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 私は今、海を眺めながらかき氷を食べている。メロン味、美味しいです。


「あ、オクトパスだー」

「どこ? あ、ユーゴさん達だ」


 さやかちゃんが指差す方を見たら、波間に見え隠れする巨大なタコと、そのタコと戦っている三人のプレイヤーがいた。


「おおうっ!? ちょっ、俺を食ってもうまくねーぞ!?」

「ああっ、ユーゴ! カレン、ユーゴが食われた!」

「なにやってんのよ、もう!」


 ……うん、楽しそうでなにより。

 そんな風景を眺めながらさやかちゃん、ユキトさんと三人、並んで浜辺に座っている。え、決闘?

 もちろん勝ちました。圧勝ですよ、ふっふっふ。とは言っても、主に与一さんとマリアロッテくんのおかげだけどね。

 でも、紅蓮は私がきっちり倒した。すごい悔しそうでスッキリ!


「おい。焼きそば持ってきたぞ」


 その紅蓮が仏頂面で焼きそばを運んできた。今、彼らは決闘で賭けた「好きなだけ食い物を奢る」を履行中なのである。

 与一さんやマリアロッテくんは屋台のテーブルでいろんな物を食べまくっているけど、私やさやかちゃん達はそこまで食べる気はなかったので、こうして海を眺めながらのんびり食べているのだ。


「ありがと。でも、もういいよ。さやかちゃん達もいいって言ってるし。お金、大丈夫?」

「お前に心配される筋合いはねーよ。……とっとと食え。冷めたら不味いだろ」


 うーん。素直じゃないなあ。

 でもくれるという物を突き返すのもなあ、とお礼を言って受け取り、さやかちゃん達と分け合って食べる。

 なんでお祭りの時とか海に来た時に食べる焼きそばって美味しいのかな。普段はあまり食べる気にならないのにな。


「……お前の武器、なんだよ。卑怯だろ、短剣のくせに伸びやがって」


 私の隣に座り、海を見ながら紅蓮がぶつぶつとぼやいた。


「いいでしょ。《流水》っていうんだよ」

「くれ」

「やだよ。なんであんたにやらなきゃいけないの」

「欲しいからだよ」

「意味わからないから」


 と、そんな意味不明な会話をしていると、ユキトさんが吹き出した。

 ん? と紅蓮と二人、顔を向けるとユキトさんは笑いを堪えながら謝った。


「ご、ごめん。いや……仲が良いなあ、と思ってさ」


 一瞬、何を言われたかわからなかった。チーン、と再起動した私と紅蓮はお互いを見て、同時にユキトさんにがなりたてた。


「――はあ!? 誰がこんな犬女と! ふざけんなよ、ヘタレ鬼!」

「そうですよ、やめてくださいよ、ユキトさん。この金髪男と仲が良いなんて!」

「へ、ヘタレ鬼って……ちょっと酷くないかい?」


 あり得ない事を言い出したユキトさんに私と紅蓮は反論し、ユキトさんは涙目で言い返す。ぎゃあきゃあと言い合っていたら、ぽつり、とさやかちゃんが呟いた。


「……いいなあ」


 淋しそうなその呟きに、私達は口をつぐんだ。さやかちゃんは俯いたまま、もう一度呟く。


「いいなあ。リンお姉ちゃんもユキ兄さんも楽しそう。金髪のお兄ちゃんもお友達がいるし……」

「……さやか、って言ったよな。お前、友達いねーの?」

「……うん。さやか、身体弱くてずっと入院してるから」

「さやか……」


 ユキトさんがさやかちゃんの頭を撫でる。そっか……だから、さやかちゃんこのゲームをプレイしてるのかな。このVRの世界でなら、思いっきり遊んでも平気だから。

 でも、プレイヤーのほとんどはさやかちゃんよりずっと年上ばかり。きっと、遊んでいても物足りないんだろうな……。


「……おい。今日は楽しかったか?」

「え?」


 仏頂面のまま、紅蓮がさやかちゃんに尋ねる。さやかちゃんは少し考えて頷いた。


「うん……面白かった。久し振りに、リンお姉ちゃんにも会えたし」

「そうか。なら、お前もちゃんと楽しんだよ。俺達を羨ましがる事、ないだろ」

「……あ」


 目を見開くさやかちゃんに、紅蓮は小さく笑ってみせた。


「暇してたら、俺に連絡よこせよ。時間があったら遊んでやる。そこの犬女も同じ事言うと思うぜ」

「……犬女じゃないけど。でも、うん。また一緒に遊ぼうよ、さやかちゃん。フレンドになってくれる?」

「……うん!」


 さやかちゃんにひまわりのような笑顔が戻った。……紅蓮にも、いいところがあるんだね。

 そんなふうに皆でなんだかほっこりしていると、いきなり空が曇った。見上げると真っ黒な雲がどんどん増えていっている。


「おいおい、まさか雨かよ?」

「さやか、海の家に行こうか」


 と、話している間にも黒雲は青空を覆い隠し、空気がひんやりとしてきた。ぽつり、と一滴の雨が落ちてきたかと思うと、バケツの底が抜けたようなどしゃ降りになる。


「うおっ、降ってきやがった!」

「わわっ、さやかちゃん、大丈夫?」

「うえーん、びしょ濡れだよう。ユキ兄、防水スプレーは?」

「ごめん、買ってない……」


 ユキトさんがしょんぼりと頭を垂れる横で、私はインベントリから防水スプレーを取り出した。人数分。それをまずユキトさんへ差し出す。


「どうぞ、使ってください」

「いいのかい?」

「はい。念のために多めに持ってますから。さやかちゃんもどうぞ。ついでに金髪男も」

「わーい、ありがとう!」

「ついでは余計だ」


 ユキトさんは申し訳なさそうに、さやかちゃんは笑顔で、紅蓮は舌打ちしながらそれぞれスプレーを受け取った。

 皆がスプレーを使うのを見ながら私もスプレーを使う。スプレーのおかげで雨を弾くようになり、ようやく落ち着いて周囲を見回すことが出来るようになった。

 すると、とある事に気付く。


「見て。あれって、舟だよね?」

「ん? ああ、NPCの漁師だな。この雨で漁を止めて帰ってきたんじゃねーの」


 私が指差した先を見て、紅蓮が興味なさそうに答える。その隣でユキトさんが首をかしげた。


「それにしては様子がおかしいよ。なんだか、やけに怯えているような……」

「助けてくれ! 幽霊船だ! 永夢の海賊が襲ってきた!」


 ユキトさんの言葉の途中で、漁師さんが叫んだ。皆で顔を見合せ、沖の方を見る。


「幽霊船?」

「あ、リンお姉ちゃん、あれじゃないかな? 真っ黒な旗の船が近づいてきてるよ」


 さやかちゃんの言う通り、黒い旗を掲げた一隻の船がここに近づいてきている。


「おい。スケルトンだ」

「ゾンビもいるね」


 紅蓮とユキトさんが船に乗っている海賊達を見ながら顔をしかめた。確かに、頭にバンダナを巻き、手にナイフを持ったスケルトンや、水夫風の格好をしたゾンビが船の甲板にひしめいている。


「何かのイベントなのかな。戦う準備をしとこうか」


 ユキトさんがインベントリから槍を取り出す。赤い房の付いた中華風の槍だ。


「そうだな」


 ユキトさんに続いて紅蓮が取り出したのはナックルだ。彼はそれを指に嵌め、感触を確かめるように何度か手を握り締める。


「さやかも頑張るよ!」


 さやかちゃんもインベントリから杖を取り出していた。ロッドっていうのかな、すごく短い杖で、銀色だった。

 皆に遅れないように私も戦闘に備えて装備を戻す。

 ウィンドウを立ち上げて装備変更を選択すると、水着からいつもの格好へと一瞬で変わった。

 水蜘蛛のジャケットに火鼠のケープ。バトルホースのグローブと若草の腕輪。腰にはポイズンククリと流水のショートソード。そして、露草に頼んで作成してもらった【闘鹿のズボン】と【闘鹿のブーツ】。


 【闘鹿のズボン】DEF+12

 【闘鹿のブーツ】DEF+12


 となっている。それから、腰ベルト。


 【バトルホースのベルト】DEF+5

 備考:カスタムによって左右に短剣を下げる事が可能になっている。


 これらに加え、おまけに投げナイフ用のベルトも貰った。


 【バトルホースの投げナイフ用ベルト】DEF+2 備考:五本のナイフをセット出来る。


 これは左足の太ももに付けている。前面に三本、側面に二本のナイフを差しておく事が出来て、インベントリから出す手間が省けるのだ。

 流水の方を手に持ち、準備完了だ。

 海賊の幽霊船も、岸まであと少しのところまで来ている。だけど。


「……来ないね?」


 私は首をひねった。岸から少し離れたところで幽霊船……海賊船? は停滞したまま、動かなくなった。


「リンさん。遅くなりました」

「わんこのおねーさん、ごめんね」


 動かなくなった幽霊船を眺めていると、与一さんやマリアロッテくんがやってきた。紅蓮の仲間達も一緒で、もちろん皆戦闘スタイルに戻っている。


「あっ、小舟を下ろしてるよ!」


 ユキトさんの声に再び船を見る。すると、幽霊船から二隻の小舟が下ろされ、こちらへと向かってくるのが見えた。小舟には、スケルトンやゾンビがぎゅうぎゅうに詰め込まれている。


「よし。いくぞ、手前ら!」


 紅蓮は両手で拳を握り、打ち合わせるとにやりと笑う。

 小舟は既にすぐそこまで来ていた。




「ていやあっ!」


 マリアロッテくんの巨大な戦斧が数体のスケルトンをまとめて吹っ飛ばす。


「アローレイン」


 与一さんがスキルを使ってスケルトンやゾンビを一掃する。

 もちろん私も戦っている。

 スケルトンは頭蓋骨か骨盤が弱点だ。堅いのでダメージが入りにくいけど、ちまちまと削って確実に仕留めていく。

 でも減らない。


「ちっ。きりがねえな」


 スケルトンの一体を殴り飛ばしながら紅蓮が舌打ちした。

 倒しても、また次の小舟がやってくるので一向に減らない。前にルーゼフさんが口にしていた、無限湧き、というものかな。


「船に乗っている親玉を倒さないといけないのかも知れないね」

「でもよー。相手は海の上だぜ? どうすんだよ」


 槍で周囲にいるゾンビ達をなぎ払いながらユキトさんが言い、ヨナルデが幽霊船を見てぼやいた。

 幽霊船は距離をとったまま海に浮かんでいて、岸には来ない。泳いで行ける距離ではあるけど、試したプレイヤーは船からの砲弾や矢を受けて死に戻ってしまった。潜水して近づいても、船に昇る時に攻撃を受けてしまうし。ちょっと無理な感じだ。

 延々と続く戦いに、私達も他のプレイヤーもうんざりしていた時だ。


「冒険者達よ。よく持ちこたえましたね」


 雨音を掻き消すような、凛とした女性の声が響いた。

 続いて一人の女性が唐突に浜辺に現れる。緑色の長い髪を後ろで一つにまとめたエルフの女性は、驚く私達に構わず手にした杖を掲げた。


「まずはあの卑怯者をこの場へと引き摺りだしてやりましょうか」


 杖の先に魔方陣が浮かんだかと思うと、凄まじい風が吹き、幽霊船へと向かった。沖で停滞していた幽霊船は風に絡みとられて、こちらへと無理やり運ばれてくる。


「おお! さすがはリシャラザート様だ!」


 漁師さんの一人が興奮を隠さずに声を上げ、プレイヤーの一人に「知っているのか?」と訊かれた。


「ああ、もちろんだ。あのお方は我が国に使えている筆頭魔術士で、この大陸でも一、二を争うほどの魔術士といわれている」

「説明くせーな」


 ぼそり、と紅蓮が呟いた。そういうことは思っていても口にしない方がいいと思うよ。

 とにかく、幽霊船はリシャラザートさんの魔法……魔術? で、岸に上げられた。後は、こっちの番だね。


「っしゃあ、ボスの首は貰ったぜ!」


 炎のように赤い目をぎらぎらと輝かせ、紅蓮が突撃する。私達も当然後に続いた。




 船からはスケルトンやゾンビがわんさか出てきたけど、出来る限り無視して親玉を探す。見つけるのに時間はかからなかった。

 スケルトンやゾンビの中に、一人だけ立派な服を着た男性がいたのだ。大きな帽子を被り、左目には眼帯を付けていて、いかにもな姿をしている。

 彼だけはスケルトンでもゾンビでもなく、普通の人間に見える。ただし、顔色が蝋のように白いことを除いて、だけど。


「見つけたぜぇ! お前がボスだな!」

「……冒険者ふぜいがいきがるか」


 紅蓮が殴りかかるけど、あっさり躱されている。素早い! それにしゃべってる!


「どうやら上位のアンデットのようですね」

「強そうだね。ボクもまざろーっと」


 与一さんが呟く隣で、マリアロッテくんが嬉々として戦斧を振りかざす。


「まーぜーて。いくよー、パワースラッシュ!」


 マリアロッテくんの強烈な一撃が放たれる。振り下ろした戦斧から赤い衝撃波が走り、海賊の親玉――船長に向かって襲い掛かった。


「うお、あぶねえっ」


 巻き込まれそうになった紅蓮が慌てて回避してマリアロッテくんを睨んだ。


「手前、何しやがる。喧嘩売ってんのか?」

「ふっふーん。ボスを倒すのはボクだよーだ」


 船長を間に挟んで睨み合う二人。余裕だなあ。

 だけど、当の船長はまだほとんどダメージを食らっていない。二人に向けて、レイピアの突きを繰り出した。

 素早い突きの連続攻撃に、紅蓮はともかくマリアロッテくんは避けられず、かなりのダメージを負う。


「油断大敵、ですよ。マリア」


 呆れたように呟いたのは与一さんだ。彼女は弓を引き絞り、まだ突きを放っていた船長に向けて光の矢を射る。これは船長になかなかの痛手を与え、突きを止めることが出来た。


「うええん、ヨイチー。こいつ、ひどいよぅ」

「泣き真似はよしなさい」


 マリアロッテくんが船長から離れるのを見計らい、私も動いた。流水を使い、スキルを放ったけど、効果はいまいち。やっぱり、こういう敵には非力な短剣使いはあまり役に立たないなあ。

 仕方なく、私は船長を引き付ける回避盾の役割に徹することにした。

 他のプレイヤーも時折参戦し、闘うこと数十分。


「これで、しまいだあっ!」


 紅蓮の放った右ストレートが船長の顔面に炸裂し、見事倒すことが出来た。

 良い武器が手に入ったらしい紅蓮は大喜びし、倒せなかった他のプレイヤーはがっかりしていると、降った時と同様、唐突に雨が止んだ。

 再び青空が広がり、皆が眩しさに目を細める。そんな中、今までスケルトンやゾンビを相手にしてくれていた魔術士、リシャラザートさんが声を張り上げた。


「冒険者の皆さん、皆さんの協力で海賊の亡霊は消え去りました。ありがとうございます。お礼に、ささやかな贈り物をしたいと思うので、片手を開き、前に出してください」

「片手を開き……こうかな?」


 さやかちゃんが右手を開いたまま前に出す。私も同じように出し、皆もそれぞれ片手を前に出した。


「よろしいですか? ――では」


 リシャラザートさんが口の中でなにやら唱える。すると、しゃらん、と音がして手のひらに一枚のメダルが落ちてきた。


「王国金貨です。少ないとは思いますが、感謝の気持ちです。どうか受け取ってください」


 王国金貨、という名前に聞き覚えはなかった。お金なら、コインだし。


「おい! これ、ガチャのメダルみたいだぜ!」

「えっ!?」


 誰かが叫び、皆が一斉にメダルを凝視する。私もメダルを見つめた。金色で、五百円玉程度の大きさ。表と思われる面には冠を被った王様らしき人の顔が彫られていて、裏には剣と花の紋章が刻まれている。


 【王国金貨】

 ガチャのメダルとして使用可能。一枚につき一回。


 うわあ。ガチャ、あるんだ。そりゃあるか、オンラインだもんね。


「やった、ラッキーだねっ」

「うん、やったね!」


 ぴょこん、ぴょこんと跳ねて喜ぶマリアロッテくんを真似て、さやかちゃんも飛び跳ねる。

 それを皆で笑って眺め、ふと気が付くとリシャラザートさんは姿を消していた。




「じゃあ、リンお姉ちゃんまたね! 与一お姉ちゃんもマリアロッテお姉ちゃんも、紅蓮お兄ちゃん達も、また遊んでね!」


 無事海賊を倒した後、元気いっぱいにお別れを口にして、さやかちゃんがユキトさんとログアウトした。そして自然と私達と紅蓮達も別れる空気になる。


「じゃあな。今度は負けねー」

「まだやる気なの」


 私は苦笑する。紅蓮の見かけは私より少し年上、といったところだ。なのに子供のように意地っ張りで、頑固だ。彼の仲間達も苦笑しているところを見ると、いつもこうなんだろうな。


「じゃあまったねー」

「今日はご馳走様でした」

「マリアロッテ、また話そうな」

「楽しかったっすー」

「また」


 与一さん達の方は仲良くなったみたいでフレンド登録をしていた。それをぼんやり見ていたら、私にもメッセージが来た。


 ――プレイヤー【紅蓮】からフレンドの申し込みが来ています。受けますか?

 《YES/NO》


 え、と紅蓮を見るとそっぽを向いている。なんだこれ。え……本気で?


「……また勝負を挑む時に便利だからな」

「あ……そっか、そういう事ね」


 あー驚いた。私はなるほど、と納得してYESを選択してやった。うん、暇なら付き合ってあげよう。

 そして私達は別れ、それぞれ海を楽しみ夕暮れの空の下、《白の都》に帰ったのだった。




 後日、トオルのギルドに食材を持ち込み、料理を依頼した際、海のお土産としてスイカを三個渡したら、なんとギルドをあげてのスイカ割り大会になった。

 私も勧められて参加したところ、見事に一個割る事が出来て、賞品として魔石を貰えた。

 ラッキーだった。

   *おまけ*


「それにしてもなんでいきなり海賊がきたんだろうね?」


 私が首をかしげると、さやかちゃんがユキトさんを見上げた。


「もしかしてユキ兄のせいじゃないのー?」

「そ、そんな事ないよ」

「どういう意味だ?」


 妙に焦るユキトさんの横から紅蓮がさやかちゃんに尋ねる。


「んとねー、ユキ兄、スキルに【不運】もってるの」

「さ、さやか」

「いっつもドジしたり、ミスったりするから、スキルのせいなのかわかんないけど」

「そ、そうなんだ」

「……まあ、頑張れよ」

「うう……ばらさないって約束したのに。ひどいよ、さやか」

「あ、ごめんなさい。忘れてた」


 どーん、と音がつくくらいに落ち込むユキトさんに、私と紅蓮は乾いた笑みを向け、さやかちゃんは可愛らしく謝ったのだった。

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