挿話4 リーリエと耶律氏
この挿話を書いている時点ではまだ顔出し程度の登場ですが、北方のライバルとなるゴブリン(+オーク)政権「リーリエの国」の主、リーリエ・ヤルートも遊牧民族がモデルとなっています。
こちらは満洲方面に遼(契丹)を建国した「耶律」(やりつ・ヤルート)氏がモデルとなっています。
遼王朝は中原の北方、満洲~モンゴル高原を版図に持ち、中原の一部(燕雲十六州)にも勢力を拡大、当時の中原王朝(北宋など)と複雑な関係にありました。
遼は紆余曲折あって北宋と和平条約を締結、約百年間の共存時代を迎えます。その結果、北宋からの収入で経済力が増して繁栄する一方で、軟弱化して武力は低下し、服属させていた満洲族(女真族)との力関係が逆転し、反旗を翻される事となります。
その結果、遼は満洲族の政権「金」に滅ぼされますが、生き残りが西方に逃れて新たな国「西遼」を建国、モンゴルの勃興時代まで命脈を保つ事となります。
遼(契丹)の建国が916年、西遼がモンゴルに滅ぼされるのが1218年なので、国家として約300年間存続した事になります。
耶律氏で最も有名なのが遼を建国した「耶律阿保機」(やりつあぼき)で、「阿保機」は「アブーチ」(掠奪者)の音訳と言われています。
耶律氏は移剌と称される事もあり、リーリエのハーンとしての称号「イラ・アブーチ・ハーン」、そして「掠奪する者」の語源となっています。
そして前述の通り、耶律氏は遼王朝滅亡後に「西遼」を建国するわけですが、その末期に登場するのが、本作にも登場する「クチュルク」という人物です。
「西遼」の運命は「クチュルク」によって大きな影響を受ける事となりますが、本作の「リーリエの国」においてもそれは同様となっています。
遼王朝、西遼は最終的に国家としては姿を消しますが、耶律氏は名族として後世に生き残ります。特に、モンゴル(元)の重臣となった耶律楚材や耶律阿海などが有名ですね。彼らをモデルとしている「リーリエの国」の運命はどうなるのか……。それは、本作の続きを読んでいただければと思います。
そんなわけで、2つの「ゴブリリ」国家は遊牧民族政権がモデルとなっていますが、彼ら主人公以外…その他のゴブリン系部族や勢力などは、概ねモデルとしている九州地方の温泉名称などが元ネタとなっています。
次回以降は、しばらく部族名の元ネタについて語りたいと思います。
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