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◆賛美歌篇 二十二章
わが守 わが守 なんぞ我を見捨て給うや
何なれば遠く離れて我を救わず
わが呻きの声を聞き給わざるか
わが守
昼呼ばわれども 汝、応え給わず
夜呼ばわれども われ、平安を得ず
……
われは人にあらず 虫のごとくなり
世にそしられ 人にいやしめらる
すべてわれを見るものはわれを嘲り笑う
……
多くの悪獣われをめぐり 力強き悪獣われを囲めり
彼らは獅子のごとく口を開け われを引き裂き噛み砕く
わが心は溶け消え わが力は枯れ果て
汝われを死の塵に伏させ給えり
悪きものの群われを囲みて 彼ら互いにわが衣を分かち
わが屍には何物も残されざりし
犬われを巡り わが手、わが足を食い散らし
わが骨はことごとく数えるばかりになりぬ
守よ 遠く離れ居たまうなかれ
願わくば疾くきたりてわれを助け給え
……
われ汝の名をわが兄弟に述べ伝え 汝を会衆の中にて讃えん
守は悩む者の辛苦を軽しめ棄て給わず
これに御顔を隠すこと無くしてその叫ぶ時に聞き給えばなり
……
地は守のものなればなり 守はもろもろの人びとを統べ治め給う
……
――家須賀 車輪架上にて最期の祈り




