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超能力を覚醒させよ!  作者: うちよう
1章 コンティニュー
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11 依頼の内容

11 依頼の内容 更新しました。

よろしくお願いします。

 酷く慌てた様子で駆け寄ってきた男の話によると、この近くの小さな村に異形な魔物が出没するとのことらしい。

 すでに村の人々に犠牲者が出ており、一刻も早く討伐して欲しいとのこと。要は魔物の討伐依頼だ。

 初めての討伐依頼にウズウズしている私を他所に、シックスが冷ややかな目で男を見つめていた。


 「どうか、依頼を引き受けてくれませんでしょうか?」

 

 男の依頼を快く引き受けようと口を開いた瞬間、シックスの手が私の肩にポンッと触れた。

 まるで、私が喋ることを遮るかのように——————


 「——————あなた、嘘を吐く相手は慎重に選んだ方がいいですよ」

 「えっ!? い、一体何を……」

 「言葉通りの意味ですよ。言葉なんて所詮、己が本性を隠すための音でしかありません。……要するに、私はあなたの本性が見えている、ということですよ」

 

 セブンの方を伺ってみると、男に向けて疑念の視線をぶつけていた。

 

 「巧みに言葉を使って、あなたは私たちを——————《UNKNOWN(アンノウン)》を体よく始末しようとしていた。違いますか?」


 シックスが言葉を放った直後、セブンが「私から離れないでください」と小声で告げてくる。

 そして次の瞬間、目に見えない何かが彼女の魔法と衝突し、やがて消滅したのをヒシヒシと肌で感じた。


 「……ああ、やめだやめだ。やっぱり一般人に《UNKNOWN(アンノウン) 》の始末はできない」


 降参と言わんばかりに、両手を挙げて無抵抗の意を示す男。

 シックスが「バカめ」と呟いたその直後、セブンは右手を天にかざしながら「フフッ」と嗤った。

 

 「——————『暴食ノ川(グラトン)』」


 彼女を中心に、法則性のない“暴食”という名の川が広域に駆け巡る。

 だが、男にその攻撃は一度たりとも当たっていない。法則性がないせいで命中率が低くなっているのだろうか。

 私と同じことを考えたのか、男は指を差しながら彼女を嘲笑う。


 「ガハハッ! カッコつけて出した大技がこの程度かよ。ダッセーの!」

 「フフッ。何か勘違いされているようですね? 私から手を出したらただの弱い者イジメになってしまうじゃないですか。残念ながら、私にはそんな特殊性壁はありませんので」

 「はあ? 一体何を言って……」


 男が言葉を発している最中、遠い木の所で男の悲鳴が聞こえてきた。


 「……まずは一人、ですね」


 それから一人、また一人と男の断末魔が前後左右から聞こえてくる。

 原因はセブンで間違いないだろうが、何が起こっているのが全く理解できなかった。

 

 「チッ! こうなったら俺が……」


 そう言って男が少しだけ身体を動かした直後、男の腕が後方数メートル先まで吹き飛んだ。


 「あ……? あ、あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」


 傷口を抑えながらその場に倒れ込む男。流石にこれはやり過ぎだ。


 「セブン? 流石にやり過ぎだよ……」

 「どうしてですか? このまま後手に回っていたら、私たちは殺されていたかもしれないのですよ? 『暴食ノ川(グラトン)』は対象——————私たちに向けられたあらゆる魔法を感知した瞬間、感知した対象部位を喰らうシンプルな魔法です。自分の命を守るのに必要なことだと思うのですが」

 「……なら、正当防衛か」


 ということは、目の前の男だけでなく多方向から命を狙われていたということか。考えるだけで背筋がゾッとする。

 

 「だとしてもセブン、あなたはもう少し手加減を覚えるべきですよ。これ以上の罪を重ねてどうするんですか」


 そう言いながらシックスは、転げ回る男に手をかざして魔法を唱える。


 「『感覚操作フィーリング・コントロール』」


 シックスの魔法が発動してから間もなくして、男の苦痛の叫びが治っていく。

 

 「命が惜しければ二度と私たちに関わらないことです。次、私たちに敵意を向けたら命の保証はできませんからね?」

 「……ああ」


 魂が抜けたように気の抜けた返事をする男をその場に残して、私たちは他の負傷者たちの元へと足を運んだ。





最後まで読んでいただきありがとうございます。

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