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努力畢生~人生に満足するため努力し、2人で『無敵』に至る~  作者: たちねこ
第一部 乳幼児期 『4歳編』
28/940

4歳 10

 『魔術辞典 著者:マヒア・グリモリオ』

 俺は半年ほど前からプランターじいさんの家で本を借りるようになっていた。

 ブリランテに本が読みたいと相談してみたらプランターじいさんが本をいくつか持っているから貸してもらえるように頼んでくれたのだ。

 俺はそれに感謝して本を借りた。

 その一冊目がこの『魔術辞典』。

 この世界にある『魔術』の種類と、その『魔術』でできる事が簡単に書かれている。

 髪色については書かれていない。

 最初の注意書きには、手の内をばらす事は死を意味すると書かれていた。

 この世界にも昔、戦争があったらしい。

 その時代に書かれたものなのかもしれないな。

 さて、この本によるとこの世界には『基本魔術』と『限定魔術』、『絶滅危惧魔術』に『絶滅魔術』が存在している。

 『基本魔術』は『火』『水』『土』『風』『雷』と言った5つの『属性』を持っていて、『天魔族』の血が流れていれば誰でも使えるようになるらしい。

 それぞれの属性にはそれぞれ『破壊性』や『柔軟性』等の特性があり、生活面で使用するだけではなく、身にまとわせれば身体強化のようなことも出来ると書かれてあった。

 俺にも使えるのではないかと読み進めて行ったが、どうやら使用可能になるためには、『天魔族』から特別な処置を受ける必要があるらしく使えそうには無かった。

 では、『限定魔術』はどうか。

 やはりこちらも条件があった。

 しかも、その条件はそれぞれで違うらしく、この本を書いた人も把握しきれていないのだろう、その条件にたいする記入は殆ど無かった。

 あったのは一文。

 『気持ちや、同じ『限定魔術』の『魔素』に触れる事等、様々な『覚醒条件』がある事は確認されているが、全てを把握することは叶っていない。』

 『限定魔術』を使用できるようになることを『魔術覚醒』と言うらしい。

 その条件が『覚醒条件』。

 俺の『覚醒条件』は何なのだろうか?

 早く使えるようになりたい。

 『限定魔術』には、『気配魔術』『強化魔術』『計算魔術』等々が確認されているらしく、俺の使える魔術に期待が高まる。

 それから、『限定魔術』よりもさらに少数の家系にしか使えない魔術がある。

 それが『絶滅危惧魔術』。

 この間のセミージャさんが使った『治癒魔術』がそれだ。

 勿論、プランターじいさんが持っている傷を癒す力も『治療魔術』である。

 他にも『呪詛魔術』『封印魔術』『音楽魔術』『血変魔術』等々様々確認されてはいるが、現在も残っているかは不明だ。

 本の最後の方には、既に使い手が居なくなってしまった『絶滅魔術』という物が書かれていて、『融合魔術』とか『変身魔術』とか結構な数が並んでいた。

 この本自体、結構昔に書かれた物で大分古い。

 書かれた時点でこれだけ『絶滅魔術』があるのだから、『絶滅危惧魔術』の中から『絶滅魔術』が誕生していてもおかしくないだろう・・・。

 最後に、『原初の魔術』と言うページがあった。

 どうやらこの世界での最初の魔術らしい。


 『創生魔術』。


 まさしく、始まりの魔術だ。

 今は初期の力を無くし、名を変えてまったく違う魔術として残っているらしい。

 『創生魔術』が生み出した魔術は、『時間』『空間』『自然』『召喚』『融合』『感情』『復元』の7つ。

 これらは、そのまま残っているのもあれば絶滅してしまった物、力が弱まり、名前を変えて残っている物もあるという。

 『復元』は力を弱めて、『治癒』に変わっているのが確認されているらしい。

 そして、最後の一行。

 

 『『融合魔術』が生み出した『破壊魔術』。あのような魔術は今後絶対に生んではならない。』


 俺は本を閉じる。

 『創生』に対する『破壊』。

 遠い昔にあったという大きな戦争に関係するのだろう。

 著者の名前は一応覚えておくことにする。

 多分会えないだろうが、いつか会えたら『魔術』の事を聞いてみたい。

 「さて、そろそろ飲み終わったか?」

 隣で5杯目を飲み干したサティスに聞く。

 「うん!」

 満足そうである。

 可愛い奴め。

 「じゃあ、やるか」

 俺は立ち上がってソシエゴさんに会計を頼む。

 「うん!やる!」

 サティスも立ち上がってやる気満々である。

 俺とサティスは2人、お勘定を済ませていつもの小高い丘に向かった。

 今日は休息日である。

 俺とサティスにとっては好きに時間が使える日。

 俺は普段、朝に日課のスタミナづくりと体作り、午前中から夕方まではサティスと共に道場での修行、夕食後はセドロとブリランテによる『剣舞術』『協奏』の鍛錬、夜は体を拭いてデッサンをしてブリランテとちょっとした修行をして寝る。

 そんな毎日を送っている。

 そのため、俺は休息日にはできるだけ自由時間を作っている。

 勿論午前中は体力づくりと体づくりを欠かさないが、昼からは出来るだけ体を休めている。

 サティスも、普段よりゆっくり寝て体を休めている。

 だが、それは夕方までの話である。

 日が傾いた頃。

 夕飯までの約1時間。

 俺とサティスは秘密の特訓を行うようになっていた。

 サティスはワンピースをいきなり脱ぎだす。

 中はしっかりといつもの特訓用の半袖短パン。

 俺も服を脱いで、中に着込んでいた何時もの半袖短パンになる。

 俺とサティスは、木の下に置いたカバンから模造剣を取り出す。

 向き合って構える。

 俺は『守』派に寄っている。

 理由はサティスを守る為であるが、それ以上の理由がある。

 それは・・・。


 「対コルザ戦用特訓始めるぞ!」


 「いつもありがとう!次は私が必ず勝つわ!」


 『セロコルザ・アロサール』。

 この世界での従姉であり、サティスを負かした少女。

 彼女が『守』派と聞いて俺はすぐにコルザと同じ『守』派になる事を決めたのだ。

 1年前のあの日、サティスは初めての敗北を知った。

 3歳にして初めての敗北。

 悔し泣き。

 それでも、何度も立ち上がって毎日のように向かっていった。

 しかし、それでも一度も剣が当たらなかった。

 『アルコ・イーリス』で一番強い奴があんなに簡単に転がされ続けたのだ。

 俺はサティスだけではなく、セドロやブリランテ、果ては道場の仲間まで馬鹿にされたような気がした。

 俺の勝手な思い込みだ。

 わかっている。

 だが、それでも『ディナステーア』からの帰りの汽車で見たサティスの真剣な瞳。


 サティスを勝たせてやりたい。


 そう、思ってしまう。

 俺は『コルザ』の感覚をサティスに掴んでほしくて、劣化版でもいいから『守』を極める事を決めた。

 ブリランテにサティスが寝た後に特訓に付き合って貰う事を頼み込み、了承を得た。

 最初は『夜更かしは良くないわ』とか『翌日に響くのよね~』とか嫌がられたが、何とか折れてくれた。

 

 『本当にサティスが大事なのね』

 

 それはそうだ。

 だって彼女は『幼馴染』だ。

 大切な『幼馴染み』なのだ。


 大切な人には笑って欲しい。

 勝ちたい相手に勝って、思いっきり喜んでほしい。

 誰だってそう思うだろう?


 そして手に入れた『守』派の力。

 気持ち新たに俺は、この力を存分に使ってサティスの相手をする。


 こうして今日も日が暮れていった。


 帰り道。

 夕飯の時間より大分遅くなってしまった。

 日が落ちて空には星々の輝き。

 俺はなんとなしに星座を探す。

 ・・・無いか。

 『北斗七星』はなく、一番好きな星である『ポラリス』の姿も見つけられない。

 ひと際輝く赤い星があるのみで、あとの星々は初めて見る配置。

 だが。

 綺麗な物だった。


 「とうとう来週ね」


 サティスが自身の手を見つめて、握って開きながら言った。

 「あぁ、来週だ」

 俺は俺の手を強く握る。

 そう、今日の特訓が少し長くなったのは来週に向けて頑張りすぎたためだった。

 熱が入って気づいたらこんな時間だ。


 「わたし、絶対に勝つわ」


 サティスの目が鋭く前を見つめていた。


 来週はリベンジマッチ。

 頑張れサティス!

予約間違っちゃいました。

更新しました。


明日も予定どおり投稿します。

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