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俺たち双子は、世界を救わない。 ~料理人と錬金術師の異世界スローライフ~  作者: 京野きょう


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33/33

第33話・SHARE!異世界でも口コミが大事です

「おっまたせー! 連れてきたよー!」


 そう言いながらフィンさんが連れてきたのは、冒険者らしい人達。

 リーダーっぽい人は、ルーグさんよりも更に無骨な装備をしていた。

 坊主に髭の見た目は、正直怖い。

 あと剣士風の女の人と、弓を背負った男の人。

 三人パーティなのかな。

 神官がいないパターンもあるのか。


「おい、フィンよ。何だってんだよ、いきなり」


 強面の冒険者がブツブツ言いながら近付いてくる。

 ……って、説明しとらんのかーい!


「ええー? ソータが説明するよー!」

「ええ!?」


 おおお俺が説明すんの?

 この強面のおっちゃんに?

 華蓮は……ダメだ、超笑顔で飯食ってる。

 邪魔したら召される。


「えーと、俺たちこのトマトソースを売ってまして」

「トマトソース?」

「トマトを煮込んでソースにしたもので……とりあえず食ってみませんか!?」


 説明するよりも、実際に食ってもらった方が早い。

 俺は鍋をかき混ぜながら、パンを手に取る。


「食うって……この赤いやつか?」

「辛そう……」

「トマトなんで辛くないっすよ!」

「そうそう! おっいしいよー!」


 フィンさんのフォローがありがてぇ!

 関係値も何もない人間に、見たこともない料理。

 警戒するのは当たり前だよなぁ……。

 俺と華蓮だけなら、何も出来なかったかもしれない。


 パンにソースを乗せて、三人へと差し出す。

「フィンがそこまで言うなら……」と、パンを受け取る冒険者たち。


「さぁ、どうぞ!」


 おっちゃんらは訝しげな顔のまま、一口齧りする。


「……む」

「あら!」

「おっ」


 それぞれ反応は違うけど、顔が明るい。

 だろ、だろ? 美味いだろ?


「初めて食ったが、お前が作ったのか?」

「そっす!」

「リーダー! アタシ、これ欲しい!」

「パンがこんなに美味くなるなら僕も欲しい」

「そうだな、一つくれ!」

「まいどありー!」


 よっしゃ!

 早々に売れるなんて順調すぎる!


「お買上げありがとうございます。ちなみにお肉に掛けても美味しいですよ?」


 食事をしながら横目で見ていた華蓮が、手持ちの串焼きにソースを掛けてぱくりと食べてみせる。


「ほぉう……」

「リーダー、串焼き買いに行こ!」

「またお待ちしてまーす!」


 三人が屋台から離れたあと、俺と華蓮は目を合わせ手のひらをパンッ!と合わせる。


「やったな! 華蓮もナイスアシスト!」

「フィンさんもありがとうございます」

「全然だよー! 広まってくれたらボクも嬉しいからねー!」

「んじゃ俺らはそろそろ行くか! またな、ソータ、カレン」

「ルーグさん達もあざっす! また飯食いに来てください!」


 ルーグさん達を見送ると、辺りは途端に静かになる。

 華蓮が買ってきた串焼きを齧りながら、ふと考える。


 んー……なんか忘れてるよーな。


「なぁ、おい! レシピ渡してなくね!?」

「え? 冒険者の人達に渡してなにか意味あるの?」

「え?」

「渡すなら料理人とか、お店やってる人にじゃないかしら」

「確かに……?」


 あれ?

 でも俺たち、レシピ配るために屋台出したんだよな……?


「レシピはもう配り終わってるわよ?」

「へ?」

「買い出し行ってきた時に、ね。ここで試食もしてるからって付け加えて」


 華蓮は得意げに串焼きを揺らした。

 なるほど、配り終えてるとな。


「……って、お前すげーな!?」

「ふふ、もっと褒めてもいいのよ?」

「いやホント、マジで凄い! 俺はてっきり買いに来た人に渡すのかと思ってた!」


 買い出しがやたら長かったのは、そういうわけだったのか。

 華蓮は串焼きを食べ終えると、カバンからレシピの束を出す。


「ほら、もう残り少しでしょ?」

「まさかマジで配り回るとは思ってなかったわ……」

「名刺だもの、配りに行かなきゃね」

「そらそーだ」


 考えたらこのレシピ、手書きなんだよな。

 内容自体はシンプルだけど、二十枚くらい。

 俺はトマトソース作りがあるからって、全部やってくれたんよな。


「自分の店が落ち着いたら行くって言ってくれた人もいたから……少しのんびりしましょ」

「おお……ホントさんきゅ」

「何よ、そんな改まって気持ち悪い」

「気持ち悪いゆーな」


 いやその。

 サボって屋台で食い倒れしやがって、とか思っててすんませんでした。

読んで頂きありがとうございます!

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