表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
木蓮荘  作者: 立夏よう
13/42

木蓮屋敷 12

木蓮が咲き誇る数日間のお昼は、台所を取り仕切るきよさんが腕によりを振るったお花見弁当だった。それを二人で南の縁側でのんびり食べた。

木蓮の香りはこんなに強いんだなとわたしは初めて知った。

花を愛でるような余裕なんてろくになかったからだ。

甘い香りが庭に充満していてそれだけで酔いそうになる。


きよさんご自慢の甘酒の柔らかな甘さ、花の香り、白くて大きな花びら、どれも今まで味わったことのない特別なものだった。

綾さまもこの数日はずっと上機嫌で、熱を出すこともふさぎ込むこともなく、ずっと笑ってばかりいて、それを見ているだけでわたしは幸せな気持ちになれた。


天真爛漫な綾さまだったが、父上と兄上が屋敷に戻ってこられるという話が舞い込んできた折には顔を曇らせた。

曇らせたというより怯えに近い。

瞬時に身体を固くしたのをわたしは感じた。


「いつなの?電報が来たの?」

「夏だそうです。兄上は長くご滞在に。父上は時期は不明です」

「長いの…」


綾さまは黙り込んだ。その日はずっと沈んで過ごされていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ