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第一層 episode.11

「………んあ?」


眠気が覚める。鳥の鳴き声が聞こえる。どうやらもう朝らしい。ゆっくりと目を開けると無機質なコンクリートの壁が視界にはいる。横を向くと俺の肩にもたれかかって寝ているエルを起こす。


「………起きろ、朝だぞ」


スヤスヤと眠るエルの肩を揺すってみるが起きる気配がこれっぽっちも感じられない。

どうしたものかと考えてながら空の方を見上げる。


「……快晴だな」


そこには真っ青な雲ひとつない空が一面に広がっていた。太陽がこっち側から出てきてるってことはこっちが東か……


「………ん」


どうやらエルも起きたらしい。とろんとした目をしてなんだかフラフラしている。


「………大丈夫か?」


「………大丈夫です」


どう見ても顔が死んでいるが……そうだった。いつも死んでいるような顔をしているのを忘れていた。


「じゃあ入るぞ。今日で流石に2層に行きたい」


「そうですね、では行きましょう」


それから布団代わりのカーテンをバックに仕舞い、層間管理室内に入る。どうやら日があるおかげか中は明るかった。これならライトを使わなくても良さそうだ。


「………中は…結構綺麗なんだな」


「鍵がかかっていましたからね、植物は中に侵入できなかったんだと思います」


「なるほどな、じゃあひとつずつ部屋を調べるか」


「そうですね、じゃあまずこの部屋から調べますか?」


「そうだな」


ドアの上にはプレートが貼ってあったが文字がかすれていてよく読めなかった。


「開いてますね…」


「弾薬の節約が出来て良かった」


「なんでもかんでも銃でどうにかしようとするのやめてください」


「はい……じゃあ入ろうか…」


ジト目になっているエルの言葉に若干の居心地の悪さを感じつつ部屋の中に入っていった。


「………ここは…管理室か」


「ここなら扉を開けられそうですね」


それから2人で部屋の中をいろいろ探してみた。中には大きなパソコンが見つかった。それとカメラ。


「………どうしようか」


「とりあえずこのパソコンで扉を操作出ないか確かめてみましょう」


「そうだな………パスワードがいるな…」


パソコンの電源はついたもののログインするにはパスワードを入力しなければならないらしい。しかし、この部屋には一切パスワードについてのヒントがない。


「………どうしたものか…」


「………どうしましょうか」


参った。このままじゃ先に進むことができない。やっぱりどうにかしないといけなさそうだ。


「とりあえずこの部屋をもう一回洗いざらい探すてみるか……」


「それしかなさそうですね」


それからまた部屋の中を探してみるがめぼしいものは何一つ見つけることが出来なかった。


「………詰んだな」


「そうですね…」


さてどうしたものか………そういやカメラが机にあったな……

俺は机の上のカメラを手に持つと電源ボタンを押した。真っ黒だった画面が明るくなる。


「見ろエル。ついたぞ」


「遊んでる場合じゃないんですけどね……で、どうですか?何かヒントでもありましたか?」


それから色々触ってみる。どうやら「アルバム」というボタンで昔撮った写真が見られるらしい。迷うことなくそのボタンを押す。


「………どうやらヒントはここにあったらしいな」


「………ですね」


結構上等なカメラなのに1枚しか撮ってないのはおかしい話だがその1枚には4桁の数字が書いてある紙がパソコンのキーボードの上に乗っている写真が入っていた。

つまりこれがパスワードだということだろう。


「パスワードは……4、6、4、9って……」


「よろしく……ですね…」


「随分と茶目っ気のある人だったんだろうな。このパスワードにした人は……」


「……おそらくそこの骸骨さんかと」


エルの指差す先を見ると壁に寄りかかってるエルいわく骸骨さんがいた。肋骨が何本か折れて無くなってしまっている。


「そうかもしれないな」


それからパスワードを入力し、システム内部に入れたはしたものの……


「………どうやって開けるんだ?」


「……そうですね…おそらくここをこうして……あ、出来ました。多分ここを押せば…」


ガゴンッ…!


「開いたな……」


「開きましたね……」


ようやく次の層に行ける様になった。やっとだ……一層に2日もかかってしまった…このペースだと1ヶ月以上かかってしまう……


「……急ぐか。このペースだと20階層まで1ヶ月以上かかってしまう」


「そうですね…急ぎましょう。でも…死なない様に気をつけてながら行きましょう」


「………思うんだが…エルも結構過保護だよな?」


「………過保護じゃないです」


「今の間は何だ間は」


「………いいから先に行きましょう」


「……そうだな」


それから塔の中に入る。その前に…カメラを引っ掴んだ。塔の中は一面真っ白な空間が一面に広がっていた。その中心にポツンとエレベーターのボタンと扉がある。


「見ろこれ……一層ずつしか上がれないぞ」


エレベーターの扉の上には1という数字に明かりがついており、隣に2という数字が書いてあった。つまりこのエレベーターは次の階層にしか行くことはできないということだ。


「………すみません言い忘れてました…この階層都市はテロ対策用にエレベーターが一層ずつしか上がらないまたは下がらない仕組みになっているんです…」


「マジか……まあいい。とりあえず2層に行こう。ボタンを押せばエレベーターが動くのか?」


「そうですね、早く行きましょう」


「おー」


それからボタンを押すと扉が開いた。エレベーターの中はどうやら普通のエレベーターとごく同じの様だ。

2人でエレベーターに乗り込み、上向きのボタンを押す。すると扉がぎこちない動作で閉まり、上昇し始めた。


「……喉乾いたな」


「お水飲みますか?」


「そうする」


俺はバッグからペットボトルを取り出し、中の水をがぶ飲みする。喉に冷たい衝撃が走る。


「………お前も飲むか?」


「…いいんですか?では一口だけ……」


エルは俺の渡したペットボトルを両手で受け取るとゆっくりとペットボトルを口につけ、傾けた。


「………」


「どうした?」


飲み終わって俺にペットボトルを返すと急にそっぽを向いてしまった。その顔はほんのり赤くなっている。


「なんでもありません」


「でも顔赤いぞ?」


「なんでもないのでこっち向かないでください」


「………」


正直な話傷ついた。なんでもないのならば別に顔を見ようとしてもいいと思うのは俺だけだろうか…

まあエルも15歳だし他人に顔を見られるという行為はあまり好ましいものではないのかもしれない。そう考えると罪悪感がふつふつと膨れ上がってきた。


「悪かった。謝る」


「……いえ、こちらも失礼でした。別にショウマさんが嫌いというわけではないのでご安心ください」


エルの言葉を聞きホッとした。どうやら俺の事が嫌いでそっぽを向いたというわけではないらしい。でも、なぜそっぽを向いたかは教えてくれなかった。


ガコンッ!


さっきまであった上から少し押さえつけられているような感覚が消え、一瞬宙に浮いたような感触がするとまた元に戻った。どうやら次の階層。2階層に着いたらしい。

扉がゆっくりと開く。外から微かに薬の匂いがしたかと思うとそこには先ほどと同じ真っ白な空間が一面に広がっていた。


「着いたみたいだな」


「そうですね」


「行くか」


「はい」


こうして約3日をかけ遂に俺たちは第2階層へと足を踏み入れる事ができた。



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