第19話 「王族の秘密」
出立の準備を終えるとキャザリデウスに
埋め込まれていた最後のピースをパズルにはめ込んだ。
キャザリデウス
「…認証が完了しました。挑戦者の試練の突破を確認。
おめでとうございます。台座に剣を刺してください。」
デルタカリバーを刺すと、周囲の剣が光を放つ。
それは光る魂に変わると剣に宿った。
剣に宿らないものは重なり合わさって
一つの大きな砥石になる。炉になる。
ハンマーに、冷却水に、ヤスリにもなった。
目の前で虹色に輝く工房が出来上がり、
デルタカリバーは錬成の工程を終えるたびに
その身から強い光を放っていった。
やがて一振りの白金の剣ができあがった。
今までの古びた感じはなくなり本来の姿に戻った感じだ。
そして何より軽い…?
レオファング
「錬成したら軽くなるのか…?でもそんな事…」
そう考えた矢先、剣は一気に重くなった。
レオファング
「うっ…急に…重く…?」
ソライト
「………なあ、提案だけどさ。
ヘレスと撃ち合ってくんない?」
突然の提案に疑問詞を浮かべる2人。
ソライトは自らがジャッジになると申し出て、
3分の練習試合を行うことにした。
ヘレス
「撃ち合いはあまりしないが、いい試合にするだべ!」
レオファング
「…まあ、いいさ。
僕も騎士の端くれ、無様な姿は見せない。」
合図とともに、2人は一気に距離を詰める。
お互いに慣れない武器同士、撃ち合いが始まった。
正面、左右、背面、あらゆる構えから剣をぶつけ合わせる。
パワー重視の戦闘スタイルでジワジワとレオファングを
押すヘレス。構えからの着実な一撃が優勢に導いている。
ソライト
「……ダメだ。親父が見たらこう言うだろう。
"将兵が基礎ばかり見せ付けてどうする"って。
これじゃあ…スタミナが切れたりすれば
一瞬で勝負が決まる。そして…」
かなり高度だが、単純なぶつけ合いが続く。
距離を取って、隙を見て斬撃。
だが重さが変化し続ける剣のせいか、
集中力が途切れてしまいいつの間にか隙だらけだ。
ソライトは一度撃ちあったことがあるからわかっていたが、
とにかくレオファングは技は正確だがスタミナ切れが早い。
ヘレスは剣を上に投げると猫騙しから
回し蹴りを決めてレオファングの
うなじに鋒を向ける。
ヘレス ソライト
「勝負ありだべ。」 「そこまで!」
剣を下ろす。ソライトは深呼吸してこう言った。
ソライト
「2人とも良い試合だった!
ヘレスはもっとガンガン行けば良いんじゃない!?」
ヘレス
「初めて撃ち合うのに、無茶できねえだ〜」
ソライト
「レオファング、暫くこの階層を回る時
お前はその剣だけで戦ってくれ。」
レオファング
「…慰めのつもり?」
ソライト
「んなわけあるか。大体惜しいんだよ。
その剣は重くなったんじゃないのに。
第一、その剣は“お前を試していた”ように見えたぜ。」
レオファング
「じゃあ何!?今更鍛え直せってこと!?」
ソライト
「違えよ、試しに振ってみろ。」
デルタカリバーを振るといつも通りの素振りができた。
レオファング ソライト
「重いままなのに…」 「それがその剣の本質。」
つまりこの剣は使わない限りは、
扱い方を誰にも理解できない代物ということだ。
感情によって重さが変わる不思議だと思うがそんな所だ。
もっとも何故なのかはわからない。
ヘレス
「…なあ、こんな事聞くのもなんだけども…」
ヘレスが気まずそうな顔で聞いてきた。
「…レオファングさん…アンタはもしかして、
"フレンジス王国領主アトライネ家"のご子息様…
だったりするだか…?」
ソライト レオファング
「え…?」 「…そうだ。」
レオファング
「そしてソライト、
現在はお前の祖国を狙いフレンジス軍は侵攻中だ。
お前の祖国を滅ぼそうとするような奴の息子、
それが僕の正体さ。鳥籠の中の鳥だから、
外の世界のことなんてまるでわからない。」
震えた声で全てを吐き出した。
元々どう言う出身でなぜ洞窟に入ったのか、その全てを。
静寂が包む。そこに切り込みを入れるよう
ふぅー………と一息をついたソライト。
ソライト
「だったらこっちも言わせてもらおうか。
俺はな…国家戦争とか王家の血筋とか
正直どうでもいいってんだよ!!!」
「今のお前は洞窟の挑戦者!
俺は仲間!そんなしょぼくれたどーでもいい事で
いちいちメソメソしてんじゃねえよ!」
ヘレス
「ソライトさん、レオファングさん泣いてる。
そこいらで収めるだよ。」
レオファング
「本当は…逃げたかった。ずっとみんなと遊びたかった…!
だけど許されなかった…全て未来の為と禁止されてきた。
ある日限界を感じたとき、
噂になっていた洞窟に逃げ込んだんだ。」
「2人ともごめん…僕は卑怯者だ…
辛いことから逃げて、楽になりたかったんだ」
その答えに対し、ソライトは満面の笑みで答える。
ソライト
「大丈夫なんだって!
というかさ、本当の事言ってくれてありがとな。」
ヘレス
「んだ!王家の話は堅苦しいべ。
それに…雲の上の話だったんだ、
素直に吐いてくれて嬉しいだ。」
雨上がり晴。
デルタカリバーを構えた視線の先に、
瞳の蒼い光が煌めいた。
閲覧いただきありがとうございます♪
ぷはぁっ!コーラが美味い!…けど腹溜まりすごいな…
設定集のコーナー
「デルタカリバー」
以前登場した七秘宝の一つこと(デルタカリバー)。
剣の束の部分には星座版が取り付けられていますが
振りにくいとかいうことはありません。
寧ろ使いやすいまであります。
今回のお話で練成が完了し、真の姿になりました。
これでようやく七秘宝の一角が手に入った、
と言うことになりますね。
レオファングがそもそも剣魔導の達人でもあるので
星座盤は使うまでも無いのですがこれからの話で
どんどん使われるようになります。お楽しみに!




