第6話・CHEERS!異世界での再会
ブクマしてくださった方、ありがとうございます...!
引き続き、のんびりお付き合い頂けたら嬉しいです。
ギルドを出た頃には、空はすっかり夕焼けに染まっていた。
石畳の通りに、橙色の光が長く伸びている。
あの後──
ショボくれたギルドマスターの代わりに、副マスターのセリーナから色々説明を受けた。
その中でもステータスのこと。
この世界にもあったんだなぁ、ステータス画面。
……憧れてたステータス画面ッ!
興奮しすぎてマスター、副マスター、華蓮にはドン引きされたけどさ……へへ。
早く試したいなー!
「とりあえず、紹介された宿に行きましょ」
「だな。さすがに今日は疲れたし」
疲れた声で華蓮が言う。
初日から色々ありすぎたもんな……。
ギルドで教えられた宿屋は、街の中心から少し外れた場所にあった。
ギルド提携だからなのか、想像してた宿屋より少し豪華な気がする。
木と石で造られた外観は落ち着いていて、冒険者向けとは思えないほどだ。
「思ったより豪華そうだな……」
「中身も豪華だといいんだけど」
そんな事を話しながら中に入る。
想像通り、ちょっと良いホテルみたいだった。
良いホテルなんて、TVでしか見たことないけど。
フロントへ行こうとすると、スタッフから声を掛けられる。
「ソータ・ミヤシロ様、カレン・ミヤシロ様でございますか?」
「あ、はい。……って、なんで分かったんすか?」
「ギルドから要請が来ておりました。男女2名の異世界人の方と」
そーいや、服装も制服のままだ。
「二人一部屋で承っておりますが、よろしいですか?個室のご用意もございますが……」
「華蓮、どうする?」
「いえ、一部屋で大丈夫です。お気遣いありがとうございます」
「かしこまりました。ではご案内します」
スタッフの後を着いていき、二階奥の部屋へと案内される。
「こちらのお部屋となります。何かありましたらお気軽にお声掛け下さいませ」
「ありがとうございます!」
部屋に入ると、思ったより豪華さはないシンプルな作りだった。
でもふかふかそうなベッドが2つある。
マジで疲れてたから、それだけでも嬉しい。
「うおああああ……!」
叫びながらベッドに倒れ込む俺。
叫びはしないけど、それに倣う華蓮。
「今日はもう、何もしたくねぇ……」
「……同感」
ようやく一息つけた感じ。
身体がベッドに沈み込み、このまま寝たいくらいの気持ち良さだ。
「メシ、どーしようか……」
「食べたのも焼き串1本だけだものね……」
ベッドのうつ伏せになったまま会話をする。
「さすがに腹減ったよなぁ……」
「減ったわね……」
「......減ったけど、ちょっと仮眠取るってのはどーだ?」
「……賛成」
──言うまでもなく、俺達が起きたのは夜が明けて街に活気が出るころだった──
「くぁ~ぁ......」
「ほらもう、しっかりして」
起きて少し身なりを整え、朝飯でも食うかと街を歩き始める。
顔は洗ったものの、どうにも眠気が取れない。
華蓮は疲れてるそぶりも見せずに、シャキッとしてる。
「お前、疲れてねーの……?」
「そりゃ疲れてるわよ。でも動かないと始まらないでしょ」
さすが毎朝5時起床の猛者だ。
「午後に一度ギルドに顔出すんだっけ?」
「ええ。支度金を受け取れるみたいね」
「でも何からすればいいんだろうなー」
あれこれ話していると声を掛けられる。
「よう、お二人さん!また会ったな」
「ルーグさん!」
俺達がこの世界に召喚されて、初めて会った冒険者のルーグ。
色々と世話になった恩人だ。
「昨日はありがとうございました」
「なに、良いってことよ。これからどこ行くんだ?」
「私達これからギルドへ行くんですけど、その前にご飯を食べようかと」
「ほう」
「昨日食った串焼きから何も食べてないんすよ......」
「そりゃ腹も減るわな」
腹を抱えて項垂れる俺を見て、くくっと笑うルーグ。
「ルーグさん、どっかいいとこ知りません?」
「そうだなぁ……。そうだ、良ければ一緒に来るか?」
「いいんすか?」
「これからメンバーと飯屋で合流予定なんだ。せっかくなら紹介しときたいしな」
「……でも、いきなり私達が行ってお邪魔になりませんか?」
「いいや、あいつらも会ってみたいってさ。それに、顔見知りは多い方がいいだろう?」
「ありがとうございます。ぜひ」
「決まりだな!よし行くぞ」
そして宿屋兼飯屋の『虎ノ子亭』へ向かった。
そのやたら広い飯屋は漫画でよく見る、ありきたりな酒場だった。
冒険者御用達しって感じだ。
キョロキョロしながら着いていくと、1つのテーブルの前でルーグの足が止まる。
「遅いよ、ルーグ!……って、その子達はもしかして……?」
「あぁ、例の異世界から来た子らだ」
「ども、創太って言います。ルーグさんには世話になって......」
「初めまして、華蓮と申します。突然お邪魔してすみません」
俺達の挨拶が終わるや否や。
「初めましてだよー!ボクはフィン!これでもシーフなんだよー!」
そう言って、軽装の少年が顔前ピースをする。
腰に下げた短剣、指先無しの革手袋が、いかにもって感じ。
「セラと申します。このパーティの神官を務めさせて頂いております」
聖職者の法衣に身を包んだ女性が、柔らかく笑みを浮かべて一礼する。
綺麗なお姉さん。
「……魔法使いのレイン。よろしく」
とんがり帽子に、地面に届きそうなマント、手には簡素な杖を持った青年。
チラッとこちらを見るも、すぐに視線は外された。
「そして俺が《白い狼》のリーダー、ルーグだ。まずは乾杯といこうか」
それぞれが木で出来たジョッキに注がれた飲み物を持つと、フィンが立ち上がる。
「それじゃあ!出会いの記念に……かんぱーい!!」
そうして次々に料理が運ばれ、それをた食べながら今日までの経緯を話す。
「大変だったんだねぇ……」
「いやでも、そーでもないっすよ。こうして何とかなってるし!」
「何かお力になれればいいんですけど……」
そんな話をしていると。
「そういえば、結局お前さんらは職業決めたのか?」
恥ずかしいからぼかして話したのにツッコまれた。
「えーと、その......」
「兄が料理人、私が錬金術師になりました」
隠すこともせず、華蓮がキッパリと言い放つ。
お前のその度胸羨ましいよ……。
「そりゃまた……」
「まぁ……」
「…………」
皆の正直な反応が胸に刺さる。
「ま、まぁ、色んな職業あるしな。意外と大物になっちまったりしてな?」
「そうだよぉ!ポーションなんていくらあっても足りないしさっ!」
フォローが痛い。けど、ありがとう。
「……ステータスは?」
これまでずっと黙っていたレインが口を開く。
あ。
「そーいや見てなかった」
「おいおい」
「色々あったんだから仕方ないよー!ね、今見てみれば?」
「ギルドタグを握って《ステータスオープン》と言えば開けますよ」
「や、やってみようぜ華蓮!」
ギルドタグを握り──
《ステータスオープン!》
【名前】ソータ・ミヤシロ
【職業】異世界の料理人
【Lv.】1
【固有スキル】《言語理解》《アイテムボックス・小》
【職業スキル】《調理Lv.10》《素材解析》
【名前】カレン・ミヤシロ
【職業】異世界の錬金術師
【Lv.】1
【固有スキル】《言語理解》《アイテムボックス・小》
【職業スキル】《調合Lv.1》《異材精製》
「うおおすげえ!!」
「あははっ!初めてだと興奮するよね!」
「先に注意しとくと、スキル内容は基本的に言わない方がいいぞ」
「え、そうなんすか?」
「あぁ。パーティならいざ知らず、他人に言うことで不利益にもなるからな」
ふーん、そんなものなのか。
「ただまぁ料理人と錬金術師は、余程の大物でない限りスキルは1つって相場が決まってるから、そこまで気にしなくていいけどな」
「え?固有スキル含めて4つあるんすけど……」
「……兄さん、今言われたばかりでしょう」
「あ。」
華蓮がやれやれといった表情でため息をつく。
「4つ……?」
「昨日登録したばかりですよね……?」
「並の冒険者すらそんなにないよ……?」
やべぇ、やっちまった。
そしてちょっぴり重たい空気のまま、解散の流れになった。
店の外に出ると、相変わらず賑やかで、昼下がりの街は活気に満ちていた。
「じゃあまたね!」
「またどこかでお会いしましょう」
「スキルに関しては聞かなかったことにするから、安心しろ」
「ありがとうございます。毎度兄がすみません」
「ははっ!相変わらずだな」
ルーグ達が人通りの中に紛れていくのを、俺達は手を振りながら見送った。
「……兄さん」
「はい」
「言いたいこと、分かってるわよね?」
「さっきのは軽率でした、すんません……」
「分かってるならよろしい」
くすりと笑う華蓮。
そんな他愛ないやり取りをしながら、俺達はギルドへの道を歩き出した。
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次回より週2更新に切り替えます。
公開予定:1月30日




