12 西の祠
12 西の祠 更新しました。
ついに三龍神の一角が登場します。
楽しんで読んでいただけると嬉しいです。
三龍神とは、今は亡き龍人族の中に生まれた最も神に近しい三体の龍人のことを指し、その能力は世の理をも覆すほどの強大な力を有しているとされている。
そもそも、龍人族自体が高い戦闘能力を有しているため、世界最強の種族と言われても過言ではなかった。
そんな龍人族がなぜ滅びたのか。原因は未だ解明されていないらしい。
だが一つだけ分かっているのが、三龍神はその身に余る力を祠や遺跡に宿し、現界とは別の死者の魂が住む隣界——————精霊界と呼ばれる世界で永久の時を過ごしているということだ。
その中の一つである西の祠に眠る三龍神の能力は《超新生》、万物に生命を与えることができるという、まさにぶっ壊れ能力。
要するに、精神魔法が得意なシックスの中に《超新生》の魂を宿し、能力を行使して街の人々を生き返らせるのが私たちの目的である。
「——————到着しました」
シックスの案内のもと、私たちは西の祠へと到着した。
見た目は現世でもよく見た至極普通の祠だ。だからこそ、このままここに居ても何かが起こるとは到底思えない。
「さて、この後はどうしたらいいのでしょうか?」
「フフッ。私に任せてください」
そう言って、無造作に祠の前に立つセブン。そして彼女は右手を差し出した後、《暴食天女》の能力を行使した。
「——————『全捕食者』」
「ちょっ! そんなことして大丈夫なんですか!?」
確か『全捕食者』の能力は、対象に向けられたあらゆる魔法を無力化してしまうと、以前彼女がそう口にしていたはずだ。
そんなことをしたら、祠に眠る《超新生》の能力が無力化されてしまうのではないだろうか。
「フフッ。慌てずとも大丈夫ですよ」
慌てふためく私を小馬鹿にするようにセブンは嗤う。
その直後、彼女の言う通り私の不安は杞憂に終わった。
視界は渦を巻くように一点へと吸い込まれていき、やがて視界が元に戻るとそこは黄金一色の別世界だった。
四方八方に広がる平地に、それを囲むようにして聳え立つ岩壁。まるでコロッセオみたいだ。
「ここが、精霊界……」
私がボソッと呟いたその直後、吹き荒れる砂埃が私たちの視界を遮る。
「——————貴様らか、我を喰らおうとした愚かな罪人は」
砂埃の中から現れたのは、私たちの何倍もの背丈がある巨大な龍人だった。
紅蓮の炎で体現した四つの翼を持ち、黄金と翠緑で彩られた装甲を纏う赤き龍人。
二足歩行の姿勢を保ち、勇ましい龍の顔を持つ様は、文字通り龍人の名に相応しいほどの貫禄があった。
というか、龍が喋ってるよ……。
「フフッ。いいえ、私たちはただ、あなたに用があって無理矢理この世界に引き込んでもらったのです。さっきのはそのための一つの手段に過ぎません」
「なに?」
野太い声が辺りに響き渡る。
「私たちは、あなたの《超新生》の能力がどうしても必要でここまで来たのです。あなたにも現世でやり残したことは沢山あるでしょう。 だから、ここは取引といきませんか? 私たちはあなたをこの精霊界から現界へと帰す。そのための手段として、あなたの魂を私の中に宿す。私は精神系の魔法が得意でしてね、それが実現可能なんですよ。どうでしょう、この交渉を飲んでいただけませんか?」
自信ありげにシックスが三龍神《超新生》に問う。
あとは《超新生》が応えてくれるだけだが……。
「——————貴様は一つ、勘違いをしている」
龍人は右手に現れた炎輪の中から背丈ほどの巨大な大剣を引き抜き、そして私たちに向かってその大剣を振り抜いた。
私はセブンに抱き抱えられた状態でその攻撃を間一髪で躱し、シックスは予め攻撃を予測していたかのように私たちの回避先にすでに居た。
「交渉は……言うまでもありませんね。仕方がない、力強くで取り込むとしましょうか」
「矮小の身で、我に敵うとでも思うたか!」
そしてシックスとセブンは、私を取り残して《超新生》へと立ち向かっていく。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
次回、三龍神との戦闘になります。
次話もよろしくお願いします。




