表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

推しの”女ヲタヲタ”なんて誤解です!最初から俺の最推しは女ヲタの雪さんでした。@日間ランクイン感謝

俺には”推し”がいる。アイドルグループ KAREN のセンター、コノミ。

 絶賛人気沸騰中で、先日は武道館で単独ライブを成功させるまでに成長した今や日本を代表するアイドル。今度は新アルバムを引っ提げて、全国五大都市でライブツアーを開催する。
 もちろん、最新情報はチェック済。そんなアイドルを俺は日本全国、隅々まで追っかけている、ドルヲタ。
 
 「おまいつ(=お前どこにでも居るな)」って言われれば一人前の世界。負ける気は無い。
 なんせ、何を隠そうセンターのあの子は推しの前に「俺の妹」である。同じ釜の飯を食う家族なのだから、不戦勝もいいところだ。

 血縁関係にある事実は隠している。妹の活動に影響が出てしまうことも鑑みて、最善の嘘だと思っているからだ。早々に一般観客席をこっそり運営から融通してもらっていることだけは読者諸君とヲタ友皆の衆に懺悔しておきたい。ごめん。
 コノミが売れない時から、一緒に追いかけている仲間は、ほとんどが飽きて応援するのを辞めた。不思議な話じゃない。人気商売はどこも似たり寄ったり。でも、昔と変わらず、KARENを追いかけている女ヲタの”雪(ユキ)さん”は、俺と一緒のおまいつ。彼女の推しは俺と同じ。我が推しグループに推し被り憎悪の文化無し。推しを語り合う時間が何よりの栄養だ。

 雪さんは地元密着型アイドルを一年前に始めた。心底俺の妹に憧れており自分も元気を与える存在になりたい!と一念発起。アイドルのヲタクから実際にアイドルになったのだ。最初に相談を受けたときは正直びっくりした。熱心なコノミのヲタクをしていた信頼が、俺に打ち明けても変わらずKARENを愛して、ヲタクで居てくれるだろうっていう理由らしい。

 アイドル現場では推しアイドルをそっちのけにして男ヲタが女ヲタに手を出すこと、通称「女ヲタヲタ(=女ヲタクのヲタク)」なんて呼ばれ方をする。でも、ちょっと待て……

 そういえば君にも君と推してきたアイドルが「俺の妹」なんて打ち明けたことはなかった。

 アイドルは夢を売る商売。特定の一般人と、接触を持つことはご法度。
それは十分に理解している。でも、俺にとって君は、最初は女ヲタの友達だったじゃないか――

 これは、とあるドルヲタの葛藤。世間を欺き、育んだ愛の行く先の話。純愛と評されるには歪。だけど不純であるとは言い難い。綱渡りの愛の話。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ