4.辛辣なメイドさん
正面玄関には稲妻が走っていた。
チリチリと音を立てる殺意あるそれは、侵入者を絶対に仕留める意思を感じさせる。
その発生源は扉を挟むように置いてある円柱だ。
どういう仕組みかは分からないが、とにかく科学的なあれがあれしてあれした結果、生まれた産物だろう。
雄フェロモン症候群ってのもあるくらいだ、全然おかしくないしろもの……のはずだよね。
「それで、どうやって入るんだ? 監視カメラにポーズでもとるのか?」
扉の上方あたりの監視カメラにドヤ顔サムズアップ、グランバットマン、トリプルアクセルを決めるかえで。
激しい動きで制服の超短いスカートが跳ね上がり、中のものまで見えたが知らんぷりしよう。
スパッツか……逆にありだな。
一人物思いに耽っていると、痺れを切らしたささみが進み出る。
「もう、周囲の視線を気にしなさい。本当に馬鹿なんだから……。インターフォンあるでしょ――えい」
機械音と共に稲妻が消えた扉から、メイド服に身を包んだ一人の女性がカーテシーでわたし達を迎え入れた。
漂白された肌にシニヨンカバーで纏められた銀髪、まるで人形がうつし世に人間サイズで現れたかと勘違いしてしまいそうだ。
それに佇まいが洗練されていて一切の隙が無い。
素人目で見ても一流さんだとわかってしまう迫力だ。
そんなメイドさんは言葉遣いも完璧なんだろうな……。
「お帰りなさいませ、お嬢様方。お麗しい御尊顔を拝ませてもらい恐悦至極で御座います。…………天海様を除いてですが」
わたし以外でした。
あなたのような美人さんに言われてしまったら、普通に悲しいよ、嘘でもお世辞言ってほしいよ。
「口が過ぎるわよ、マリティア……」
ご主人たつみやのお叱りが入った。
そうそう、ご主人様の命令はちゃんと聞かないといけないよね!
「――まあ、事実だけど(かわいすぎるから)」
え?
「その通りです(顔面偏差値低過ぎるから)」
両者、ずいぶん辛辣であられた。




