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若者
街にやって来た若者は酒店に入り酒を注文した。
客の話声が聞こえる。
「唐さんは気の毒だったな」
「そうだ。金に困った時、利子を付けずに貸してくれて、返すのは金のある時でいい、と言ってくれて、金貸しでも良い人だった」
「娘さんも気の毒だ」
客が数人、店に入って来た。
酒を注文し話始めた。
「教祖様は素晴らしい方だ。困った人に金を与えて下さる」
「本当に教団に入って良かった」
「教祖様のためなら命を捨てても悔いは無い」
「俺もそう思う」
若者は立ち上がり、客に言った。
「すいません。その教祖様にお会いしたいのですが」
「それには教団に入る必要があるよ」客が言った。
「はい。そのつもりです」若者は言った。
「では今夜、集会があるから連れて行ってあげよう。夜になったら迎えに来るよ」
そう言うと客達は出て行った。
先にいた客が若者に近ずいて言った。
「お兄ちゃん気を付けた方が良いよ。あいつらは拝金教の奴等だからね」
そう言って客は出て行った。
その後ろ姿を見て若者はニヤリと笑った。




