースト状のなのか?」
ビルニャーとヴァルドの言い合いは続けていて取っ組み合い直前だった。
ヴァルド「んだてめぇ!」
ビルニャー「やるにゃか貴様!」
ビルニャーが渾身の猫パンチを繰り出そうと構える。
ヴァルド「へっ!こいや!!」
ブォン!風切り音。
ガシッ!
砂ぼこりが舞うなか。
グリンス「そこまで…」
グリンスがビルニャーの肉球を抑えながら。
グリンス「もう少し平和な勝負にするべきだ、それこそ腕相撲なんてどうだろうか?」
ヴァルド「ふんっ…望むところだな、まっ!その
ニャー公が?チビってチュルって…なんか…出して…逃げないなら…」
ターク「いやボキャブラリーなくてキモい表現なってる」
その時、遠くからブーツの音。
セリーヌ「騒がしいと思ったら…何してるのよヴァルド」
ゲマナ「お!セリーヌー!今良いところに来たねー!良い勝負が見れるよー!」
ゲマナは体育座りする(足の長さが足りてない)ルニャ族の隣に座ってヴァルドとビルニャーの戦いを待っていた。
ルニャA「この戦いは伝説になるにゃ…」
ルニャ族の一人が立ち上がり白黒のラインの入った装備と黒いサングラスのような装備を身につけて。
ルニャD「公平な勝負の為審判をするにゃ」
ルニャDはもう一つサングラスのような装備を取り出しセリーヌに差し出す。
セリーヌ「な…なんで私なのよ!」
…
その後、ターク、グリンスは座るルニャ族とゲマナの近くに立っていて。
ヴァルドとビルニャーは四角い木箱を跨いで向き合っていた。
セリーヌはルニャDを前に抱きかかえながら彼女に対して少し大きいずれたサングラスを直してゴホンと咳払い。
セリーヌ「こ…これより、ヴァルド対…えっと、筋肉猫だるまの腕相撲を始める…わ…」
ルニャD「にゃ!筋肉猫だるま選手はかなりコンディションが良いように…」
ターク「おい名前定着してるぞ」
ルニャD「さぁ!レディ!!」
ヴァルド「…ふん…」
ぎゅっ!肉球を握る。
ヴァルド「あれ…なんか…あれ…」
ビルニャー「おい…握りにくいにゃ…もっとこれを…」
ヴァルドとビルニャーの手が離れては握ろうとしてを繰り返す。
ターク「…」
タークは腕を組んでただ無言で見ていた。
ルニャC「にゃ、もう勝負は始まってるにゃ、おそらくビルニャーは心理戦に持ちかけてるにゃ…」
ルニャH「な…なるほどにゃ…」
ヴァルド「だから!お前がこっちをこうしろよ!
っ!おい!爪出すな!チクチクする!」
ビルニャー「うるさいにゃ!!お前がもっとこれをこうするべきにゃ!!」
それを聞いているセリーヌ、サングラスの奥の目は間違いなくイラつきで目を強く瞑っているだろう、そして身体は震えていた。
ヴァルド「おめーが──!」
バシン!!!
ヴァルドとビルニャーの腕を挟み込むように力強くセリーヌが手で挟み込む。
セリーヌ「とっととしなさい!!」
セリーヌの芯の通った声にヴァルドとビルニャーは黙り込む。
ヴァルド「…」
そしてなんとか握り方はしっくり来たようだった、原理は分からない。
ルニャD「ごほん…じゃあ始めるにゃ…」
ルニャDが肉球を上げる。
ルニャD「よーい!!」
セリーヌ「始め!!」
グッ!お互いの腕の力が込もる。
ヴァルド「うぉっ!中々やるなっ…」
ぐぐっ!
木箱がミシミシ言い出す、一人と一匹の空いた手で掴む木箱の角は潰れていく。
ビルニャー「そっちも…中々っ…にゃがしかし!」
ビルニャーがさらに力を込める。
ググッ…ヴァルドが少し押される。
ヴァルド「なっ!」
ゲマナ「おぉ…凄い…凄い!案外どっちが勝つか分からない…。」
ルニャ軍団達は額に汗をかきその試合に集中している。
ターク「押し返せー!俺を宙返りさせた時のことを思いだせー!!」
言ってて悲しくないのかは考えずに言い放つ。
ヴァルド「ぐっ!」
ヴァルドがビルニャーを押し返していく、木箱はさらにミシミシと。
ルニャE「凄い迫力にゃ…」
ターク「す…すげぇな…そりゃ俺一発宙返りさせられるわ…」
グリンス「これは本当に予想できないな」
微笑んで腰に手を置くグリンス。
ググッ!ググッ!
ヴァルドがどんどん押していく。
ビルニャー「ぬぉぉぉ!!ヤバイにゃ!」
ビルニャーが爪を出す。
ヴァルド「なっ!てめぇ!!」
ヴァルドはチクチクするその感覚に少し力が抜ける、ビルニャーが押し返していく。
ヴァルド「てめぇぇぇぇ!!」
ヴァルドはなんとか耐えている。
ルニャD「にゃ、にゃんてこった…ビルニャーの十八番に耐えてるにゃ…」
セリーヌ「それアリなのかしら…」
ググッ!ヴァルドが持ち前の力強さで押し返していく、流石力自慢の狩人は伊達じゃない。
ビルニャー「にゃにぃ!!」
ビルニャーは今度は顔を近付け鼻横についてる猫髭をわざとらしくヴァルドの手に当てていく。
ヴァルド「くはっw!おいっ…!」
ヴァルドが笑って力が少し抜ける、再びビルニャーが押していく。
ターク「おいインチキばっかだぞあいつ!」
ビルニャー「ルールなんかなかったにゃぁぁ!」
ググググッ!
ヴァルドの手の甲がどんどんと木箱に近付いていく。
ヴァルド「ぐっ!やばい!」
しかしヴァルド、奥の手を隠していた。
親指を巻き込むように握り出す、もっもと猫にその概念があるかどうかは不明であるが。
ヴァルドがどんどんと押していく。
ビルニャー「にゃ!にゃんだこれは!にゃ!ぬわぁぁぁぁぁ!!」
バゴン!!木箱に力強くビルニャーの手の甲がつく。
ビキビキ!頑丈に改良された木箱が粉々にくだけ散る
ルニャD「勝負アリィ!!」
セリーヌ「わー…おめでとー…」
セリーヌは既に冷めた目で拍手していた。
ターク「す…すげぇ、映画で見たやつだ…。」
タークは感激の拍手をしていた。
グリンスはシンプルにただ拍手していた。
ルニャ軍団はただ涙を流していた、感動したのだろう。
ゲマナ「すごーい!良かったよー!」
…
ビルニャー「中々良い試合だったにゃ…」
ビルニャーが棒に布を垂れ下げるあれをして肩にかけていた。
ヴァルド「おうよ、イカサマヤバかったけどな…」
ヴァルドは最後ボソッと言いながらも思い返せば楽しかったのでそれ以上は言わなかった。
ビルニャー「次はもっと強くなってくるにゃ…」
夕日に照らされ歩いていくのだった。
ヴァルド「ふっ…またな!」
セリーヌはヴァルドの背後で腕を組んで立っていた。
セリーヌ「はぁーあ…男って…」
そうしてルニャッスルビルニャー♀は去っていくのだった。
セリーヌ「ごめんなさい」
続く。




