プロローグ
ー約二十数年前ークリーガァの王宮ー
この日は、国中の貴族達を集めて国王陛下の即位1周年を記念したダパーティが行われていた。
私はアデライン・フレイヤ。
フレイヤ公爵令嬢として、本来なら婚約者のアルバート・ベルスタインと共に来る予定だったが、残念ながら直前になって迎えに来れないとの連絡が入り1人で王宮へとやって来た。
そして婚約者の姿を見つけて側に行けば彼は見知らぬ女性をエスコートしていた。
その女性に面識は無くても、私には、その女性に心当たりがあった。
最近になって、ベルスタイン侯爵家に侍女となった女性だった。
そして、アルバートが、その人を何かと気に掛けていて、ただの主人と使用人とは呼べない様な関係である事も耳にしていた。
だけど、ここで会うとは思ってもいなかった。
そしてアルバートは私に向かってとんでもない事を言い出した。
「アデライン。君との婚約を破棄させてもらう」
「え?急に何を…」
その話に私は驚き、唖然とした。
そんな私を無視してアルバートは勝手に話しを続ける。
「私は真実の愛を知った。だから君と愛の無い結婚はできない」
私の婚約者のアルバード・ベルスタインは侯爵家の次男で私とは従兄弟の関係にある。
クリーガァでは女性の爵位継承は認められて居ない。
だからフレイヤ公爵家の一人娘である私は婿を迎える必要があった。
そして、その相手に選ばれたのが血筋と年頃が最も近い従兄弟のアルバードだった。
親同士が決めた家門存続の為の政略結婚。
その事もあり、お互い情熱的に愛を語り合う様な関係ではなかった。
それでも幼い頃から交流し成人し結婚したら王国の為、公爵家の為に力を合わせて夫婦として一緒にやっていけると思っていた。
だけど、そんな私の思いはあっさりと裏切られた。
私だって本音を言えば親から決められた相手では無く、自分で心惹かれた相手と恋をして結婚したかったけど、そんな事が許される立場ではないのも承知している。
婚約者が居る身で浮気した上に自分勝手てな事を言い出す、この男の為に泣くものかと私はそう自分に言い聞かせるてから顔を上げ言い返す。
「婚約破棄の件は承知いたしまた。ですが今日は国王陛下の即位をを記念したパティーです。ですから後程、正式な婚約破棄の手続きと慰謝料の話し合いをしましょう」
私はそう言って彼等の元を去ろうとした…。
その時だった。
「久しぶりに参加した社交の場だったが私に取っては実に僥倖だな」
そう言って観衆の中から、私の元に歩み寄って来る男性がいた。
王弟クライブ殿下だ。
そして殿下は私の前に跪き私の手を取り言う。
「婚約破棄をしたのなら、アデライン公女。どうか私の妻になって頂だけませんか?」
そう言われた。
(……え?えー?!)
いきなりの婚約破棄から突然、王弟殿下からの求婚に私は驚いて返事も返さずにいた。
クライブ殿下とは面識がある。
クリーガァ王国では、第二王子は騎士になり魔獣討伐に当たるのが慣例となっている。
クライブ殿下も、その慣例に乗っ取り騎士となって討伐隊を率いて魔獣討伐をしていた。
当然『黒い森』を領地にもつフレイヤ公爵領にも頻繁に来ていた。
だけど私には婚約者もいたし殿下に好意を持たれるほどに親しくした記憶は無い。
だから突然のこの申し出に驚いてしまう。
「あの、突然のお申し出に大変驚いております」
私は正直に自分の気持ちを答えた。
「貴女が驚くのも無理は無い。私の一方的な片思いだったのだから。フレイヤ領
で一所懸命に我々の討伐の準備や討伐から帰れば怪我人の世話や我々を労う為に必死に動き回る貴女に目が離せなくなっていた。我々騎士が何の憂いも無く戦えるのは後方で支えてくれる貴女がいたからだ」
「……そんな私達が安全に暮らせているのは、魔獣と必死に戦ってくださる騎士の皆様のお陰ですわ。それを支援するのは同然の事です」
「そんな素敵な貴女に心惹かれるのは自然の事だ。だが婚約者の居る貴女に私の思いを告げた所で困まらせと分かっていたから一生この思いは秘めておくつもりでいた。
だが先程、貴女が一方的に婚約破棄を伝えられたのを見て、このチャンスを逃したくなかった」
「…ありがとうございます。そのクライブ殿下のお気持ち、とても嬉しく思います//」
そう言われて私は精一杯本当の気持ちを伝えた。
こうしてたった一日で私の婚約破棄と結婚が決まった…。




