表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
努力畢生~人生に満足するため努力し、2人で『無敵』に至る~  作者: たちねこ
第一部 乳幼児期 『4歳編』
33/720

残された手記 19歳

レイ暦268年 5月13日

 今日は午前からお客さんが来ていた。

 フェリス君だった。

 お父さんの面影があり、ついつい跡を追ってしまう。

 それにしても不思議な子だ。

 たしか4歳になったばかりだったはず。

 それなのにカフェー片手に魔術の本をゆっくり読む姿は疲れ切ったおじさんの休日みたいで笑えた。

 途中で元気いっぱいのサティスちゃんがやって来てからは2人で何処かへ出かけて行った。

 あぁ、なんかうらやましいなぁ。


レイ暦268年 6月19日

 今日はプランターおじさんのお孫さんのセミリャさんとお見合いをした。

 本当にそんな気はなかったんだけど・・・。

 村長さんのお願いだし仕方ない。

 会って話をしてみたけれど・・・真面目で面白みのない男。

 そんな印象しかなかった。

 時間の無駄だったな。


レイ暦268年 7月20日

 今日もすっかり常連のセミリャさんがお店に来た。

 まだ話し足りないらしい。

 そんな話すような事なんて無いのにな・・・。

 気乗りしないがお金を払ってくれているお客さんである以上は相手しないと・・・。

 めんどくさいなぁ。


レイ暦268年 8月4日

 急遽、村で祝賀会が開かれる事になった。

 明日の狩り対決の後、狩った猪で大々的にやるらしい。

 私は父の手伝いでお料理をする事になった。

 セミージャも帰ってくるし楽しい一日になりそうだ。


レイ暦268年 8月5日

 セミージャどうしちゃったの!?

 あ、あんなにおしゃれになっちゃって!

 ・・・ちょっと遠い人になっちゃったみたいで寂しかった。

 祝賀会は大盛り上がりだった。

 魔獣の肉を『人族』である私は食べられなかったけれど、代わりに『魔石』の小さなかけらを貰った。

 セドロさんが破壊したからほとんど破片が無かったので、貴重な一個だ。

 売ればそこそこの値段になるだろうけど、これは宝物にしようと思う。

 ネックレスにでもしようかな?

 他の素材は村民で山分け。


レイ暦268年 8月6日

 今日はアルコメンバーの何人か来ていた。

 落ち込んだ様子で話し込んでいたけれど、結局は自分たちの力不足だという所に落ち着いたらしく、颯爽と特訓に向かって行く姿は眩しかった。

 あぁ、私もあんな感じで青春したかったなぁ・・・。

 お店の追加メニュー

   ・・・フェリス君考案のカフェーオレ

 感想

   ・・・真似して飲んでみたら美味しかった。

      お父さんはちょっと嫌そうにしていた。

      カフェーは苦いから苦手なんです。

      許してください。


レイ歴268年 8月7日

 セミージャがブリランテさんに連れられて帰ってしまった。

 寂しくなる。

 昨日の夜、久しぶりにゆっくりお話し出来た。

 全然遠くになんて行ってなかった。

 セミージャがこんなにおしゃれになったのは私のせいだという。

 友達作りに困り果てた結果、私を参考に話しかけに行ったという。

 そしたら、お洒落なグループと仲良くなって、こういう感じになったとか。

 聞いてて笑ってしまった。

 お酒が入っていたのもある。

 楽しかった。

 寂しくなるが、また来年会えるだろう。

 それまで楽しみに待っていようと思う。


レイ暦268年 8月12日

 今日は『アルコ・イーリス』の子達がお店にやって来ていた。

 わいわいと楽しそうにお話しする姿が眩しかったな。

 最初は女の子だけで話していた。

 ブリッサちゃんのベンタロンくん大好き話をカリマちゃんとサティスちゃんの2人が聞き流していたのが面白かった。

 あ、でもサティスちゃんはうんうん唸ってたな。

 なんでも勝ちたい人がいるらしいく、色々考えてたみたいだ。

 途中で男子メンバーも集まって来て盛り上がってた。

 サティスちゃんとフェリスくんがコラソンさんのお家に行くらしく、暫くこの村から離れる為、その前に一度集まったのだと言う。

 皆が帰った後、フェリスくんがカフェーオレを飲んでいるサティスちゃんを待ってたから、ちょっと聞いてみる事にした。

 毎日毎日、朝から晩まで何かしら頑張っているフェリスくん。

 理由が気になったのだ。

 そしたら、ちょっと照れ臭そうに勝たせたい人がいるんですって教えてくれた。

 多分、サティスちゃんの事だろう。

 本当に仲良しだなぁ。


レイ暦268年 8月13日

 フェリス君とサティスちゃんが、コラソンさんのお家に行った日。

 夕方、私の元にお客さんが来た。

 修練終わりのカリマちゃんだった。

 恋愛相談をされてしまった。

 私、そんなに経験ないよ~。

 どうやらデスペハード君が気になっているらしい。

 この間の『魔獣』と戦った時、誰よりも先に自分の元に来てくれて壁になってくれたらしい。

 やるじゃない、デスペハード君。

 今まで生意気な子だと思っていて、そのように関わってきたから今更どう関わればいいのか分からないのだと言う。

 甘すぎて久しぶりにカフェーを飲みたくなった。

 私から出来るアドバイスなんてたかが知れてるけど、言えるのは2つだけ。

 好意は言葉じゃないと伝わらないこと。

 言える時に言わないと後悔すること。

 これでカリマちゃんとデスペハードくんが上手くいってくれると良いんだけど。

 あと、今日、1人、村に住人が増えた。

 眼鏡をかけた女の人だった。

 髪が黒くて驚いた。

 『魔族』らしい。

 『ディナステーア』の『東区』に住んでたみたいだけど、居場所がなくてこっちに来たらしい。

 『東区』と言えばゴミの廃棄場所があるあの不衛生なところだ。

 昔の大事故でめちゃくちゃになったから、家の無い人とかが住んでる区域だって聞いたことがある。

 そんなところでも居場所がないなんて・・・。

 『魔族』も悪い人ばっかりじゃないのにな。

 ベンディスカくんはとっても良い子だし!


レイ歴268年 8月14日

 昨日のあの人だが、どうやら色々と忙しいセミリャさんのお手伝いをすることになったらしい。


レイ暦268年 8月16日

 今度はブリッサちゃんが来た。

 カリマちゃんに恋愛相談ならと私を勧めたのだと言う。

 いやいやいや待って・・・どうしよう恥ずかしくなってきた。

 永遠と続くベンタロン愛にちょっと引いた。

 でも、その声は次第に小さくなってきて、泣きそうになりながら相談に入った。

 なんでもベンタロンくんが自分を邪魔だと思っているんじゃないかと不安なのだと言う。

 好きでもない人に言い寄られるのは嫌だろうし、でも言わなきゃ伝わらないし。

 と、結構深刻な悩みが出てきて困ってしまう。

 ブリッサちゃんも女の子なんだなぁ。

 逆にちょっと引いてみるのはどうかと言ってみた。

 押してダメなら引いてみろ。

 小説にはよくある一文を思い出して使っちゃった!

 まさかこれを自分が言う事になるとは、人生分からないもんだなぁ。

 これで関係性が少し変わってくれればいいんだけど。


レイ暦268年 8月21日

 立て続けにアドバイスなんてしまって後から恥ずかしさで悶えていたのにデスペハード君が私に恋愛相談を持ち掛けてきた。

 私しかいないのかこの手の話が出来る若者は・・・。

 デスペハード君の相談はカリマちゃんが可愛すぎてどうしたらいいかとの事だった。

 書いてて熱くなってきた。

 最近、素直になったカリマちゃんの変化に戸惑っているらしい。

 今まで生意気な子だと思っていて、そのように関わってきたから今更どう関わればいいのかわからないのだと言う。

 ・・・どっかで聞いたな。

 どうも自分が素直になれなくて、喧嘩になってしまう事が多いらしく、こんなはずでは無いのにと困っているらしい。

 私はカリマちゃんに言った事と同じ事を言ってあげた。

 これで互いに少し素直になれると良いんだけど。


レイ暦268年 8月22日

 今度はベンタロン君だった。

 まぁ、そんな気はしてたけど。

 話始めがものすごく真面目だった。

 まず、父のようになりたくて道場に入った事から始まり、父の槍使いは凄い事を話され、父と母の馴れ初めに話が進み、やっと相談に入った。

 最近ブリッサちゃんが露骨に距離を置くようになったが原因が分からない。

 もしかしたら、ジュビアやベンディスカに気が移ってしまったんじゃないのか?

 なんて、ベンタロンくんらしいと言うかなんというか面倒な話し始めだったのに、中身は可愛いもんで笑ってしまった。

 反省。

 ブリッサちゃんはずっと隣にいてくれるものだと思い込んでいたらしい。

 傲慢ね・・・。

 いろいろ言い訳じみた言葉は並んでいたけど、要は寂しいらしい。

 聞けば聞くほどぼろが出る物だから笑っちゃう。

 どう思っているか伝えてってアドバイスしてみたら、顔を真っ赤にしていた。

 もしかして、結構ブリッサちゃんの事好きだったりするのかしら?

 とりあえず今度ブリッサちゃんに会ったら効果ありよって伝えておこう。


レイ暦268年 8月25日

 今日は久しぶりに癒された。

 恋愛相談が続いていて、恥ずかしさで精神的に辛かった所に良い癒しが舞い込んできた。

 雑貨屋『メリソス』さんご家族が来店されたのだ。

 お父さんはここのカフェーを気に入ってくれて、奥さんと一緒に来てくれていたけど、3年以上前に出産時に亡くなってしまってから一度も来てくれてなかった。

 今日は思い出の味を子供たちと味わいたくなってと言っていた。

 ラーファガちゃんの両隣で世話を焼く双子のお兄ちゃんたち。

 いつまでも見ていたい光景だった。

 ビエントくんとアイレくんが一生懸命世話を焼いているのがとっても可愛かった。

 途中、ラーファガちゃんの肩を2人で抱きながらお父さんにラーファガちゃんは僕らが絶対守るって言っててちょっと泣いちゃった。

 私のお父さんもちょっと泣いてた。

 サービスでカフェーを3人のお父さんにお渡ししたらとっても喜んでくれた。

 私の方がありがとうだよ。

 最後のセミリャさんさえ来なければ最高の一日だった。


レイ暦268年 8月25日

 今日はセミリャさんが来なかった。

 珍しい事もあるもんだ。


レイ暦268年 8月27日

 今日はジュビアくんとベンディスカくんが来た。

 2人は仲が良いらしく、よく一緒に行動しているのを見かける。

 2人の会話を聞いてみると、どうやらサティスに勝ちたいジュビアくんにベンディスカくんが協力しているらしい。

 ジュビアくんは凄く痩せた。

 顔つきも変わって来ていて、別人の様だった。

 ベンディスカくんに何度もお礼を言っていた。

 ベンディスカくんはその度に首を振って、頑張ったのはジュビアだと言っていた。

 ベンディスカくんは何を考えているか分からないようだけど、よく見て見ると良い所が沢山ある。

 アルコメンバーの最後尾を歩いて、優しく見守っているのだ。

 皆の関係性とかをちゃんと見ているのだと思う。

 だからジュビアくんを一人にしないように助けてあげているんだろう。

 いい友情を見れて良かった。


レイ暦268年 9月13日

 帰ってきたフェリスくんが日課のランニングを再開させていた。

 相変わらずすごい速度と距離だった。

 サティスちゃんも一緒だった。2人で走る事になったのかな?


レイ暦268年 10月10日

 フェリスくんとサティスちゃんが真剣な顔で話し込んでいた。

 成長期ってすごい。2人ともすごく背が伸びた。

 来年で5歳だもんなぁ。

 2人にいつもの飲み物を運びに行ったついでに何をしているか聞いてみた。

 なんでも2人で『無敵』になりたいから色々思考錯誤しているらしい。

 なんというか、コラソンさんの家に行く前は勝ちたい人だの勝たせたい人だの2人とも勝手に言っていた感じだったのに、帰って来てからは何というか、1つになった感じがする。

 2人が本気で『無敵』になろうとしているのが感じれて、ちょっと鳥肌が立った。

 凄いな・・・。


レイ暦268年 9月9日

 最近、セミリャさんが来ない日が多い。

 だから何だと言うんだけど。

 どうしたのだろう。


レイ暦268年 10月23日

 初めてセミリャさんが働いているところを見た。

 例の女の人と一緒に楽しそうに働いていた。

 ・・・どうしてかな?

 なんか気に入らなかった。

 私がドジしてコップを割って作ってしまった怪我を診て貰った。

 普段と違って真剣な顔をしていた。

 あんな顔もするのね。

 何でか恥ずかしいし、さっきのモヤモヤもあって、断ろうとしたら、傷跡が残ったらどうするんですか!!って怒られちゃった。

 別に私の身体じゃない。

 おとなしく治療は受けたけど・・・。


レイ暦268年 11月25日

 セミリャさんがあの一件以来家に来ていない。

 そんなに気に障ったのかしら。

 確かに・・・。普段から対応も悪かっただろうし、治療も一回拒否ったわけだし。

 まぁ、来ないならそれでいいのよ・・・。


レイ暦268年 12月10日

 ありえない!!

 あんなに私に興味ありますなんて態度しておきながら、あの女の人と王国まで出かけてたなんて!

 しかも結構親しそうだったし!

 だから何って話だけど・・・でも、なんだろう・・・。

 モヤモヤする。


レイ暦268年 12月12日

 デートに誘われた。相手はセミリャさんだ。

 一度だけの約束で了承してあげた。

 あんまりしつこかったから。

 いい機会だろう。

 こっぴどく振ってやるのだ。

 どうせ私なんて遊び程度としか思ってないんだろうから。


レイ暦268年 12月25日

 告白された。

 一生懸命な姿が可愛かった。

 私はセミリャさんと付き合う事にした。

 私へのプレゼントを買いに女の人の意見が聞きたくて、あの人と一緒だったらしい。

 全く、紛らわしいんだから。

 しかも、最近うちの店に来なかったのは、隣村まで何度も出稼ぎに出ていたかららしい。

 私に会えなくなるのは本末転倒だったと少し後悔しているって言ってて笑ってしまった。

 全部誤解だった。

 私の為にこんなに時間とお金と労力を使ってくれたのだ。

 多分私をあんなに愛してくれる人は他に居ない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ