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【4000view感謝】恋愛ゲームの世界なのに私は攻略対象キャラじゃないので情報屋になろうと思います  作者: フユめん


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行けるか!?主人公不在デート

「___という訳なんです!」

 いつもの屋上、珍しい二人きり、あり得ない本人を相手にした恋愛相談。

 情報屋として、ある程度は覚悟していたけど、このパターンは想像してなかった。

 朝倉くんとデートしたけど、イマイチピンと来ない。それはきっと、佐伯先輩の事が好きすぎるからだと思う___

 なんて話を、私、佐伯佳奈本人に持ってくるとは、めちゃくちゃ大胆なのか、めちゃくちゃ無神経なのか。

 いや、両方かも。両方を足して、2で割らないタイプかも。

「いや……そのですね………」

 力が抜けた手から、お弁当と箸が落ちそうになるのを、なんとか押さえながら、次の言葉を探す。

 探しても探しても、解は見つからない。

 私に相談するのはおかしいというのも、ミキちゃんが相談出来る女子が私くらいとか、恋のキューピットと呼ばれてるほどの相手なら、良い答えをくれるだろうと思ったとか、そういう健気な理由があったら、否定するのは良くない。

 良くないだけに、私との恋愛相談が、私に持ち込まれてしまったという状況で、どう答えたら良いのか分からない。どう答えろと言うのだ。

「あっそうだ! 佐伯先輩!」

「は、はい!?」

 なんか閃いたみたいだけど、ヒロインちゃんの閃きは、大抵碌なことが無い。

 無茶苦茶な展開に持っていかれると、相場は決まっている。

「ボク、佐伯先輩とデートがしたいです!」

 それ見たことか。案の定、突拍子も無い事を言い出したぞ……って、デート!? 私と!?

 いや、今までも服を選ぶとか、お茶会に誘われるとかはあったけど、あれは友達とお出かけとか、お家に招かれたとかであって、デートとは違う。

 言葉の定義がどうとかではなく、このギャルゲー世界でデートという言葉が出たという事は、つまりそういう事だよね。

「デート……で、ございますか。お出かけやお茶会ではなく……」

「はい! デートがしたいんです!」

 私の確認に対して、ミキちゃんは目を爛々と輝かせて頷いた。藪蛇だったかもしれない、確認しなければ、ミキちゃんが言葉の意味を取り違えてた説も残ったのに。

 というか、ミキちゃん。あなた相談しに来たんだよね? 全部一人で話進めちゃったけど。

「まあ、二人でお出かけするという事でしたら……」

 ああ、流されるようにOKしてしまった。

 ミキちゃんは、無邪気に喜んでいる。喜ばれた事自体は、とても嬉しいけど、なんか、後ろめたい気持ちでいっぱいだ。

********

 当日、いつもの清桜駅前を集合場所にセッティングしたけど、ここにヒロインちゃんを呼ぶのは、毎回緊張する。

 描画範囲外で、ヒロインが消えちゃう法則は、ぼんやり推測が出来るだけの経験を積めてきたけど、まだ確定してはない。

 だから、今回こそ描画範囲外で消えたヒロインが、ここに現れないんじゃないかと心配になる。

 私が考えている一説に『主人公が絡むイベントなら、描画範囲外でも消えない』というものがある。

 朝倉くんと一緒に居るとか、朝倉くんとのデートのために、買い物や下見に行ってるとか。変則的なのだと、女の子だけで集まってる所に、たまたま朝倉くんが通りかかったとか。

 だから今回は、一段と心配。

 朝倉くんとデートしたあと、なんか違うと感じて、私とデートしたら何か分かるかもと、そんな感じで取り付けられたデートだから、朝倉くんからは遠ざかる行為だ。

 と、そんな杞憂は、スニーカーで駆けてくる、ミキちゃんの姿でかき消された。

 今日のミキちゃんは、紺色のキャスケット帽に、白いTシャツ、カーキ色のショートパンツに、黒いハイソックス。ボーイッシュで、健康的な魅力溢れる格好だ。

「佐伯先輩! お待たせしました!」

「いえいえ、待つと言えるほどは、待っておりませんよ。私も今来た所ですので」

 はー、ひとまず心配事が消えて、ほっとした。まあ、今日会えなくて、私がデートをすっぽかした事になっても、ミキちゃんの興味が私から朝倉くんに移るかもしれないから、それでも良かったかもだけど。

「佐伯先輩! 行きましょう!」

「ええ、今日はよろしくお願いしますね」

 ミキちゃんに腕を取られて、駅前から出発した。

 ふっふっふ、ミキちゃん、あなたの好きなものは、何もかも分かっているよ。朝倉くんにも教えたけど、朝倉くんの事だから、ものすごく素直に情報を使って、ものすごく素直に実践した事だろう。

 だから、私はちょっとだけ捻って、デートプランを立てておいた。何はともあれ、喜んでくれるといいな。

 あ、朝倉くんと言えば、今日どこかでバッタリ出会ったりしないかな? ミキちゃんが消えてない理由が、このデートに主人公が絡むという事なら、どこかで出会うはずなんだけど。

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