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マトイ




 ハングリーウルフの皮を剥いでいるあいだ、マトイと軽く話をした。

 「マトイが掛けられた呪いについては話せないんだっけ? 」

 「……話せない」

 「話せなくなることも含めて、呪いなんだ? 」

 「……そうだと思う」


 ウルフの皮はナイフで剥いでいった。

 前回よりも多少慣れたのか手際よく中にあった臓物を取り出していく。

 ウルフの内臓は獣臭い悪臭があるが、それにも慣れて前ほど吐き気を催さない。

 切断した首からナイフを突き刺し、一気に肛門まで引き裂いていく。

 そこから内蔵を掻き出して、修復すれば売れそうなものだけを脇によけておく。

 心臓を採取するのが目的でもあるから、出来るだけ慎重に取り出す。

 頭部は食べ残したスープのようになるまで切り潰したから、牙はそこから探すだけで良い。

 今回は4本の牙が見つかった。


 「呪いを掛けられるまではどんな生活をしていたの? 」

 「……大学で魔術を学んでた」

 「大学? その歳で? ……というか、マトイって何歳なんだ? 」

 「今十五歳」

 (十五歳で大学……。相当優秀でなければそうはいかないだろう……)

 「十五歳で大学に行くってことは、マトイは相当優秀だったんだ? 」

 「……うん、まあ……」

 と、褒められるのが居心地悪いのか、言いにくそうにマトイは言った。

 「――というか、一応、最年少で大学に、入った」

 とマトイが付け足す。

 やはり言いたくなさそうにではあったが。

 (すごいな……)

 と素直に俺はそう思う。

 (最年少で大学に入る人生か……。俺なんか想像もつかない世界だ……)

 


 その後もマトイは自分の過去について話したがらなかったが、俺がしつこく質問を重ねるとぽつぽつと話してくれた。

 その話を要約すると、マトイはどうやらこのエルフの国で神童として扱われていたらしい。

 幼少期から魔術と知能の高さを認められ、早くから高等教育を受けていたというのだ。

 史上最年少で大学に入ったあとも、将来は大魔道士になることを期待されて研究を続けていたという。

 それがなにかのきっかけで呪いを受け、この国で忌み子として嫌悪の対象となった。

 呪いについてはわからないことも多く、いわれのない迫害や差別も良く受けるのだという。


 「話してくれてありがとう」

 俺がそう言うと、

 「……うん、いずれ、わかることだから」

 とマトイは頷いた。

 「最年少で大学に入るなんて周りは優秀なひとばっかりだったんだろうな……」

 と俺が零すと、

 「……そんなことない。周りの足を引っ張ろうとするひとばかりで、嫌な世界だった。あのころのことは嫌な思い出しか無い」

 「そうなのか……」

 「…うん」

 とマトイは少し寂しそうな顔で頷いた。

 その顔を見ると俺も少し哀しい気持ちになる。

 「マトイ。俺も手伝うからさ、いつかマトイの呪いも解こうよ」

 「……うん」

 そう言うとマトイはそっぽを向いてしまった。


 「……」


 (そりゃそうか……。こんなに無力な醜い男にそんなこと言われても信じられないよな……)

 (もう少し俺の言葉を信じて貰えるくらいに、強くならないと……)

 


 ……



 その後、水場にはもう一匹ハングリーウルフが水を飲みにやってきた。

 茂みに隠れていた俺たちは同じ要領でそのウルフを討伐した。

 マトイに“麻痺(パラライ)”を掛けてもらい、その効果が持続しているあいだにブロードソードでウルフの頭部を切り刻むのだ。

 魔物の種類によっても違うのだろうが、マトイの“麻痺(パラライ)”はおおよそ十秒ほど効果が持続する。

 十秒もあればウルフ程度なら首を切断出来る。

 一度“麻痺”を撃つとしばらくは魔術が撃てなくなるようだが、丁寧に一匹ずつ殺していけばそのことのデメリットも感じない。

 未だに強くもないし魔物を相手にするのは危険だが、少なくとも確実に魔物を倒せるようになってきていた。

 二匹目もそつなく首を切断し、腹を割いてなから臓物を取り出していった。


 「……なんだこれ」

 二匹目のウルフの腹から心臓を取り出した時に、俺がそう言った。

 「なに。どうしたの……」 

 とマトイも近づいてくる。

 「結晶の色が一匹目のものと違うんだ。ほら、見てみなよ」

 マトイの目の前で結晶を翳した。

 一匹目のものとは微妙に色が違い、こっちの色はかなり赤い。

 「……なにか効果が違うのかも」

 とマトイ。

 「効果って、噛み砕いたときの? 」

 「……たぶん」

  

 (なるほど……)

 魔物の結晶には個体差があるのかもしれない。

 初めて食べた魔物の結晶は腕力の増加に効果があったが、また別の効果のある結晶があってもおかしくない。

 (もしかしたら、結晶にもいろんな効果があるのかもな……)

 俺はマトイとふたりで結晶を陽に翳して見ていた。

 魔物の結晶は不気味な色できらきらと輝いている。


 (戻ったらエイラさんのところで判定してもらうか……)


 



 現在のステータス


 

愛称:ピギー

 種族:人間

 同伴者:マトイ(忌み子)

 所持金:銀貨7枚

 所持品:小型のナイフ、ブロードソード、ハングリーウルフを剥いで手に入れたウルフの皮×2、黒い結晶、赤みのある結晶、牙×8








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