第23話・PLAN!異世界で商売計画、始めました
ヨーグルトが入っていた空の皿を見せながら俺は続けた。
「今はデザートとしてヨーグルトを食ってもらいましたけど、魔獣肉を柔らかくするために使ったんすよ」
「それだけであんなに柔らかいステーキが出来たのか……?」
厨房の方を横目に、驚きの声を上げるルーグさん。
「酵素とかの働きによって……だっけ? とにかく俺の故郷では一般的な調理法の一つなんすよ」
「なるほどな……」
俺も正直テレビとかで見たことを真似てるだけで、詳しい仕組みは理解してない。
とはいえ、話したとしても理解出来ないだろうし……。
俺は聞かされたとしても寝る自信がある。
「このヨーグルトを作ろうと思ったら結構な手間が掛かるんすよ。でも華蓮のスキルでこの通り一瞬で出来ちゃうんす!」
空になった皿を再び見せてドヤってみる。
……俺の手柄じゃないけどさ。
「でも……思ったよりも疲れるんですよね、このスキル」
息を整え終わった華蓮は、ちゃっかり取り分けたヨーグルトを食べている。
……まだ疲労困憊な感じだけど。
「そのようですね……」
「……スタミナポーション飲めばいいだろ」
心配そうにするセラさんの横で、レインさんがぼそりと言う。
お、思いつかなかった……!
そんじゃ明日から──!
「それも考えたんですけど、儲けもない現状じゃ所持金が減っていくばかりなので……」
うっ、確かに……!
つーか、考えとしてはあったんか……?
どこまで把握してるんだよ華蓮のやつ。
「まずは手近なところで資金の目処を立ててから……と考えています」
「カレンはしっかり者だねー!」
「出会いの時からしっかりしてたもんな!」
わはは、と口を大きく開けて笑うルーグさん。
「それでは冒険に出ている暇はありませんね……」
「ざんねーん! 二人がいたら楽しそうなのにー!」
「飯も豪華になりそうだしな!」
「ありがとうございます。落ち着いたらぜひ」
残念そうなメンバーを尻目に華蓮は立ち上がり、棚の方へと歩いていく。
そして何かを取り出し、くるりと振り返る。
「まずは……このトマトソースから売り出そうと思ってます」
手に持っているのは、手のひらサイズの陶器瓶。
さっき量産したばかりのトマトソースを小分けにしたものだった。
それを見たルーグさんが目の色を変え、真剣に考え込む。
「五……いや二……いや三つ買う!」
「ありがとうございます! 兄さん、売れたわ!」
「お、おう……」
流れるような宣伝からの購入に、俺はついていけず生返事しかできなかった。
……いや!
ここは喜ぶところだろ!
「あざっす! 今後ともご贔屓に!」
「これで明日の冒険も美味しい食事が食べられますね……!」
「やったーあ! ボクはパンにかけよーっと!」
こんなに喜んでくれるなんて嬉しいなぁ。
しんどかったけど作って良かった。
ここでふと、疑問がよぎる。
……どこで売ればいいんだ?
「あの、ルーグさん」
「ん、なんだ?」
「物を売るって、どこでやればいいんすか……?」
「俺もあまり詳しくはないんだが……セラどうだ?」
「ええと……まずは街で物を売る場合、商人ギルドへの登録が必須ですね」
お、やっぱり商人ギルドもあるのか。
「その上で申請が必要です。屋台で売るのか店舗を構えるのか……」
「なるほど……なぁ華蓮、この家って確か──」
「工房として使えて商売も出来るってことで、ここを借りたのよ?」
「も、もちろん覚えてるし!」
危ねぇ、忘れてた。
「でも売りもんがこれしかないしなぁ。この家を店にするには淋しいよな」
「どこかに委託するか屋台で売るか、かしら?」
「ま、とりあえず商人ギルドに行ってみろ! そこでアドバイスもらえるはずだ」
「……確かに。そうします!」
いよいよ商売かぁ……。
なんか、ちょっとワクワクしてきた!
「よっしゃ華蓮! 明日は商人ギルド行こうぜ!」
「……そうね」
「何でそんなテンション低いんだよ……?」
「……疲れる瞬間見てたでしょ?」
「そーだった、わりぃわりぃ!」
「あはは、がんばれー!」
「何かあれば頼ってくださいね」
みんなの後押しのおかげで、俺は料理を商品として売る決心がついた。
明日は商人ギルドだ!
……上手くいくといいなぁ。
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