千文字の疑念
千文字の呪い持ち同士はずっとお話できるって本当ですの~~~~!?!?!?
知りませんでしたわ~~~~~!!!!!
根拠を知りたがったが、適切なジェスチャーが思い浮かばず、
スケッチブックに木の根と左手を描こうとした。
「ふふ、根拠の話よね。 根っこの絵はいらないわ」
どうして根の絵を描くことがバレたんだろう。
千文字姫の呪いは、令嬢達の生活をガラリと変えた。
呪いにかかった者は当然縁談への影響を気にして、
表向きは病に伏せったとか、旅行とか、
無難な言い訳をして引きこもってしまう。
解呪の魔法は神聖院主導で端から試されたが、
どれも役に立たなかったという。
神聖院にて転生処置を受ければ、
令嬢の精神は一時的に保護され、
異世界からやってきた転生者の精神が
代わりに呪いを受けることになる。
肉体が滅びるのが先か、
呪いを解くのが先かという一時しのぎには良いが、
誰もが呪いを隠すため、研究も進め難く先行きは暗い。
呪われた令嬢たちの主な行き先は、
余裕のある貴族家でなければ神聖院直属の修道院へ送られるか、
呪いのことを知らない遠い土地へ嫁ぐか、
運が悪ければ口が聞けないことをいいことに
娼館へ売り飛ばされるかのどれかだ。
その後どうなるかは想像に難くない。
イザベラ様と話す機会が得られるとしても、
女性相手に結婚してやれるわけではない。
地位があっても、言葉を奪われた令嬢がどれほど無力なものか。
イザベラ様に会ったというだけで、
呪いにかかったことが噂として広がるかもしれない。
だからこそ分からなかった。
呪い持ち同士が千文字以上話しても問題はないということは、
千文字以上話そうとしなければ証明できないはずだ。
「ロートヴェル子爵家の双子姉妹が自殺した話はご存知かしら」
私は頷いた。
ロートヴェルのターニャとメリー。
双子同時に呪いにかかってしまい、絶望の末自殺したという。
「これを読んで」
イザベラ様が渡してきたのは
ロートヴェルの薔薇に蔦の紋章の封蝋が2つ押された封筒だった。
――私たちは二人でたくさんお喋りしてた 役立てて
二人の間に何があったかは知らない。
壮絶な恐怖と闘ったのか、
あるいは何らかの絶望が二人を最後のお喋りに駆り立てたのかもしれない。
「残り少ない千文字を使ったのでは、信じざるを得ませんね」
もちろんそれだけではない。
私は一つの仮説を立てていた。
「私も同じ結論を出したわ。
今日はたくさんお喋りしましょ。 普段黙っているぶんまで、ね」
イザベラ様は嘘は言ってない。
ただ、多分本当のことも言っていない。
彼女は未来視か、時間に関する何らかの魔法を使っている。
転生ものにループものも混ぜる気ですの~~~~~!?!?
ちょっとわがままセットすぎませんこと~~~~~~~~?????




