死
<大当たり。レアスキル「仮死」を獲得しました。>
おおー、レアスキルきた!
僕は早い事で5歳になった。
2年近く住んだこの屋敷にも慣れ、メイドさんや料理長などの話し相手もできた。
そして、誕生日に引けるガチャでレアスキルを引き当てた。
「運良すぎだろ!説明はどんなだ?」
「仮死」
体力が0になった時、体力を1回復して10分間は仮死状態となる。仮死状態では世界から死んだと意識され、身体を動かすことができない。まだ、その間は必ず死なない。
一度使うと、このスキルは消える。
強いのか?
確かに死なないのは魅力的だけど、10分間何もできないのか。しかも、世界から死んだと意識されるってなんか物騒だな。
あと、動けない間に滅多刺しにでもされたら、このスキルが解除された後で一瞬で死ぬんじゃないか?
まぁ、使える手札が増えたと考えるか。
「誕生日おめでとう、キース君」
「誕生日おめでとう、キース。あなたも来年で魔法が使えるわね。」
「いや、まだわからないんですから、決定事項のように言うのはやめてください、お嬢様」
「キースなら魔法は使えるようになるわよ。」
「なんでですか?」
「勘よ」
そのような、会話に先生は楽しそうに笑う。
はぁ、僕も魔法が使えるようになりたいよ…
「あ、そういえばお土産を渡さないと。」
「「お土産?」」
「えぇ、1ヶ月間休んでいたじゃない。その時は違う大陸に行っていたの。」
あぁ。確かに先生は1ヶ月前からいなくなっており、その間はメイド長が授業をしていた。
「どの大陸に行っていたのですか?」
そう、この世界には3つの大陸が存在する。
一つ目は僕たちのいる中央大陸。この大陸は比較的安全で、人が住みやすくたくさんの国がある。
二つ目は多種族大陸。その名の通り、エルフにドワーフ、妖精になんとゴブリンの国があるそうだ。中央大陸との交流も盛んでよく貿易をしている。
最後は魔大陸。海沿いの平地には人も住み、豊かだが、大陸の中央に進むに連れて、魔力が濃くなり魔物が強いらしい。また、ダンジョンの出現数も高いとのこと。
「多種族大陸のドワーフの国に行ってきたわ。これがお土産よ」
机に置かれたのは、真ん中に綺麗な模様が描かれた二つの石であった。
「これですか?」
「えぇそうよ、この二つの石の名前は双子石。どんな場所、どんな空間であっても、どちらかが壊れればもう一つの方も壊れるので通信手段として使われているそうよ。」
なるほど。これはなかなかに面白いな。
「ありがとう、先生。」
「私にも良いのですか?」
「えぇ。」
「ありがとうございます。大事にしますね。」
お嬢様も心底嬉しそうだ。まぁ宝石好きのお嬢様からしたら、この綺麗な模様が描かれた石も変わらないのかもな。
この石はアイテムボックスにでも入れよう。
そして、授業も終わり鍛錬も終わった時
「ねぇ、キース。2人だけで領都に出てみない?」
「ダメですよ、お嬢様。危ないじゃないですか。」
「なら、護衛をつけるわ。お願い」
そう言われて、僕は折れた。
ただこの決断を僕は後悔することになる。
「そんなにはしゃいだら危ないですよ。」
「大丈夫よ、このぐらい」
お嬢様と護衛を2人つけて、今は領都の観光をしている。
そして、お嬢様はどうやらご機嫌らしい。
「お嬢様、浮かれてますね。」
「当たり前よ、こんな機会中々にないわ」
そんなことを言って、屋台で何かを注文しに行った。
「お嬢様、毒味をしないと…」
「大丈夫よ、このぐらい。」
「すみませんが少々宜しいですか?」
その声の方向を見て、困惑した。「気配察知」のスキルも反応せず、執事のような佇まいをしている声をかけてきた男性は、何故かこの場では異質だったからだ。
護衛の2人もそんな事を思ったのか僕たちの前に出て警戒をした。
「いえ、そんなに大変な事ではありませんよ。ただ、そこのお嬢さんに死んでいただきたくてね。」
そう言い終わるや否や護衛の2人を男はいつまにか持っていた槍で突き殺し、お嬢様に手を出そうとした。
僕がその間に入ったのは、体が反射的に動いてくれたおかげだろう。
「ゴフッッ!??」
血が口から出てきた。内臓に到達したかもしれない。
「すごいですね君は。今のを防ぐのですか」
若干驚いたとでも言うような仕草に、俺は怒りを抱いた。
「めんどくさそうなので、あなたから殺しましょう「転移」。」
次の瞬間その男は俺の目の前に立ち槍が心臓に突き刺された。
ありえないような血の量だ。
僕はこのまま死ぬんじゃないのだろうか?
異世界転生して、たった5年。親も死に、お嬢様に助けられた。まだ恩を返せてないだが…
消えゆく意識の中で見えたのは、泣いて絶望するお嬢様の姿だった。
「ふぅ、死体は邪魔ですね。「ランダム転移」。」
男は内心安堵していた。あの不意を突いた最初の一撃を、とっさに受け止めるなんて、後5年もしたら返り討ちにあってしまったかもと。
ただ、殺してしまっては関係ない。しかも「ランダム転移」によって死んだことは確定である。この「ランダム転移」は便利だが、生き物を転移することはできない。
「では、予定通り死んでもらいますね。」
そう思いながら突き殺そうとした時、
「私の娘に何をしている?」
その抑揚のない声には、聞き覚えがあった。
絶対に敵対してはいけない。敵対したら死ぬ。
その言葉は嘘ではなかったのだと感じる。
「いえ、ただ殺そうと。」
その男は嘘をつかなかった。
いや、その底冷えするような殺気に嘘がつけなかった。
「そうかじゃあ、「「死ね」」。」
そうして、キースを殺した男は呆気なくは死んだ。




