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紡ぐ者 6
「ちっ……」たじろぐホームズ。
「これである程度は思うまま……君の真似だよ…アハ♪」ホームズを裂いたメスがジャックの手に戻った。
その尻を指を差すと、その先端から一筋の歪曲した光が煌めいた。
ワイヤー。
ジャックはかつて、ブレンダと組んでなかった時、ホームズと一度、戦った事があった。
結果は惨敗。半殺しにされた。主な原因は接近戦しか挑めないメスしか持たないジャックがホームズの懐に入れなかった事だった。
ワイヤー。ワイヤー。ワイヤー。
懐に入ろうとした度に、無数のワイヤーがジャックの懐に飛び込んでいった。
厭と言う程ワイヤーという凶器の恐怖を思い知らされた。
「目には目を、歯には歯を………か。ふふん、浅はかだな」ホームズが嘲る。「俺は『死達』、お前は『狩人』。元から格が違うんだよ、格が」
嘲笑するホームズ。それを見てジャックもまた笑って、嘲った。
「人間辞めた君に偉そうに言われる筋合いは無いよ、気違い」
途端、ホームズの血相が変わった。