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木蓮屋敷 20
綾さまが決めたその日が来た。
その日はわたしの薮入で、普段はけして帰らないのにこの日は家に帰るつもりだとみなには伝えてあった。
珍しいから二、三日ゆっくりしておいでと、屋敷を取り仕切るたきさんがわたしに言ってくれたことは好都合だった。
全ての準備を整え、わたしは誰にも気づかれないように、綾さまの部屋に忍んで行った。
これで最後なのだと思うと涙が溢れ出しそうになる。
それをぐっとこらえて、わたしはそっと戸を開けようとした。
指先の震えが止まらなくて妙に力がはいらない。
綾さまはゆっくりと振り向いて、わたしを見つめた……




