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2段階への道のり(修了検定)

 2017年11月4日。この日は修了検定を受けた。

 検定開始時間が中途半端な時間の為、開始2時間前に家を出てスクールバスに乗る。乗車中は車道に目を向け、走っている車の流れを注意深く観察した。

 教習所に着いてからはスマホで『修了検定の流れ』を調べる。元々は前日の内に調べておこうと思ったのだが、どうしても気乗りしなかったので直前になってしまった。

 複数のサイトを回っていると、放送で『修了検定を受ける人は第3教室に~』と流れたので、第3教室へと移動する。呼ばれるまで1時間以上待っていたが、緊張の所為かそんなに待った気がしなかった。

 いよいよ始まるのか。

 適当に空いている席に座り、周囲にちらと目を向ける。見たところ集まった人数は30人ほど。後から来た教官の指示で、受験者は全員受験番号順に着席する。

 その後、検定中の注意事項の説明を一通り受けたところで検定開始時間に。僕は受験番号3番だったので、本来なら2番目(次に受ける教習生が同乗する決まり)に乗車する筈だったのだが、受験番号1番の人が来なかった為、2番の人と一緒に乗車することに。

 検定を受ける順番が2番目になったことを僕はラッキーだと思った。2番目なら自分の番まで大して待たずに済むし、検定の流れを自分の目で落ち着いて確認することができる。これ以上メリットのある順番はないだろう。僕は受験番号2番の若い男の子とコース内に足を踏み入れ、検定用の車の後部に嬉々として乗り込む。

 それじゃあじっくり今日の流れを見せてもらおうかな。

 内心ニヤニヤしながら開始するのを待っていると、不意に耳にした2番君の生年月日に度肝を抜かれる。

 平成11年生まれってマジかよ。俺よりずっと若いよ、この子。

 自分より7歳も若いと知り、一人で勝手に動揺している間に2番君の検定開始。2番君の運転がどうだったのかを書くのは2番君に失礼な気がするので詳述しない。ただ、2番君がのっけから急ブレーキをかけた時に『俺今日死ぬかもしれない』と思ったのは紛れも無い事実である。

 少し話が逸れてしまった。2番君の番が終わり、いよいよ自分の番に。

 落ち着いて運転すれば大丈夫。落ち着いて運転すれば。とか思っていたのだが、のっけから速度が足りなかったのか車からガタガタと嫌な音がする。頼むからエンストしないでくれと祈りながらアクセルを強めに踏み、なんとか持ち直す。それで安心して気が緩んだのか、ハンドルを切ったことで出していた合図が消えてしまったことに気付かず、そのまま曲がろうとして試験管に『合図消えてるよ』と指摘されてしまう。

 あぁ~これすげえ減点されたんじゃないの?もう終了じゃないの?終わった終わったもう駄目だ。

 頭に浮かぶのは大学受験に失敗した時に見た『不合格』の文字。しかし、心の中で諦める自分に意を唱える自分が現れる。

 いや待て、2番君はもっと酷かったのに減点超過してなかったぞ。まだ大丈夫だろ。

 ここから少しずつ気持が落ち着いてきて、狭路走行も坂道発進も問題なくできて、検定終了。

 最初の合図出し忘れを除けばミスはなかった。2番君の例もあるし、これは受かっただろ。

 余裕な調子で待つこと3時間。再び第3教室に集まり、結果発表。合否が伝えられる前に4人ほど教官に呼び出され、教室を出ていく。

 え?なんであの人たちだけ出ていくの?体調悪いのかな?それとも不備でもあったのか?

 そんな呑気なことを考えている間に、1番前の席の人から順に合否結果を伝えられていく。僕の座席位置は前から3番目だが、1番目は欠席なので合否が分かるのは2番目だ。とはいえ、2番君が合格と伝えられていたので、言われる前から自分は合格だと分かってしまった。

 なんだ、2番君落ちなかったんだ。

 試験官が2番君に悪かったところをあれこれ伝え終わった後、自分の番に。結果は合格。お次は反省タイム。

 これみんなの前で下手な部分指摘されるの嫌だよなぁ俺は何言われんだろ。とか思っていたが『曲がる時に周りに注意してね。あとは目立ったミスはなかったよ』としか言われなかった。

 えぇ~なんだよそれ。2番君めっちゃ言われてたぞ。

 続く3番君と4番君は2番君と同様に悪かったところを色々指摘されていた。この時から『自分はそこそこ運転上手いんじゃないか』と思うようになるが、性格上慢心することはなかった。ちなみに結果発表の前に教室を出て行った人たちだけが不合格だったようだ。

 結果発表が終わった後、ちょうどスクールバスが出発してしまったので、歩いて帰ることにした。スクールバスに乗って何度も教習所に来ていたので、さすがにもう道は覚えていた。

 これであとは学科試験に受かれば2段階だ。2段階になれば路上教習が始まる。

 僕にとっては路上に出てからが本当の地獄なのかもしれない。帰り道にふとそう考えると、修了検定に受かったことを素直に喜べなかった。

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