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幼児になった私、異世界で楽しく暮らしています  作者: 秧摩真羽


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5/5

4.これはセクハラでは?

「ちゅかれた」


 目覚めてすぐに始まる、もはや儀式と化した頬ずりとハグの攻防。

 幼児化してしまった私は、移動するときはウォレンかシリウスに抱っこされるか、二人とお手々をつないで、短い足でよちよち歩く毎日を送っている。


 身長差がひどすぎて、お手々をつなぐと二人が可哀想だから「手を離せ」とわめくのだが、そうすると決まって抱っこされる。


 なんでだ?


 二人が私から離れられないのは、ある意味「目が離せない」お年頃だからだ。

 中身は大人でも、身体が推定三歳児に戻ったせいで、感情を理性で押さえきれなくなることもしばしば。

 気になるものを見つければ、考えるより先に突っ走る。

 小さな身体にまだ慣れていないせいで、足がもつれて転ぶ。


 転ぶ。

 そして――転ぶ。

 とにかく、よく転ぶ。

 おそらく一般の三歳児より転んでる。

 どんくさいわけじゃないのよ!

 足は小さい。

 頭は重い。

 なのに、動くときの感覚だけは三十九歳の大人のまま。

 心と体が一致していないだけなの、たぶん‥‥‥。


 そりゃあ、ウォレンとシリウスも心配になるだろう。


 この世界に来て一週間も経たないうちに、私が動こうとするたび、どちらかに捕獲されるようになった。「自分で歩く!」と抗議しても、「危ないから駄目」と、あっさり抱き上げられる。


 私としては、ずっと抱っこされていたら足腰が弱るからやめてほしい。

 なのに、こいつらときたら、これ幸いとばかりに抱っこする。


 こいつら絶対、楽しんでいる。


 そして、もう一つ問題がある。

 舌がまだ幼児仕様なのだ。

 つまり、滑舌がよろしくない。

 ウォレンは、あだ名が「レンレン」なので問題ない。

 問題はシリウスだ。

「チリウチュ」、「シリウチュ」

 どう頑張っても「シリウス」と言えない。

 早く普通にしゃべれるようになりたい。

 切実に!

 なのに、やつらはカミカミな私に名前を呼ばれると――。


「ルコが僕のことを呼んだ」

「ルコさんに呼ばれた」


 二人そろって、しばらく表情が脂下がったままになる。

 そして、そのまま上機嫌で宮殿内の「弟子」エリアスや、学生時代の友人たちである宮殿勤務の官吏、さらには貴族の方々に会いに行く。


 当然、その様子を遠目に見た第三者は思う。


 ――あの二人、絶対に女に夢中だ。


 ・・・・・・違う。その想像は断じて違う。

 いや、ある意味では合っているのかもしれないけれど、世間が想像しているような意味ではない。


 そもそも、自画自賛で申し訳ないが、幼児になった私の容姿はかなり愛らしい。

 鏡を見るたび「私、子どもの頃ってこんなに可愛かったっけ?」と、自分の記憶を疑いたくなるほどだ。

 これも異世界あるあるなのだろうか。

 シリウスたちは、自分たちが日本に転移したときは、単純に若返っただけだと言っていた。

 ならば私も、元々こんな顔だったということなのだろうか。


 まあ、私の見た目は今はいい。

 ここで一つだけ、はっきり言っておこう。

 私は美女になったわけではない。

 愛くるしい幼児になっただけだ。

 再度いうがぷにぷにの頬、ぷくぷくの手足、ぽっこりとしたお腹。

 見事な幼児体型だ。


 私が会うのは限られた人たちだが、部屋を警備してくれる近衛兵達や、食事を運んでくれる使用人さんとか会う人、会う人から「まあ、可愛いねえ」、「まあまあ、なんて愛らしい」と愛でられる。


 これは良い。

 うん。普通に可愛がってもらえるのはありがたい。


 だが、あの二人、飽きもせず、毎日毎日、過剰なスキンシップがすぎるのだ。

 しかも、大人だった頃の私を知っているくせに。

 これは精神的なセクハラではないだろうか。

読んでいただいてありがとうございます。

面白い!気になる!続きが読みたい!と思ってくださる皆様、

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また、お恥ずかしながら、誤字脱字等ございましたら、こっそりと報告よろしくお願いいたします。

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