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次に説明しなければいけないのは破壊の魔道具の対処だろう。これは苦労したぜぇ~マジでな。
オッサンの宿の屋根の上に毎夜のように潜み、盗聴、書類の盗み見、魔石や魔道具の有無を調べる。他にも部下っぽい人物の尾行もしたりした。
そうやってテロの概要を暴き対策を施す。一番楽な方法は魔道具を回収してハイ終わりってしたかったんだが、見張りがいてゼノのオッサンに定期的な報告までしていて無理だった。
なのでこんな仕掛けをした
ダンジョンのドッペルゲンガーシステムで魔素の全くないC4級魔石を作る。見た目と質感、重さなんかは完全に同じだ。それを破壊の魔道具にセットされている本物の魔石とすり替える。魔素は全くないがオレ以外誰もわからない。まさか使用してみて魔素の有無を確認できないしね。
問題はどうやって入れ替えるかだ
第一段階としては破壊の魔道具と魔石の位置を割り出す事。
キールの街を隅から隅までアイがスキャンした。C4級魔石の場所を全て抽出。魔石は魔道具にセットされており、携帯食などを準備した起爆役が必ずそばに居る状態だった。
破壊目標と思われる施設の傍で、宿屋や協力者と思われる個人宅などに待機していることが多かったな。当日までずっとそれでがんばるの?もう完全に精神が逝ってるんじゃないかな。
第二段階はいよいよ魔石の入れ替えだ。
力業で解決したよ。アルルが起爆役を寝かせる。そして魔道具がある場所や部屋に侵入して交換した。
困ったのはどうしても侵入できない、または近寄れない状況にある時だ。解決法はこうだ。アルルが現地で対象を寝かせる。オレはその場所に出来る限り近づいて下見しておく。続いてアルルからルルに代わってもらってダンジョンの最下層へ。ダンジョン出入口をその場所へつなぎ、現地へ侵入して魔石入れ替え。入れ替えたらその出入口を戻って再度ダンジョン最下層へ還る。だいたいこんな感じだ。
入れ替えが無事済めば、あとは決行日を待つだけだ。当日は14か所のそれぞれにリオラさん直属の部下を配置して破壊の魔道具を起動させた途端に現行犯で起爆役を捕獲した。この捕獲人員が足りなくてレリアの護衛騎士とミューズも捕獲を手伝った。
アイがスキャンで見つけたC4級魔石は全部で14個。何度もスキャン漏れが無いか確認したよ。実験に1個使ったのだろうと予想して納得。この14個以外にも破壊の魔道具がある可能性には気が付いていたが、事前対策が思いつかなかった。
魔道具自体やC級以外の魔石の位置特定が出来ればよかったんだが無理だったんだ。厳密に言うと出来たんだが、キールの街全体で対象数が多すぎてしらみ潰しにスキャンするには時間が全く足りなかった。
あとは当日、レリアも知ってる通りにゼノのオッサンに呼び出されて宿の部屋へ行く。レリアとオレ、アルル、そしてミューズのフリしたリオラさんで面会。
オッサンにジャミングしまくって口を軽くして全部話させる。それをリオラさんに記録してもらった上でタイーホ!ってな流れだ。
詳しく説明するとこんな感じになるけど、これをまともに全部説明したわけではないよ。当たり前だが能力やダンジョンについては誤魔化すしかない。
「え?どうやってやったんですか」
レリアが真っ先に聞いてくる。まぁ研究者というか科学者気質っていうのかな、気持ちはわかるよ。オレだって絶対に聞く。
「前にも言っただろ、探索者は奥の手の一つや二つ持ってるんだって」
「随分と万能な奥の手のようですね、いったいいくつ隠しているんでしょうか。私の隠し事や秘めた想いを聞いておいてご自分だけ話さないのはフェアじゃないと思います。当事者として是非聞いておきたいのですが」
本気じゃないだろうけど、ある程度しつこく聞いてくる。オレがなんて言い訳するか少し困っていると助け船は意外な所からやってきた。ユースティティアさんだ。
「アウレリア様。詳しく事実を知りたいというお気持ちはわかります。しかしそっとしておいた方が良い事もあるのではないでしょうか。
リク様は只人ではありません。そのような方が言葉を濁していらっしゃるんです。聞き分けるのが正道でしょう。例えばアウレリア様がご自身の恩寵について他人から詳しく聞かれた時に全てをお話しされるのでしょうか。
それともう一つ、これだけはしっかりとご認識ください。アウレリア様をお救いするために本来なら隠しておきたかった事をあきらめ、その手段をとってくださったんだということを。
もしこの機微が理解できないというのならば、失礼ですがアウレリア様、それは信義に悖るだけでなく人として礼に失すると私は考えます」
これにはレリアもぐうの音も出なかったようだ。
こうして説明は終了した。では今後どうするかって話に当然なるよね。
「レリア、残ったダンジョンの調査をやり遂げよう。もちろん協力する。そして早くその結果をまとめて発表したほうがいい。思わぬ邪魔でかなり遅れてしまっているからね。
あのオッサンもたまには正しい事を言う。この手の調査と発表はスピードが命だ。明日から、いや、今日から始めよう。いまからダンジョンは無理でもデータまとめなんかはできるよな?」
「はい。全力で努めます。ただし取得済のデータに関しては、まとめるのはここに足止めを喰らっていた期間に全て終わらせてあります。
今日はダンジョン管理施設に出向いて課長さんと発表内容の擦り合わせを行います。明日以降にダンジョンにおいて残った項目の調査をお願いします。階層に関しては13層を最終としたいと考えています」
「おお、しっかりと予定が立ってたのね。了解。護衛も含めて全部まかせて!」
「はい。よろしくお願いします」
レリアはそこで言葉を止め、オレの顔をじっと見つめる。なんだ?
「リク様。数日の内にこの調査とまとめは終わるでしょう。その後にお願いしたいことがあります。いいえ、お願いではありませんね。これはもはや運命でリク様の義務と言っても差し支えありません」
「え・・・なんだろう、少しいやな予感が」
「あの時リク様はこう仰いました。神の目でリク様を見ろと。そして『オレを信じてやってやるって、何一つあきらめたりしないって思いながら』と」
「う、うん・・言ったね?」
「その時、正確には私はこう問いました『リク様を信じて全てを諦めずに進む覚悟をすれば、リク様が最後まで私のそばで支えてくださり、困難を乗り越える事ができるか』と」
「・・・・・」
「おわかりですよね。この件はまだまだ決着しておりません。数日後、私たちは領都へ戻ることになるでしょう。つまり・・・」
「ちょっとまて・・」
「つまりリク様には一緒に領都へお越しいただきます。そして大神様にお会いしてもらって事の是非を確かめて頂きます。これは神の目の判断であり大神様によるお導き、確定事項ですので」
いやちょっとまって!?
第一章 ダンジョン編 ー 完 ー
ここまでお読みいただきありがとうございました。第二章魔道具編、第三章魔道王国学園編、『テンプレ転生に憧れて ~SIDE:勇者~ 』、等の構想中です。ずっと放置されていた魔素魔法(スロット魔法)もついに新しい物が出てくるようです。
しかし書きたいことはたくさんありますが、なかなかまとまった時間が取れずうまくいかないものです。
ではしばしのお別れを。




