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努力畢生~人生に満足するため努力し、2人で『無敵』に至る~  作者: たちねこ
第一部 乳幼児期 『5歳編』
35/721

5歳 2

 「つまり何が言いたいんだ?」


 自室。

 中央。

 ベッドに座る俺を見下ろす、いつもの微笑みを浮かべるブリランテ。

 青いサイド三つ編みは室内を照らす蝋燭の光を反射させている。

 そんな、この世界での母であるブリランテに俺は問いを投げる。

 言っている意味が分からなかったのだ。


 「言った通りよ。貴方には一度、しばらく運動の一切を禁ずるわ」

 

 あの一件以来、ブリランテは俺の事を貴方という事がある。

 俺が前世の癖を出してしまった時。

 俺が、子どもが知りえないような知識を話した時。

 

 つまり、俺が前世の影響を受けている時だ。


 あまり良く思われていないのだろう。

 ・・・仕方ないか。

 中身に正体不明の魂が入っているのだ。

 嫌がられても仕方ない。

 まぁ、普段通り過ごしていれば特に何も変わらないし。

 呼び方も『フェリス』のままだ。

 出来るだけ前世の事は話さないように。

 表に出さないように。

 そう気を付けるようにしている。

 この世界で俺は、『フェリス』なのだ。

 今日は、前世に関わるような事は何もしなかったし、話もしてなかったと思うが。

 なぜ、貴方と呼ぶのか。

 それに、運動の一切を禁ずるって・・・。

 それは困る。

 だってそれは。


 「・・・それは、俺とサティスの邪魔をするって事か?」

 俺のちょっと強い語気にブリランテは表情を少し強張らせた。

 

 「違うわ。貴方たちの為よ」

 

 俺に対して優しい口調になるブリランテ。

 俺はサティスと一緒に強くなりたい事を、家族全員に伝えている。

 『二人で無敵になる』という夢も伝えている。

 セドロは喜んでくれていたが、ブリランテは微妙な反応だった。

 サティスを巻き込んでしまった事を良く思っていないのだろう。

 そこは、申し訳ないとは思うが。

 サティスは了承してくれたし、なにより彼女は強さを望んでいる。

 この世界での強さの果ては『無敵』なのだから、悪くない目標設定だと思うのだが。

 ・・・駄目だったんだろうか。

 だが、ここで引き下がるわけにはいかない。

 2人で無敵になりたいのに、少しでも休んでしまったらサティスに置いて行かれてしまうだろう。


 「話が見えない。なんでだ?理由を教えてくれ」


 とにかく理由を聞こう。

 俺の思い違いである可能性だってあるのだ。


 「貴方が普通ではないからよ」


 ブリランテが前世の俺と話しているつもりなら前世のようにちゃんとした話し方をするべきなのかもしれないが、今の俺はフェリスだ。

 ブリランテの気持ちは知らん。

 いい人だとは思うが・・・正直最近は苦手が勝つようになっていた。

 「それは『転生者』っていう事?」

 努めて優しい口調で問う。

 「・・・そうね。貴方は『転生者』として異常な鍛え方を自分の身体にしてきたわ」

 だから何だと言うのか。

 それくらいしないとサティスに置いて行かれてしまうのだから当然だろ?

 「・・・俺たちの夢は話したよね?」

 ブリランテが頷く。

 「だったら俺が休むわけにはいかないのは分かるだろ?」

 置いていかれてしまうんだぞとは言えなかった。

 俺の考えを見透かしてブリランテが言葉を挟んだのだ。


 「それがいけないの。サティスの事を思うなら待ちなさい。大丈夫、約束するわ。今、貴方がする特訓は耐える事よ」


 体をかがめて俺と視線を合わせてきた。

 「耐えれば、きっと、サティスと貴方は夢に一歩近づける」

 しばらく視線をかわす。

 「だが」

 「大丈夫よ。信じなさい」

 嫌とは言えない雰囲気。

 断らせないと圧がある。

 ・・・納得は出来ない。

 だが、頷くしかなさそうだ。

 「・・・わかったよ。信じるぞ」

 俺の言葉にまた微笑みに戻り、体制を立て直す。

 「えぇ。信じなさい。私は貴方を裏切った事は無いはずよ」

 ・・・それはそうだ。

 ブリランテは何だかんだと俺たちを一番に考えてくれている。

 裏切ることはないだろう。

 ・・・だけど、今回はあまりにも強引じゃないか?

 「あと、これからしばらくはサティスに何かあっても絶対に助けてはいけないわ」

 「なんで!?」

 さっきからなんだと言うのだ。

 「サティスとセドロのためよ。お願いだから耐えてね?」

 2人のためと言われて俺は何も言えなくなる。

 その様子にちょっと困った眉になって、申し訳なさそうにする。

 「・・・少しずるかったわね。ごめんなさい」

 「・・・謝るなよ」

 それだと俺が悪いみたいじゃないか。

 「・・・えぇ、お休み。フェリス」

 言いながら部屋の扉に手をかけるブリランテ。

 「・・・あぁ、おやすみ」

 ブリランテは静かに扉を開けて出て行った。

 俺はベッドに潜る。

 くそ。

 何だってんだ。

 何もしないなんて俺が耐えられるわけないだろ!

 目を瞑る。

 ・・・。

 ・・・・・・。

 ・・・朝のランニングくらいならいいよな?


 「だめよ」


 翌朝、ランニングをしようと外で準備体操をしていた時、いつの間にか俺の後ろに立っていたブリランテに止められてしまった。

 ・・・いつの間に。

 その後も何回も止められたので、諦めて絵を描いて過ごす事にした。

 ちくしょう。

短くなってしまったので、10分後にもう1本あげます。

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