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【4000view感謝】恋愛ゲームの世界なのに私は攻略対象キャラじゃないので情報屋になろうと思います  作者: フユめん


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情報屋は情報不足

「佐伯さん、聞きたい事があるんだけど」 

 放課後、朝倉くんが私の所にやってきた。

「はいはい、情報屋の出番ですね。どんな情報をお求めで」

 主人公が私を認識し、私の所へやってきた。

 恋愛は出来ないにしたって、こんなに早く目標達成されていいのか。

 私は内心の興奮を抑えつつ、努めて冷静な態度を取ることにした。

 朝倉くんにとっては、イベントですらない会話かもしれないが、私にとってはモブから情報屋に変わる瀬戸際かも知れないのだ。

「えっと……、藤原さんと仲良くなりたいんだけど、好きなものとか知らない?」

 知らない。けど、バカ正直に知りませんとは言えない。情報屋の名折れだ。

 情報屋ならば、こういう時どう立ち回るか。

「残念ながら、その情報は、まだ教えてあげる事は出来ません。顔見知り程度の仲で、急にプレゼントを渡しても、驚かれてしまいますよ。まずはお喋りでもして、警戒心を解いてからが吉ですね」

 とりあえず、現実での恋愛でも通用する話をしておく。というか、ゲームでもそういうシステムだった気がする。

 好感度が足りない相手にプレゼントをしようとすると『受け取れない』的な事を言われて、突き返されたはず。少なくともガールズサイド作品では。

「う……、確かに………。じゃあ、藤原さんとどういう話をすれば良いかな」

「世間話で良いんですよ。学校行事についての、打ち合わせという名目ではいかが?」

「なるほど、藤原さん、学級委員だし、良いかも。ありがとう佐伯さん、参考になったよ」

 朝倉くんは、爽やかな笑顔でお礼を言うと、意気揚々と出ていった。

 さてと、朝倉くんを追い払った所で、私は情報を集めないと。

 桜子ちゃんが今、どこに居るから知らないけど、鞄はまだ教室にあるからきっと戻ってくるはずだ。そしたら後をつけて、何かしらの情報を探り当てよう。

 と、思った直後、桜子ちゃんはすぐに教室に戻ってきた。

 桜子ちゃんが居ないタイミングで、朝倉くんに相談されて、相談が終わった途端に桜子ちゃんが帰ってくる。

 都合が良すぎる流れだけど、恋愛ゲームなんて、総じてそういうものだ。

 それじゃあ、後をつけてみるか。みんな帰るタイミングなんだから、少しくらい後をつけたって、変には思われないはず。

 桜子ちゃんが鞄を持ち、友達(私と似たようなモブ……羨ましい)と一言二言交わして、教室を出ていく。

 その後ろに、私も続く。下駄箱で靴に履き替え、校門をくぐる。桜子ちゃんの家までは、そう遠くないけど、寄り道をしそうな気配は無い。

 うーむ、下校中をつけるのは失敗だったかと思い始めた、その時だ。

 桜子ちゃんの姿が、何もない道の途中で、霧の中に飲み込まれるように消えて、見えなくなった。

「えっ!?」

 慌てて、桜子ちゃんが消えた辺りまで走って、桜子ちゃんが消えた境目に、恐る恐る手を伸ばしてみるが、特に何も起こらない。

 なんの変哲も無い道だ。自分の姿は消えないし、何かしらのイベントが起きたようにも見えない。

 何が起こったのか、立ち止まって考えてみる。

 ここはゲームの世界なのだから、現実世界の常識が通用しない現象もあるだろう。

「あ」

 ここで、一つの可能性に思い至る。

 この世界は、主人公である朝倉くんのための世界。

 学校外かつ、彼の認識していない所で起こった事は、ゲーム的には意味の無い事。だから、描かれない、省略されてしまう。

 だから、学校からも朝倉くんからも離れた桜子ちゃんは、姿が見えなくなってしまった………そういう事なんじゃないか。

 という事は………。

(情報収集出来ないじゃん!)

 姿が見えない相手の好みを知るなんて、出来る訳がない。見えてたって難しいのに。

 情報屋稼業、早くも進退窮まったり。

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