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魂が能力になるVRMMO『アスターソウル』で死んだ幼馴染と再会したらAIだった件  作者:
第二章 誰がための力 ~暗躍する善意~
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第21話 ふわふわ

「ヴェリス! いまどこ!?」


 チャットウィンドウのワイプ越しに、楓也が血相を変えて連絡をよこした。独りで心細かったヴェリスは、少し表情を明るくして答える。


「えっと、やどや……? ってところにいるよ」


「宿屋……場所はフリゴかな」


「たしか、そんな感じ」


「OK。今そっちに向かっているから、そのままもう少しだけ待っててね」


 その後、宿泊者の権限をヴェリスからパーティへと移譲いじょうし、無事に合流を果たした二人。部屋で詳しい事情について話し合っていると、途中でアーリアもログインし、すっ飛んできた。


「ヴェリスちゃん、無事ですの!?」


「ん、へいき」


 ほっとした顔で、彼女を抱きしめるアーリア。

 これで三人そろったものの、問題は山積みだ。あまり悠長ゆうちょうにしている時間はないが、まずはどう立ち回るかを決めるため、現状について正確にとらえる必要がある。アーリアはヴェリスにひっついたまま、話し合いに参加した。


「それにしても、まさかあの情報屋の方が手を貸してくださるなんて」


「ぼくもびっくりしています。ヴェリス、変なことされなかった?」


「助けてくれただけ。楓也と、アーリアと喋ったあとすぐいなくなっちゃった」


「そっか、ならよかった……ってヴェリス、今ぼくたちの名前を……?」


「ん、これからはそう呼ぶから」


「まあ嬉しい! 本来なら喜びの舞を披露したいところですが……今は佳果さんの安否が心配ですわね」


「はい。――相手は謎の黒服集団という話です。情報屋あのひとによると、一線は越えない分別ふんべつがあるようですが……アーリアさんは誰か心当たりがありますか?」


「いえ、残念ながらございませんわね……佳果さんはどうして、そのような得体の知れない相手に狙われたのでしょう」


「それは……わたしが、あそこに、行きたいって、言ったから……」


 半べそをかくヴェリス。ひどくセンチメンタルになっているのを察した楓也は、彼女の頭をなでて、落ち着いた声音でさとした。


「ヴェリス、それは違うよ。阿岸君はああ見えて、楽しいことが大好きなんだ。遊園地に行ったのは、そこで過ごす君との時間が、きっと楽しいものになるって心で感じていたからだと思うよ」


「……わたしとの時間が……?」


「うん。もちろん、ぼくたちだってヴェリスがいるだけで楽しいけどね。これから一緒に色んなものを見たり感じたりできると思うと、楽しみで仕方がないや」


「ええ、あなたがいるだけで、わたくしたちはとってもワクワクできますのよ? ……ヴェリスちゃんはどうかしら」


「……わたしも、みんなといると、なんだか空を飛んでるような、ふわふわした気持ちになる」


「へへ、でしょ? だから、その気持ちは否定しなくていいんだ。阿岸君もヴェリスも、同じようにワクワクして遊園地に行っただけなんだから。悪いのはその黒服のやつらさ」


「……そう、なんだ……」


 ヴェリスは眉をハの字にして、困ったように笑った。

 ログアウト前には決して見せることのなかった、優しい表情がそこにある。

 楓也とアーリアは目を見合わせてうなずいた。

 これはおそらく、よしかがそばにいたから起きた変化に違いない。

 ――彼を助けなければ。

 そう強く再認識した二人は、さらに話を進めてゆく。


「それで、阿岸君が狙われていた理由なんですけど。一つ思い当たる節があります」


「まあ、なんですの?」


「"太陽の雫"です」

お読みいただき、ありがとうございます!

今日は多忙で時間が取れなかったため、少し短めです。

「これくらいでもいいよ~」という

心優しい方がいらっしゃいましたら、

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