第一層 episode.2
「え………人類が…壊滅?」
「そうです。今から5年前、地球は地球外生命体によって滅ぼされました。その地球外生命体の戦闘能力はほぼ人類と拮抗していました。しかし…無限にやってくる敵。私達は「アグレッサー」と呼んでいますが、その「アグレッサー」に敗北しました。無抵抗の市民を虐殺していく「アグレッサー」の無慈悲さは今でも忘れません。でも人類も奮戦し、敵の約9割は撃滅しました」
「そうか………じゃあそのアグレッサーとやらにやられたのか。しかも狼の姿をした……」
短い会話を終わらせる一息つく。どうやらこの世界は全て終わってしまったらしい。それからまた話を続けると色々なことがわかった。
1つ目に。人類は全員いなくなったわけじゃない。
2つ目にまだアグレッサーもまだいる。
3つ目にアグレッサーは地球の生物を真似たものいる。
4つ目にアグレッサーはありえない現象を引き起こすことができる。
5つ目にこの都市は階層型都市で全30層あるらしい。そしてここはその1層。一番下だという。どうやら人類は一番上にいるらしいが。
これが今の話でわかったことだ。まだまだ油断できないがそこまで危険な状態………ではないのだろう。
「それで……ほかの人間はどこかにいないのか?」
「人間はいませんがここから20層ぐらい上に行けば軍が下層を奪還しようとしていると思うのでそこで救助してもらえるかも知れません」
「よし、決まりだ。そこへ行こう」
「………私もですか?」
「行かないのか?」
「………私はもう…生きてても仕方ない…いや、生きててはいけない……“ヒト”ですので…」
「………そういやアンタ…よく昔のこと知ってるな…今はその知識が欲しい。別に救助されたくないのなら別にいい。だけどそこまでの道とアグレッサーに対する知識を俺は必要としている。それならどうだ?」
「………わかりました。ギリギリまで同行しましょう。怪我のこともありますし」
「そうか、助かる」
「ではよろしくお願いします。それであなたのお名前を教えてくれますか?」
「ああ…ショウマだったと思う」
「よろしくお願いしますねショウマさん。私は…エルと申します」
「よろしく、エル。じゃあ…行くか」
「そうですね、外にはまだアグレッサーがいるかもしれません。気をつけて行きましょう」
「わかった。あとこれもっとけ」
そう言って俺はエルに持っていたハンドガンを渡した。
「これは?」
「拳銃だ。アンタに死なれると目的地に着かないからな。自衛用だ。弾は1発しか入ってないから気をつけろよ」
「わかりました。気をつけます………」
「よし、じゃあ行くぞ」
それから二人でビルの外へと出た。
外は大きな木や植物。あと戦車や装甲車の残骸がそこらじゅうにあった。
「………また死体か…」
「ここは激戦区だったみたいですね」
「そうなのか…まあいい。とりあえず上に上がるための階段を………あった……結構遠いな…」
「とにかく行きましょう。進まないと話になりません」
「そうだな」
それから歩いて30分ほど経った。草木が生い茂り、なかなか進みずらかったがナイフで斬り払ったりしながら進んでいった。それから急に植物がなくなり、高くそびえ立つ建物とそれに続く長い壁に遭遇してしまった。
「………壁だな…」
「壁ですね」
「…扉もあるな」
「小さいですね……扉だけ」
でかい大きな建築物だった。鍵穴が壊されている。ここに立て籠もったりしたのだろうか?規制線。つまり黄色と黒の斜線のテープ。それが貼られている。
「………ここから先は危なそうだな……そういやどうやってこの壁を超えてきたんだ?」
「………私は元々上のフロアにいたのですが落ちました。もう死んだと思ったらなぜか生きていて……」
「すごいな………それはさておきだな……ここから先をどうやっていくかが問題だな………」
「そうですね……中に入らないと先に進めません。少しあたりを探してみましょうか」
「そうだな。何か見つかったら呼んでくれ」
「はい」
さてと………どうするかな。見たところ白骨死体。異形の白骨死体。頭がない白骨死体。緑に覆われている白骨死体。いたるところに死体がある。腐臭のする死体よりかはマシだが………
「ん………?」
背後からカラカラという音がした。何の音かと思いふと背後を振り返ってみると………
「ギャアアアアっ!!」
「うわっ!?」
そこには先ほどの異形の白骨死体が立ち上がっていた。身長は2メートルぐらいある。頭には2本のツノと口には噛まれたら一撃で死んでしまいそうな大きな牙が付いていた。鋭い爪と妙に長い腕。何もかもから殺気が立っている。
「嘘だろおい……死んでるんじゃないのか!?」
そう叫び、ライフルの弾倉に弾を込める。あと2発。絶対に当てなければいけない。まずは足。
ターンッ!
とりあえず動きを鈍くした。そのあとは……
「無理だな。逃げるか」
一目散に逃げ出した。180度回転すると先ほど来た道を小走りで逃げ始めた。それからさっきエルと別れたところまで走ってきた。
「伏せてくださいっ!」
「うおっ!?」
一気に頭を下げ、屈み込むと頭上を弾丸が飛んで行った。命中。その骨の化け物の脳天だ。
「………」
「…やったのか?」
「みたいですね」
「なんで頭が弱点だって知ってるんだ?」
「上のフロアの軍人がスケルトン………さっきのやつのことです。その頭を撃っていたのを思い出しまして……あ、ちなみにスケルトンとは死んでも動き続ける。いわばゾンビの肉が落ちたバージョンです」
「なるほどな……怖いな」
骨の化け物、スケルトンの沈黙を確認したあと、そいつが何か光る物が持っているのを見つけた。
「なんだこれ………?カード……?」
「そうみたいですね…どこで使うのでしょうか…?」
「そういえばなんか見つかったのか?」
「向こうにさっきとは別の扉がありました。扉の横に黒い板みたいなのが付いていましたが何かわからないのであとでショウマさんに見せようかと思っていたのですが……大丈夫ですか……」
「正直疲れた。水飲みたい……ないけどさ」
「水ですか……もしかしたらこの建物の中にあるかもしれません。中に入れたら良いのですが……」
「さっきの扉ってどこだっけ?」
「はい、あっちです。付いてきてください」
「おー」
それから程なくして随分と真新しい扉を発見した。さっきのと比べてかなり新しい。ドアノブの上には赤いランプが付いている。
ドアノブに手をかけ開けてみる。やっぱりしまっていた。
「………すみません。あのこの黒い板のところにさっきのカードの裏にあったバーコードを当ててみてくれませんか?」
「………?わかった」
ガチャ!
「「開いた!」」
「ぴっ」という電子音とともにドアの鍵が開いた。
「やりましたね」
「開いてよかったよ。中に入ろう……ここを抜け出すのも大事だけど……水ないか探したい」
「そうですね」
それから俺たちはデカイ建物の中に歩みを進める。どうやら中は明るいようだ。電気がついてる。しかし所々天井が崩れていて結構危ない。天井の電気を見て思い出した。
「そういやなんで日光が下の階層まで来てるんだ?」
「あの天井自体が発光しているのではないでしょうか?私もよくわかりませんが…ともかく先に進む方法を見つけないと………」
「そうだった。さてめぼしいものは……死体ばっかじゃないか………白衣の死体が多いな」
「そうですね……ここは何かの研究でもしていたのでしょうか?」
「そうみたいだけど………一体なんの研究をしていたかはわからんな……さて、二手に分かれて探すぞ俺は右。エルは左の部屋」
「はい」
そう言って拳銃を片手に部屋の奥に行こうとするエルを引き止めた。
「ちょっと待て。これ持ってけ」
「……ナイフ?ですか」
「その拳銃もう弾無いだろ?死なれちゃ困る。まあ、それが使えるかどうかはエル次第だが」
「そうですか……わかりました。一応もらっときましょう」
そう言ってエルは俺の手からナイフを受け取った。これで俺の自衛用武器はライフル一丁と弾一発だけになってしまったがなんとかなるだろう。さっきのドアのドアノブを破壊してまで立て籠もっていたから中にいる敵はそこまで多くないだろう。
「さてと………」
入った部屋の反対側にはまた扉がある。おそらくそこを出れば壁の向こう側へいくことができるだろうが………どうやらここもカードで開く扉のようだ。黒い板が横にある。
「………何部屋もあるな……」
今いる部屋に繋がる薄暗く、パチパチとついたり消えたりを繰り返している蛍光灯がついている廊下の奥に3つほどの扉がある。
「………薄気味悪い」
ホコリが多いからか若干の胸苦しさを感じながら一つ一つ部屋を調べた。
「結局開いてたのは一つだけか………」
最奥の扉のドアノブに手をかけ押し開ける。
中には机と椅子。何かしらの液体が入ったフラスコ。明らかにやばい色だ……他には……棚。医薬品が大量に詰め込んである。
「……ここにも死体か……」
白骨死体が横たわっているベッドがそこにはあった。なんだか今寝たばかりと言いたげな双眸をしている。
「………」
こいつなんかほかの白衣の人間より偉そうなバッチつけてんな……
「こいつ何か持ってねえかな」
また最初のビルであった骸骨さんのように両手を合わせごめんなさいをして白衣を調べ始めた。
「あった。鍵だ」
じゃらじゃら着いた鍵の束とカードキーを手に入れた。カードキーには「マスターキー」と書いてある。どうやらカードと普通の鍵で開ける場所があるらしい。
「さて…さっきのところに戻るか。さてエルは何か見つけられたかな…」
さっきのところに戻る前に残り二つの部屋を鍵を使って入ってみたがどちらも同じような部屋で特に何もなかったがひとつだけ気になるところがあった。
「……地下に続く階段か?」
床に地下室か地下倉庫かの引き戸があったからだ。さっき白衣骸骨から奪っ……もらった鍵を全部試したがどれも当てはまらなかった。
「………まあいいや。また鍵が見つかったら来よう」
それからさっきのところまで戻ってきた。まだエルは戻ってきていない。
「………遅いな…ちょっと様子を見に行ってみるか…」
エルが行ったであろう左側の部屋に行ってみた。左右対称の造りらしく右側と同じ構造をしていた。どこからか水の音が聞こえる。
「ここか?シャワールーム………」
ドアは……開いているな。そのままほかの扉より一回り小さい扉を押し開ける。
そこにはかなり………というかとても狭い脱衣所があった。右側にある竹でできたカゴの中にさっきまでエルが着ていた服が綺麗に整頓されて置いてあった。
つまりだな………今エルはシャワーを浴びているということで間違い無いだろう。なぜシャワーを浴びているかまではわからないが………
「………」
よし。声をかけよう。じゃ無いと急に開けてきて全r
ガチャ
「「………」」




