3.帰宅部無職高校生
「相変わらず広いね庭……もう足ぱんぱんだよ」
膝に手を当て、肩で息をし、面を上げる。
視界には、あと数キロ先にたつみやの家があった。
わたしは掠れる視界の中で過去の自分自身を呪う。
舐めていた、たつみやの庭の広さを!
門から家まででここまで疲弊するなんて、帰宅部無職高校生のわたしの体力を過信していた。
みんな平気そうな顔をしているのに、この醜態。
うぅ、みんなを先導して歩いてきたのに不甲斐ない……。
そうへこたれていると――
「よいしょっと……」
「わっ!? かえで!?」
生まれたての子鹿みたいにプルプル震えている隙を突かれ、膝窩に手が回された。
そして、背中から倒れるように、そのままお姫様抱っこされてしまった。
「これで恥ずかしくなくなったな」
「かえで……」
幼馴染との絆を確かに感じながらもわたしは同時に苦悶した。
……余計恥ずかしいやつじゃん。
わたしは顔を真っ赤にさせながら、もう余計なお世話なんだから、と心の中で茶化して平穏を保つ。
……いや、心の内で完結させるんじゃなくて、やっぱりしっかりとお礼を言おう。
感謝の気持ちを受け取って気分が悪い人間はいないはずだ!
もちろん、みんなに聞かれない耳元で囁くように言った。
「……ありがとね、かえで……」
すると、耳がほんのり赤みを帯びた。
わたしを抱えて歩いているんだ、体温が上がって当然だろうと納得している裏で、幼馴染達のかえでに向けられた形容し難い表情に気づかず、考え事をしているあまみであった。
こんなに広いと出かける時、誰かと同伴してもらわないと体力的にキツそうだな。




