23.
姉さんへ。
これを読んでいるとすれば、もう僕は死んでいることでしょう。
でも、大丈夫だよね。
僕という人間は、皆から死ぬことを望まれているのだから、居なくなった方が世のためなんだから。
そうそう。この日記帳に挟んである書類一式をお手数だけどオリック夫人に渡してください。
そうすれば、父さんと母さんが残してくれたこの家も含めて、遺産は全部、正式に姉さんの物になります。
大丈夫。全部の手続きはオリック夫人がやってくれると言ってました。だから任せてしまっていいと思います。
僕なんかがこうして書き残さなくても、姉さんには王子殿下を始めとして、頼りになる人がいっぱいいますから心配はないでしょう。
あなたにとって、僕という存在はすごく目障りだったでしょう。
勉強もできず、剣も魔導術も扱えず、男のくせに家事に逃げていた僕は、あなたからしてみれば最低な人間だったでしょう。
僕を見る度にため息を吐く。とても申し訳ないと思っていました。それでも、臆病な僕は何も言えずに有耶無耶のままでいました。
ごめんなさい。直接謝れずに、ごめんなさい。馬鹿な男でごめんなさい。
十二年も生きていて、何一つ誇れるものがない僕のような人間と一緒に生活してくれて、ありがとう。
あなたがいてくれたから、両親が死んでも僕は寂しくありませんでした。
これからも、あなたは多くの人に愛されて生きていくでしょう。
だから、リリア・ヴィシテンさん。
最後までお幸せに。
クレッグ・ヴィシテンより。




