ワケ有り品も歓迎します・9
一時は泣きそうになった七歩が、急に『勝ち』を確信して興奮し出している。
この急激な彼女の感情の変動についていけず、
「―ほんとに~?」
と、疑いの眼差しを向けた陸だったが、七歩が何かを答えようとしたところで、彼女のスマホの着信音が鳴った。
ランドセルからスマホを取り出した七歩は、
「―七生からです―。ちょっと いいですか?」
そう言って、七歩は、弟からのラインを確認した。
「―キリヤが…、今日 少なくとも18人は連れ込んで、店だけじゃなく、2階の広間にも『モノ』を置き始めた…―って…」
陸にも聞かせるつもりで、七歩は七生から届いたメッセージの内容を読み上げた。
「―うかうかしてる時間は あんまり無いってことか―…。
わかった―。それを止められるか、犠牲者が もう1人増えるだけかは知らんけど、直ぐ行くよ、これから―、君達の家へ―、」
僅かな寂しさを滲ませた微笑みを浮かべ、陸は七歩に告げた。
「―ありがとうございます。―でも本当に、私を信じて下さい―、あなたなら、『ご神体』に勝てるはずです―! 間違いなく―!」
―そう断言できる理由は ちゃんとあるのだと言う七歩だが、話せば長くなるので、それは万城目屋に向かう道すがら話すということになった。
そこで陸は、当面万城目家に連泊する為の荷造りの時間を貰い、その間 七歩は、陸が使ったコップと、自分が飲んだ麦茶のペットボトルを洗い、片付けるなどして彼を待った。
ノースフェイスのリュックサック1つにまとめた荷物を抱え、身支度を終えた陸は、そこでスマホを手に、七歩に1つ願い事をした。
「―キリヤの写真データですか―?」
「―そう、持ってたら、俺に送ってほしいんだ。あいつは ここを知ってるだろ? 俺が敵対するってなったら、ここに住む夏美に何か悪さをしにくるかもしれないし…、だから万一に備えて、前もって、夏美に注意喚起しておきたい―、」
「―たしかに そうですね―、何枚か、隠し撮りした写真はあるので送ります―、」
七歩は これまで『奴ら』の動向を探る為に集めたデータの中から、キリヤとジロー様の顔がバッチリ写った2枚を選び、アドレスを交換した陸のスマホに送った。
その画像を添付したラインを夏美に送り、火の元と戸締りを確認すると、陸は七歩を引き連れ、夕闇の街を一路、決戦の舞台、万城目屋へと向かった。
―夕方5時。
間もなく今日の勤務を終える夏美のスマホが震え、1件の着信を知らせた。
周囲の目を忍び、こっそり開いてみたスマホの画面は、恋人・陸からのラインの到着を告げている。
いつものように、心を弾ませ、彼からのメッセージを開いた夏美は、そこに添えられた見知らぬ男女の2枚の写真と、まったく思いがけない、寝耳に水の、彼からの報せを目にすることになった。
〔仕事おつかれ~。 頼まれたモノは買って来たから、お楽しみに!
…で、急で ごめんけど、今から例の『質屋神』と戦ってきます。
上手くいったら 問題の質屋で 住み込みで働かせてもらえるらしいンゴ。
しばらく帰れないかもしれんけど、心配はしないように。
あと、写真の人は、『質屋神』の手下らしいから、見かけたら要注意だからね!
(さわると危険!!)
じゃあ また 連絡する〕
ここまでお読みくださり、誠に ありがとうございます。
引き続き、明日も お楽しみいただけましたら幸いです。




