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後継のギガダスト  作者: 産土
死酸島ニューゲーム編

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1/20

新作投稿開始。

ロボとバトルがメインの予定です。




 それは唐突に始まり、殆どの人間は逃げる暇さえ無かった。


「飛べぇぇぇ! ガングエイコォォォン!」


 焦燥を多く含むその声に応じて、大いなる巨人の模造品である塵造巨人ギガダストの一機…ガングエイコンは、巨人に相応しいその巨体を震わせて目に光を灯す。

 機体に宿る擬似生命が目覚めて脈動し、飛翔用ユニットを兼用する巨大な両碗⋯ト型機巧腕をより激しく震わせて全力稼働。


 空気を揺さぶる爆音を鳴らし、動き出したガングエイコンは溜めた力を一気に解放した。


 足元を粉砕して跳躍し、プロペラのように高速回転する手が四本の指で青空を掻きむしるように推力を生み、飛翔を開始する。

 機体を飾り立てていた土台は砕かれて弾け飛び、生まれた粉塵が空に向かって加速していくガングエイコンに追いすがるように巻き上げられ、竜巻の尾となって複雑に渦巻く。


「ぐぅぅぅ!」


 操縦席に潜り込む暇がなかったペスティサイダーは、今日開催されるはずだったイベントの見学のために分厚い左肩装甲の上にいた。

 不安定なその場所で、空気をかき分けて天高く登る機体にすがりつき風圧に耐えている。


 記念イベントで詰めかけた群衆がひしめきあう大都市の中央広間、ペスティサイダーは、そこから離れた位置で内心で誰よりもこのイベントを楽しみにしていながらそれを表に出さず斜に構えていた。


 そんな遊びを投げ捨て、この世界で最も信頼する重厚で巨大な相棒に向かって必死に助けを求める急展開が彼を襲ったのだ。


「っ!?」


 そんな彼を衣服と皮膚を切り裂くほど速く。

 内臓を突き抜ける重い衝撃が襲った。

 肩装甲の上から吹き飛ばされる。


 あるはずがない血を吐くような痛みが脳を揺さぶる。


 ガングエイコンは、その衝撃でバランスを崩したが装甲の一部を破壊されながらも飛び続ける。


 ペスティサイダーは痛みに混乱しながらも必死に手を伸ばすが相棒には届かない。


 彼を置き去りにして、ガングエイコンは空高くどこまでも飛翔し小さくなっていく。


 頼れる相棒に置いていかれ、その死を歓迎する亡者の群れのように渦巻く粉塵が彼を包む。


 ペスティサイダーが地上へと落ちていく、その背景では城壁に囲まれた巨大な円形都市が滅びを迎えようとしていた。


 滅びの原因は今まさに円形都市の中央大広間にタッチダウンした灰色の巨大隕石。


 それがペスティサイダーが慌てて逃げ出した理由だった。


 記念イベントで多くの人が集まる中、唐突に上空に現れたとは思えぬ勢いを持つ巨大隕石は、大勢の人々と一緒くたに街の中央ごと押しつぶし、街を支える岩盤を容易く貫き深々と身を沈め。


 大地を爆裂させる。


 岩盤ごと街が…ペスティサイダーを含めた数十万人の人々、彼らの手製のギガダスト、冒険を繰り広げた大陸の全てが。


 引き裂かれ、めくれ上がり、バラバラに砕け散って塵となっていく。


「く、クソ運営がぁぁぁぁぁ!?」


 これは電脳空間内で作られた仮初の身体に意識を移して遊ぶ、仮想世界体感型ゲーム内で起きた事件。


 FDVRロボクラフトRPG【後継のギガダスト】。


 戦闘行為は主にギガダストと呼ばれる自作の人型ロボットに乗って行うのが前提のこのゲームにおいて、それだけで一つのゲームとして機能しそうな巨大都市が大陸ごと消し飛ぶ破壊力の前では。


 ペスティサイダー…プレイヤーの防御力など無いに等しかった。


「この大型アップデートで最高のゲームになった、プレイヤーもそれにふさわしいアップデートが必要だ」


 という運営の宣言とともに行われた二年ぶりの大型アップデート記念イベントは、ログインしていた全てのプレイヤーの期待を裏切り。

 巨大隕石で彼らが精魂込めて作り上げたギガダストを、そして遊びの舞台となった大地を粉砕することで締めくくられる。


 それは同時に、後継のギガダストが楽しいロボクラフトゲームから、ログアウト不可の命がけのサバイバルゲームとなった瞬間だった


コメント、ブクマなど評価色々、募集中です。


本日20:00に二話目を予約投稿しています。

暫く宣伝も兼ねて連投しますがストックは二万字くらいしか無いのですぐに止まります。



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