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◆植民地の原住民についての簡潔なる報告

HF次元極東暦、安知あんち五年 八月七日。

……

わたしがその砂浜に第一歩を刻んだその時、……

あたかも守の児のごとく、カルロススハイツ使は車輪架にかけられていた。四肢と頭部は切断されていた。……

大勢のDT次元人とHF次元人の遺体が砂の中から見つかった。みな、体のどこかに傷を受けていた。……

もし第一陣開拓軍の蛮行が事実であれば、AO次元人たちにはこの上なく正当な大儀が幾つもあることになる。彼らの行った戦いは極めて正当であったのかもしれない。しかしわたしの中に疑念が湧き起こったことは否定できない。……

わたしは兵士たちから激しい暴力を受け、動けなくなった。私の前で兵士たちが行った捕虜への扱いは想像を絶するものだった。……

兵士たちは捕虜の両脚を切り払い、背中の肉を骨が見えるまで剣先で削ぎとった。捕虜は体を震わせて死んだ。……

兵士たちは火を捕虜の脚に当てた。兵士たちはそのままあぶりつづけ、とうとう肉が崩れ落ち、足が骨だけになってしまった。……

首と脚を二機の戦騎に縛り付け、それぞれ反対側に引っ張った。首が抜け、地面に鞠のように転がった。……

“清別”と称し、顔を仮面のように剥ぎ落として、赤いのっぺらぼうにした。……

兵士たちは一太刀で何人を真っ二つにできるかで賭けをした。……

兵士たちは、死んだ捕虜からわざわざ鎖を外すことを億劫がり、首枷の辺りを剣で切りつけた。首と胴体はそれぞれ首枷の左右へと転がり落ちた。……

死んだ捕虜たちはずたずたに切り刻まれ、船内に積載されたHF次元人の食料とされた。……

わたしは一部始終をただ見ているだけだった。……

残虐や暴力や卑劣は、その激しさと惨さ、それに、凶悪さにかけて、必ずその度合いを増していくという法則を、わたしは想起せざるを得ない。このわれわれの呪わしい罪業ぺカードによって、一体われわれはこれ以上のいかなるはなはだしい暴力、忌まわしい殺戮、おぞましい悪行を犯し得るのだろうか。……

守よ、お慈悲を。


――パンフィロロドリゴ使の手記


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