正義の理
「本当に良かったの?ユニ?」
とノア姉が俺に話しかけてくる。俺は拾われた過去を思い出してから頷き
「良いんだよ、義姉さん。だって俺がこの家にいる理由って魔交戦部隊に入隊する為だからね。だったらその役目を背負わないとね」
とノアにはっきりと言う。するとノア姉はため息を吐き
「それは違う。家の両親も言ってるでしょ。そんなのは影武者を雇って賄賂を渡せば良いって、だからあなたも士官学校に来なさい」
と少し怒りの籠った口調で答える。俺は首を振り笑いながら
「いや、無理だって。俺は頭良くないしね」
「はあ、ユニは転生者でしょう。だったらその知恵を使えばいく上手く行くでしょ」
「いやいや、無理だって。平和な環境からの転生者だよ無理だって、それだったらスキル『発想進化』を使ってさ、国の役に立てば義姉さんの出世に繋がるよね」
「はあ、平和な世界なら尚更戦争に出向くなんて無理でしょ」
「でも、俺は最強クラスの力を持っているよ」
「いや、力を持っているだけよ。ユニは。そんなの力に振り回されるだけよ」
「大丈夫だって、暴走なんてしないから、、っと」
と俺は言った後、魔石を使わずに魔法を使い火を手に纏わせ
「ほら、魔石を使わなくてもこんなに操れるよ」
と笑顔でノア姉を見る。
「暴走だけが振り回されるって、はあ、駄目ね」
と盛大にため息を吐く。
「義姉さんが言う事も分かるけどさ、どっちも駄目そうなら力が使える方に行くのが自然じゃない」
「私は嫌なのよ。弟がこんなくだらない世界の為に戦って疲弊するのは」
と遠い目をして語り出した。いつものあれかと思いながら黙って聞く。
「この世界はくだらないっていつも言っているでしょ。昔魔王が平和の為に自分を悪者にして世界を一時平和にした。その後どうなったか知っているでしょ」
「その後、エルフと人間が徒党を組み、魔族を滅ぼして、そして月日が経ち、スキルの恩恵に浸かった人間は魔法が使えなくなった、そしてまた月日が経って、誰かが魔法の利便性に気付き魔法を使っているエルフを危険視、いや妬み、そして色んな大義名分を作り、滅ぼしたと」
「ええ、そして今、魔石で魔法を使える事を知り、魔石の鉱山、魔石に耐えうる金属の鉱山を巡って色んな大義名分を作り人間同士で争っているの。こんな世界くだらないでしょう」
とノア姉また盛大にため息を吐く。
「でもさ、誰かが戦争の前線に立たないとさ、駄目じゃない」
「だから、ユニじゃなくてもいいでしょ」
「いや、俺が立つよ」
「どうしてよ!」
「義姉さんがいつも言っていると同じ様に毎回言うよ」
「あの話」
「うん、俺は神からこの世界を平和にしてくれって頼まれてこの世界に来たんだよ。だから平和にしないとね」
「そんなの聞き流しなさいよ」
「いや、おれにしか出来ないと思うからやってみるよ」
「はあ、分かったわ、だけどいつでも逃げ帰って来なさい。いや、すぐに逃げ帰って来なさい。分かったわね」
「はい、はい。分かってるって」
と適当に返事をするとノア姉は真剣な顔をして
「絶対に逃げ帰ってくるのよ」
「分かったって」
と俺は適当に返事をする。




