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紡ぐ者 4
まず、樹々に隠れながら獲物に迫る。虎のように、鋭く、素早く。
距離が三十メートルを切った。
今だ!!
機を見たブレンダは銃声を鳴らした。
ドォォォォン……。
鈍い爆音が轟いた。そしてその音は獲物の耳に確実に届いた。
獲物が逃げた。土田が待機している方向へだ。
しかし、次の瞬間。
獲物の体が勝手に粉々になった。
血と肉と臓の破片が、ワイヤーと共に舞い散る。
「ブレンダ!!ホームズだ!!」ジャックが吠える。
一本のワイヤーがブレンダに迫り、肩の肉をそぎ落とした。
「あぁぁあぁぁあぁッ!!」悲鳴を上げるブレンダ。それでも平静を取り戻し、樹上の、ホームズと思しき陰に向かってライフルを撃つ。撃つ。
「そんな玩具じゃ俺は殺せんよ。そぅら死ね」
ブレンダが本能で左に体を避けると、その一瞬後に、元居た所の土が裂けた。