表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モンスター転生活 ──人間だった俺は、今日も獣の姿で欲を謳う──  作者: いちかわ
キリタチの谷 最上層

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

91/91

第91話 二度目の目覚め

「せんぱ」

「……ん」


 俺は倒れた身体を起こした。

 カミカゼに触れたままの前足を離し、ぽかんと呆けるサクラの顔を見る。

 そりゃあいきなり倒れていきなり起き上がったら驚くか。


「心配かけてごめん」

「えーっと……それはいいんすけど、その……とりあえず大丈夫っすか?」

「うん、大丈夫」


 …………。


 え、なんでみんな黙ってるんだ?

 もしかして、俺がカミカゼの記憶を見てた間になにか……そう考えている間に、ガルタは俺に冷水をぶちかける。


「……ウサミ、またアイツと変わったんじゃ」

「……え? な、なんでそうなるんだ」

「だって、さっきまであんなに取り乱してたのに……急に倒れたと思ったらすぐ起きて、起きたらなんともないみたいな顔して」

「いや、それは……色々あって」

「色々ってなに」

「えっと、説明が難しいな……」

「それは君がウサミじゃないからじゃないの」

「待ってくれよ、そんな畳み掛けないでくれ」

「だって早くしないと言い訳をする時間を作ることになる」

「言い訳ってなんだよ、それじゃあまるで最初から俺がアイツと変わってるって決めつけてるみたいな言い方じゃないか」

「だってカミカゼがこんななのにすぐ吹っ切れるなんて……」



 ──────カァァァァァァァ



「神の御前で言い争いとは随分度胸があるザマスね。そんな言い争いは置いて今はわたくしの質問に答えるザマス」


 キラーバードの鳴き声で耳がキンキンする……もう、色々ありすぎてどこから処理すればいいのか分からん……。


「……ん?」

「もごもご……」

「え! ちょっと、キラーバードさんもうちょっとだけ待ってくださいっす! カミカゼが……!」


 カミカゼ……そうだ、あんな会話したけどまだ助かるって決まったわけじゃ……


 そんな不安はよそに……裏返ったカミカゼの脚がピクピクと動き出す。

 サクラがカミカゼの上から降りると、バチィンという大きな音と共にカミカゼが海老のように跳び上がる。

 そして何事も無かったかのように着地し、触覚を忙しなく動かし始める。

 あまりにシュールな光景で、全員が黙りこくってフリーズしてしまう。


「……ふむ、微妙な空気というのはなんとも……手持ち無沙汰でいるのが不安になるな」

「カミカゼ……!」

「サクラか。自分が無事なのは君のおかげなのだろう……深く感謝する」


 カミカゼは上体を持ち上げ、曲げてお辞儀をする。

 サクラはズビッと鼻を鳴らしながら瞳を拭い、大きく笑いかける。


「どういたしましてっす!」

「……おかえり、カミカゼ」

「ウサミ……確かに自分たちは大きな山を越えたが、まだ家に着いたわけではないぞ」

「うん……紛れもなくカミカゼの返答で安心だわ」


 ふぅと息をこぼすと自然と筋肉が降り、今までずっと強張っていたのかと気づく。

 これでもう気がかりなことは……無いわけじゃないけど、一旦話をする余裕はできた。

 俺はキラーバードの方を見て頭を下げる。


「大変お待たせしました」

「随分と態度が変わりましたこと」

「まぁ……こっちの都合で待たせたのは事実だから」


 正直殺されかけた身としては謝りたくないが、キラーバードの許しがあって生存していられる現状でそうしないわけにもいかないだろう。


「……まぁ、大して待ってないザマスよ」

「それはどういう……」

「時間旅行は楽しかったザマスか? ……ってことザマス」

「!? なんで、それを……!?」

 

 俺は太陽を覆い隠すほどの巨体から降ろされる視線から逃れられず、ただ驚くことしかできない。

 額から垂れた汗が、キラーバードの鏡の光に反射してキラリと輝いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ