↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【4000view感謝】恋愛ゲームの世界なのに私は攻略対象キャラじゃないので情報屋になろうと思います  作者: フユめん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
21/42

お茶会だョ!全員集合

「外から見ても大きいけど、門をくぐると、もっと大きく見えるね」

 威厳たっぷりの鉄柵の門と、石造りの門柱をくぐって、朝倉くんは言った。

 そこをくぐると、その奥には芝生と庭の、中央に噴水、天使やら、ダビデやらの石膏像が並び、その奥に白亜の城みたいな豪邸。

 なんというか、ビバリーヒルズ? みたいな、土地が余ってる大陸の高級住宅街にある、お金持ちのお屋敷の感じ。

 私を含む女子は二回目だけど、朝倉くんは初見なんだから、もうちょっとリアクションしてもいいんじゃない? ほら、同じく初見の後藤くんは、口をあんぐり開けて固まってるぞ。

 これが自然な反応だと思うんだけどなぁ。

 爺やの先導で、玄関の前に立つと、両開きの扉が自動で開いて、開いたドアの真ん中にマヤちゃんが、ちょこんと立っていた。

 ちなみに、電動式の自動ドアではなく、メイドさんが両側に一人ずつ付いて、内側から押している。

「みなさん、ようこそいらっしゃいました。お待ちしておりました」

 マヤちゃんが、にっこりと笑って、私達に向かって礼をした。

 この前は、駅前まで迎えに来てくれて、一緒に門をくぐったけど、こうやって迎えられるのも、もてなされてるって感じがして嬉しい。

「招待してくれて、ありがとう。楽しみにしてたんだ」

 朝倉くんは、マヤちゃんに微笑みかける。

 爽やか主人公スマイル。こういう時に、こういう顔出来るのは、流石主人公って感じだ。

 時々様子がおかしいけど、基本はイケメンの言動なんだよなぁ。様子のおかしさは、天下のTONAMieと言えど、ギャルゲーは不慣れだった結果だったりするのかな。

「オレまで呼んでくれて、ありがとうな」

 後藤くんは、照れくさそうに頬をかいて、マヤちゃんにお礼を言った。

「うふふ、お友達はたくさん居た方が楽しいですから。ね、佳奈さん」

 え、私に振るの?

 そりゃ、友達が多いに越した事は無いけど、なんでその話を私に振ったのか、理由が分からない。

 私が困惑していると、マヤちゃんは頭上に大きなハテナを浮かべて首を傾げた。

「佳奈さんが、情報屋をしているのは、皆さん友達を作ってあげるためではないの?」

 私的には、情報屋を始めたのは、そもそもが私利私欲のためだし、友達じゃなくて朝倉くんに恋人を、というのが目的だ。

 でも、結果的に、みんなに友達を増やすという事にはなってる。マヤちゃんの目に映る私は、そういう風に見えるらしい。

「ん〜〜……まあ、そうと言えばそう、そうではないと言えばそうでもない、と言った所でしょうか」

「なあにそれ」

「ふふふ、人が仲良くなるように図っている、とだけは言っておきましょうか」

 恋人であれ、友達であれ、仲良くなるのに違いはから、嘘は言ってない。

 マヤちゃんの頭上のハテナは、ますます大きくなった気がするけど、まあいいや。

「伊集院さん、きっと情報屋には話せない秘密がたくさんあるんだよ」

 朝倉くんが、フォローを入れてくれた。

 朝倉くんには、情報源は秘密だと私から説明したことがあるから、他にも秘密があると思われたらしい。

 まああるよ? 私が異世界転移をしてきた事とか、ここがギャルゲーの世界だと知ってるとか、チート能力を使ってる事だとか、言えない秘密はたくさんある。

「そうなの? なら、聞かないのがマナーね」

「察していただいて、ありがたい限りでございます」

 マヤちゃんは、素直に朝倉くんの意見を採用してくれた。

 ちょっと申し訳ない気もするけど、ここは甘えておこう。

「立ち話もなんですから、こちらへどうぞ」

 マヤちゃんは、そう言って私達を部屋へと案内してくれる。

 中央をぶち抜く長い廊下、等間隔に配置された美術館みたいに大きい絵画、二階へ続く階段はまるで宝塚の男役が降りてきそうだし、天井からはぎらんぎらんしたシャンデリアがぶら下がっている。

 いかにもお金持ちらしい、豪華絢爛な造り。

 初見の二人は、キョロキョロしながら歩いている。

 私達も、最初はそうだったよ。そして、この後出てくる手作りクッキーと、爺やが淹れた紅茶で、味覚的にも驚かされるがいい。

*********

 今日は、とっても楽しかった。

 男の人を家に呼ぶのはいかがなものか、なーんて、爺やは言ってたけど、翔太さんとケンジロウさん本人を見たら、考え直してくれた。

 お茶会の後に『お二人とも、よくできた御方でございました』だなんて、現金な事言っちゃって。

 『お嬢様が、こんなに早く、こんなにたくさんのお友達を作るとは、嬉しい限りでございます』とまで言ってた。

 こっちに引っ越してきて、最初に作ったお友達が、佳奈さんで良かった。

 前に居た所のお友達は、仲良くはしてくれたけど、他に人に渡したくない、自分達だけの味方にしたいみたいだった。

 それを感じてたから、ずっとモヤモヤしてた。

 でも、佳奈さんは違う。自分一人で独占しようとしないし、みんなが仲良くなるように気を遣ってくれる。

 さやかさんとこのみさんが仲良くなったのも、二人が翔太さんと仲良くなったのも、佳奈さんのおかげなんだって、みんな口を揃えて佳奈さんを褒めてた。

 マヤも、佳奈さんと友達になれたから、さやかさんやこのみさん、翔太さんとも友達になれた。

 ケンジロウさんとだって、あの場を収めてくれたのが、佳奈さんじゃなかったら、友達になれなかったかもしれない。

 でもどうして、佳奈さんは自分より、他の人を優先するの?

 佳奈さんなら、もっとお友達がたくさん居てもいいはずだし、独り占めしたい事だって、たくさんあるはずなのに、なんでそれをしないの?

 もしかして、人を信じられなくなる何かが、佳奈さんの過去にあるのかな。

 だから、自分より他人を優先しちゃう……とか?

 もしかしたら、不思議な喋り方も、自分を隠すために、別人を演じてる……とか?

 あんまり、考えたくない。佳奈さんの心に暗い所があって、その裏返しがみんなに対する優しさだなんて、思いたくない。 

 でも、もしそうなら、マヤに出来る事は、今日みたいにお茶会を開いたり、遊びに誘ったりして、佳奈さんを楽しい気持ちにする事だと思う。

 今日のお茶会、みんな楽しんでくれてたと思う。翔太さんが笑えば、このみさんが嬉しそうにして、さやかさんが笑えば、マヤが嬉しくなる。

 みんなが楽しそうにしてると、佳奈さんが

幸せそうに笑ってた。

 マヤは、佳奈さんにもっと笑ってほしい。もっとたくさん笑わせたら、きっと本当の友達になれるはず。

 本当の友達になれた時、佳奈さんの心の氷が解けて………、本当に、悲しい過去があるのかは分からないけど、もっと笑ってくれるはず。

 そのために、マヤは出来るだけの事をする。佳奈さんが、たくさんたくさん、心から笑ってくれるように。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。