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32 ディランの作品で僕(たち)は強くなる

本日、2話目です。

1話目がまだの方は、1つ前からでお願いします。


よろしくお願いいたしますm(__)m

 そう、可愛い弟……ディランはなにかと忙しい。


 本当に5歳かと思うぐらいに、毎日色々とやっている。


 朝は毎日変わらず、トレーニングを行い、朝食の後は貴族として昼まで勉強をし、午後からはいろんな場所に顔をだして物を作っている。


 あれから、僕たちが時間がとれた時は、トレーニングに付き添うようになった数日後、シオンが依頼していた数の訓練用の模造の武器を作りあげ納めてきた。


 その後は、領内の解体調査部門に行っては研究者たちに魔物の事を聞いたり、素材の事を聞いては、今まで思いつかなかった考えで研究者たちを驚かせるような加工素材を作り、部門長に気に入られて名誉研究者として、和気あいあいとやっていると聞いている。



 ある日、父、アランが、庭師ダンに屋敷の庭の一部をディラン専用として用意させたらしい。


 それをディランは大いに喜んだ。


 そして、ディランは街で大量の豆を仕入れて来た。


 その豆は……ちょっとした空き地等で自生しており、世間では動物や魔物が好んで食べる、餌として認識されてる物だった。


 淡い黄色で円く、その実はとても固く、そのまま口に含めばほとんど味はしない。湯がけば軟らかくはなるが、味は若干ほんのりと甘く感じるが、これといった特徴もないので、人は好んで食べようとはしなかった。

 まあ、豆類といえばこんな物だけど。


 だから、世間では『魔物の餌』と呼んでいた。


 対し、ディランは豆の事を、大豆と呼んでいた。


 ディランは、家畜用の餌として売られている豆を買ってきたそうだ。


 与えられた敷地一面に、ディランは大豆を植え、ディランは嬉しそうに畑を見渡し、満面の笑みを浮かべていた。



 それでも仕入れた大豆はまだまだ残っている。


 これを使って新たな料理を作りたい。


 それを聞いた父は、ディランに調理場の使用なども許可をもらっていた。

 父いわく、何かがあれば、まわりの者が対処出来るから、と。


 他にも、父には思惑があるようだ。

 ある日、父がディランの異世界の料理が楽しみだとこぼしていた……僕も同意見だ。


 だけど、これに反したのはシオンだった。

「えー、これ、不味いじゃん。

 それ、魔物が食う物だし。

 さすがにディランがなんとかしても、美味くならないだろ?

 俺は食べないから」

 と言って顔をしかめた。


「……しかたがないよね。

 食べたくないなら、食べなくてもいいんじゃない?

 体質もあうあわないってのもあるし?」

 そう言ったディランは、僕ぬは珍しくディランが不機嫌に見えた。


 そりゃ、前世で食べられていた物をあの様に言われたら、誰だって不機嫌になるだろう。

 それに、もしかしたら物凄く美味いかもしれないのに……馬鹿だなぁ、シオン。




「まだ、にい様に渡したい物があるんだ。

 今度のは、シオンにい様のもあるよ」

 とその時の事を思い出していたら、ディランが何かを嬉しそうに出していた。


「これは?」

 両手のひらに乗るポーチと、取り外し出来る皮製のバンドだった。


「まずは、ポーチなんだけど……この指輪と連動していてね。

 にい様、この指輪を左手の中指にはめてみて。

 そして、ポーチを腰のベルトに通して……うん、そう。

 左手の指輪に魔力を通しながら、ポーチの金具の飾り石を右手でさわる。

 左手に盾を持って『収納』って思ってみて」


 すると、左手に持つ盾は消えた。


「おおっ! 消えた。

 ディラン、どういう事だ?」

 見守っていたレオンは首に振り、辺りを見渡しなから驚いている。


「もちろん、シオンにい様の腰元のポーチの中だよ。

 逆にポーチの飾り石に手を当て、魔力を通して、収納した物を頭に浮かべながら、それを『取出』と思ってみれば」


 シオンの左手に再び盾が現れた。


「凄いなっ! これ!

 俺の分もあるんだよな?」


「うん、あるよ。 はい、これ」

 目を輝かせながら顔を寄せて来るシオンに、ディランは苦笑しながらポーチを渡す


「いや……実際、これ凄いよ。 ディラン。

 盾とポーチの大きさは違い過ぎるし、どうやって中に入っているのか、全然わかんないよ?

 あ、でも、魔力を通しているからだろうけど、ポーチの中にちゃんと盾が入っているのは、なんとなく感覚でわかるよ」


「ふふ~ん。 これはね、解体調査部門にかよって、最近の魔物調査でわかった事を使った最新の技術なんだよ!

 いや~、魔物の素材って凄いよね?

 ぼくにとって、とてつもなく不思議素材だよ!

 ほんと、すっごく楽しいの」


「そうなんだ、よかったね? ディラン」

 満面な笑顔のディランが可愛い。


「うん。 それで、もう1つ」


 さきほど出したポーチと、もう1つのバンドを差し出した。


「これは、魔物の素材を使ってはいるけど、たんなる身体を鍛えるのに有効な物だよ。

 たぶん、この世界でも原始的でよく使われていると思うけど」


「うおっと」

 受け取ってみると、思っていたより重く、軽く手が下がった。

「これ……重りが入ってる?」


「うん、入ってるよ。

 手首用と足首用、両方ともつねにつけてね。

 シオンにい様も」


 受け取ったバンドを両手首、両足首につけていく。


「あ、ズレないようにしっかり止めてね?

 ズレるとバランスがきちんととれないから」


 言われた通りにしっかり固定すると、巻いた内側から何やらネットリとした粘液が染みだし、わずかにあった隙間を埋め、まるで一体化した感じになった。


「ねぇ、ディラン?

 なにか液体が出てきたんだけど?」


「それね。 スライムの粘液」

 あっけらかんとディランは答えた。


「「……え?」」

 僕とシオンは驚き、思わずディランを見た。


「もちろん溶けないように中和しているよ」


「……本当に?」


「本当。

 今ね、解体調査部門ですっごくスライムの調査が進んでるの!

 んで、スライムの粘液や、魔石に核石って物があって、それぞれ使いみちがいろいろあって、スライムの謎を調査するのが楽しいんだ。

 そうそう、くわしい事ははぶくけど、にい様に渡した槍とポーチにも利用しているよ」


「……へ~、そう、なんだ?」


「その粘液は肌にぴったりひっついて、擦れて肌を傷つかないようにしたんだ。

 固定したベルトを外せば普通に取れるし、水できれいに洗い落とせるよ。

 それより重すぎて身動きとれないとか、動けても振り回されるとか、支障はない?

 前の世界では、パワーリスト、パワーアンクルって言われてて、身につけ続けている事で、身体の体幹、筋肉の強化をやしなえるのにいいんだ」


「へぇ~、身につけるってどれくらいだ?」

 シオンは身体を動かし確認しつつ質問する。


「う~ん、お風呂入る時いがいかな?」


「「は?」」


「つけ続けてる事で、普段の生活や訓練しながら、身体を鍛えれるからね。

 出来かぎりはつけててほしいかな?

 もちろん、やめてもいいけど……強制じゃないし?

 もし、つけるのなら、にい様たちにあった動きも教えると思うよ?」


「ふむ……ディラン?」

 僕はある確信がある。


「ん?」


「続けていけば強くなれるし、僕たちに必要だと思って作ったんだよね?」


「うん、そうだよ」


「わかった。

 僕は今から、このままつけるよ。

 重さも丁度いいみたいだし、大丈夫だ」


「俺もだ」


「ん、ぼくが作って、言うのもおかしいけど……むりはしないでね?

 あと、なれて違和感なくなったら、重り増やせるから言ってね」


「「わかった」」

 僕とシオンは頷いた。





 2年後、僕とシオンは学園に入学し、卒業するまで、武器を使った勝負では、常に他の相手には負ける事なく一位二位を独占し、槍や盾、小道具を巧み使い相手を翻弄する『技術のレオン』、小技を使いつつ剛力と瞬速で相手を圧倒する『力速のシオン』と呼ばれる事になる。



 

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