5話 恋愛の任務
ターサーはルフの元へ近付き話しかける。
ターサー「少し向こうで話そうか、ルフ…」
ルフ「ターサーさん…はい!」
そうして二人で広場のベンチに座る、夕陽が照らす
ルフはより綺麗だった、オレンジ色の光に負けない
青い瞳の輝き…。
ターサー「…俺がここにいるのは…この村を貧困から救うのが俺の任務だがらだが…」
ターサーは少し俯き微笑み
ターサー「一つ任務が増えた…」
ルフ「…任務…ですか?」
ターサー「サーカと深く話してみたいと思わないか…?」
ルフはビクッとしてはすぐに頬を赤らめ。
ルフ「え…えっと…それは…」
ターサー「言っておくが…理由がしっかりある…
辛いことがあった時に一番欲しいのは…恋人だからだ…」
ルフ「愛人だなんてっ…そんな…早いと言うか…」
ルフは顔を赤らめたまま俯きまたモゴモゴしている
ターサー「…早い?」
ルフ「だって…えっと…」
その時…近くで足音がする。
ターサー「…?」
ガルボ「よう…なに話してたんだ?」
ターサー「ガルボ…あぁ…ちょうど良い…ルフが
サーカを…」
ガルボ「あぁ!好きって話か」
ルフ「っ…!なんでガルボさんまで!」
ターサー「…理由は一つだと思うが…」
ルフ「え…えぇ?」
ルフは顔を赤らめたまま二人を交互に見る。
ガルボ「まぁ…分かりやすいからだな…」
ルフ「うぅ…なんか恥ずかしいです…」
ガルボ「何かしら計画でもたててんだな?ま…
応援しとくぜ…ルフ」
ガルボはニヤニヤしながら行ってしまう。
ルフ「…」
ガルボが去った後ルフは俯き続けながら呟く。
ルフ「私なんかじゃ…ダメなんですよ…」
ルフはまだ少し頬を赤らめていたが、それより
自分を下げるような苦笑が目立っていた。
それを見たターサーは一息おいて言う。
ターサー「お前には二つ魅力がある…」
ルフ「魅力…?」
ルフはゆっくり顔を上げターサーを見る、その瞳は
ターサーの言葉を否定しようとしていた。
ターサー「…理解している…そして…暖かい…」
ルフ「暖かい?」
ターサー「…子供達に紙芝居をしていたお前は…
あの時だけは…世界一太陽に近い存在だったろ」
ルフ「…」
ターサー「…」
ルフ「ふふっ…」
ターサー「…?」
ルフ「あははっ…ターサーさんって…意外とキザな事言いますよね…」
ターサー「っ…本当だぞ?お前は…」
ルフ「はいはい…分かりました…受け取っておきます」
ルフはまだ少し笑いながら、少し嬉しそうにしながら。
ルフ「…そうですね…私…サーカくんが好きです…大好きなんです…いっつも傍にいてくれたし…
昨日は村のお仕事してていなかったけど…
紙芝居だって…子供みたいに毎回見に来てくれてたんです…。」
ターサー「お前らはまだ子供だからな」
ルフ「むぅ!…そういうの!結構嫌なんですよぉ?だって…大人に憧れ育ったんですから…」
ターサー「なら…想いを伝えたら大人…だな?」
ルフ「そ…それは…そうですけど…」
ルフは再びモゴモゴしてしまう。
ターサー「さて…もう日が暮れる…考えておけ…
後は自分との戦いだ…」
ルフ「…はいっ…そうですね…そうに違いありません…」
ルフは自信が湧いたように立ち上がる。
ルフ「ありがとうございました♪」
ターサー「いいさ…それじゃ…おやすみ…
ルフちゃん?」
ルフ「あ!また子供扱い!」
ターサー「ふっ…」
ルフ「もうっ…」
そうして二人はそれぞれ自分の場所へ戻っていく。
~夜~
ルフ「すぅ…すぅ…」
ルフは窓から漏れる月明かりに照らされ、白い睫毛と髪がより綺麗に輝いていた。
しかし、ルフの見ている夢は優しくなく、輝きが一つもなかった。
…
ルフ?「ハァ…ハァ…」
ルフは森にいた。
ルフはいつもより自分の視点が高いことに気付く…
ルフ?「…(私…なんか…大きい?)」
ルフは戸惑いながらゆっくりと自分の身体を見る…
すると…
白い毛で覆われ、手足は狼のようで鋭い爪もある。
ルフ?「…(なに…これ…私が…狼…でも…これ…
本当に…あったんだよね…?)」
その時だった、ルフは近くの木陰から松明をもった
人を見つける、二十人はいる…。
全員が男で男達は武器のように熊の手やクワを持ち、何人かが松明を持ち辺りを見渡していた。
ルフはその男達の方へ立ちから四足歩行になり
ゆっく近付いていく。
そうしてすぐそこまで近付くと男達の一人がルフ?の姿を見つけ言う。
男1「な、なんだありゃぁ!大きい狼だ!」
男2「ま…待て…あの狼…白い毛で…睫毛もあるし…睫毛も白いぞ…」
男3「ルフみたいな狼だ…」
ルフ?「…(き…気付いてくれたの?わ…私だよ… みんなっ…)」
ルフは皆に駆け寄り抱きついたつもりだった…
気付いたら遺体に囲まれていた。
ルフ?「(私…私がやったの…?)」
ルフは手が震えながら見渡す、遺体の一つは仰向けで見開いた目が良く見える…
それがルフには恐怖でしかなかった…気付いたら
死んでいて、自分の爪には血がついていた、誰がしたかは一目瞭然だった。
ルフ「…っ…(そんなつもりじゃ…ただ…みんなに
気付いてほしくて…私は…私は…)」
…
チュンチュン…窓近くの鳥が鳴いている。
ガバッ!
ルフはベットで勢い良く起き上がる…。
ルフ「はぁ…はぁ…」
息を整えようとして落ち着こうとすると夢の内容が
フラッシュバックする…。
ルフ「っ…はぁ…はぁ…」
さらに自分の目には涙が溜まっている。
ルフ「…ぅ…」
続く。




