『再会と再開』 1
『人属領』『ディナスティーア王国』。
『城下町』『ディナスティーア』。
『中心区』『ディナスティーア駅』『駅前広場』。
快晴。
広場から、『路面電車』の駅までの道中。
俺、『フェリス・サード・エレヒール』は、転生者である。
前世、63年の人生を終え、気がついたらこの世界に居た。
家族に転生者ばれをしたり、この世界での『幼馴染』である『サティス・グラナーテ』と2人で『無敵』になるという夢を追いかけたり、故郷が襲われて家族と仲間を失ったりと、気付けば7歳になっていた。
そんな俺は、この世界の叔父で、2人目の師匠である『ボカ・アロサール』と、彼の娘、つまり俺のこの世界での従姉にあたる少女、『セロコルザ・アロサール』の2人に1年間、修行をつけて貰っていた。
コルザは俺の姉弟子にもなったというわけだ。
さて、この1年だが。
俺は、『剣舞術』、『空間魔術』、『空間剣術』の3つを教わった。
『剣舞術』という『剣術』は、今までの努力もあり、無事に修めることができた。
3つある、『修型』と呼ばれるものを無事に修得できたのだ。
『空間魔術』と言う『魔術』は、基本を習得することはできたが、基本だけ。
俺は、今は亡きこの世界での母、『ブリランテ・エレヒール』と似ているらしく、『空間』への干渉が得意だった。 そのため、今はそっちの方向で『魔術』の修練を積んでいる。
『空間剣術』という『剣術』は、『空間魔術』の基本を修めたと同時にボカが教えてくれた。
『剣舞術』で習得した体の動きが実に役立った。 ブリランテが、『剣舞術』を修めてからと言ったのはこういう事だったのかと合点がいった。 おかげで俺は、基本的な『空間剣術』はすべて修めることができたのだ。
ボカ曰く、『空間剣術』は使用者によって発展していく『剣術』である。 だそうなので、これからもこまめに練習して、『空間剣術』を発展させていきたいと思う。
俺は、確実に以前より強くなった自信がある。
それも、俺を育ててくれた2人の母、『ブリランテ・エレヒール』と『オブヘディモ・セドロ・グラナーテ』がくれた言葉と、この世界での大切な家族である『サティス・グラナーテ』の存在が大きい。
母2人には、自分に対する自信を貰った。
サティスの存在が、『努力』に磨きをかけた。
サティスはどれだけ強くなったのだろう。
会うのが楽しみだ。
と、コルザが止まって口を開いた。
「う~ん・・・やっぱり、混んでるね」
俺は、コルザの隣で、路面電車の駅を見上げる。
『中央駅』。
屋根に『天人語』でそう書かれた。
この世界に存在する種族は『人族』、『長耳族』、『天族』、『魔族』、『天魔族』、『獣人族』の6種族だ。
『天人語』は、『人族』、『長耳族』、『天族』、『獣人族』、『天魔族』が使っている、一番伝わりやすい言葉である。
逆に、『魔族』の使う『魔語』や、『天族』だけが知っている『天語』はほとんど伝わらないし、そもそも、ちゃんと聞いたこともない。
『魔語』は少しだけ聞いたことがあるが、あるだけだ。 意味は全くわからない。
さらに、昔の人族が使っていた『人語』や、どんな言葉かもわからない『魔素語』なんてものもあるらしいが、今の世界ではっきりと使っている種族はいないらしい。
もちろん、俺が使えるのは『天人語』のみなので、問題なく読める。
そして、『路面電車』。
電車とは言っているが、蒸気機関車だ。
この世界には蒸気機関車が存在している。
今日だって修行を行っていた、この世界での故郷『プランター村』の跡地から蒸気機関車に乗ってきたのだ。
そして、この、『城下町』を『中心区』から、『西区』『南区』『北区』と繋げる『路面電車』だが。
先ほどから10分に1回くらいのペースで来ているにもかかわらず、1時間ほど待ってやっと次に乗れるかなといった混雑具合だった。
「なんでこんなに混んでるんだ?」
コルザに聞く。
「あぁ、フェリスは知らないのか」
手を叩いて微笑むコルザ。
「来月、『建国祝賀会』があるんだ」
「『建国祝賀会』?」
俺は初めて聞く単語に首をかしげる。
「うん。ひと月前から、出店を出してみんなで盛り上げるんだ! 主に『南区』の方が盛り上がっているわけだけど、最終日に当たる『建国記念日』には、『王城前』で歌や踊りなんかで最高潮に盛り上がるんだ! その日の最後に上がる花火はとっても綺麗でね!」
にこにこである。
よっぽどいい思い出なのだろう。
普段は不愛想で、クールな印象だが、こんな風に笑いながら話すこともあるのかと微笑ましい気持ちになる。
『建国祝賀会』か・・・。
まぁ、この世界に神を祭るという文化はないらしいし、前世で言う祭りのようなものなのだろう。
宗教も『神樹教』だけだって言ってたしな。
「汽車、乗れそうだぞ」
ボカに言われた俺とコルザは会話を止めて『路面電車』に乗り込んだ。




