第32話 好きですから
「希空…?」
「うん、希空。この会話ずっと聞いて貰ってたよ~?」
この人悪魔みたいな人だな。
じゃあさっきの兄失格とか聞いてたんだな。
「希空って休みじゃねぇのか?」
「んー、あー2人には休みって伝えたね。全然学校いるよ。陸斗には…、希空に仕事があるって伝えるように仕向けたから…。」
この人、ちゃんと準備してんの頭おかしいだろ。
「希空ー!おいでー!」
「お姉様、そんなに大きな声を出さなくても聞こえてます…。」
「あ、そこにいたんだ。」
「はい、お兄様に見つかるかと思って少し焦ってました。」
希空の声は隣にあるもう1つ東屋の方から聞こえてきた。
「お姉様、お兄様がこちらを覗いていればバレてましたよ。」
「その時はその時だって、それに陸斗が見るわけないでしょ。」
「…お兄様、お話は聞いていました。」
「ああ、そうか。それならもう聞かせてくれないか?希空がどうしたいのか。」
いい雰囲気だけど、思ったことが1つだけある。
なんでここに俺巻き込まれてんだ?普通に家族間だけで何とかして欲しい、俺は家族みんなで話すなんて無くなってるんだから。まだ病室で母さんと姉さんと話すくらいだし。父さんが帰ってこないのが悪いか。
「…お兄様、私はお兄様の事を失格だなんて思ったことないです。」
「希空…。」
「確かに、お兄様は厳しかったかもしれません。ですけど、一緒に仕事をしている方たちに出会わせてくれましたから。仕事も楽しいですし…。」
「…。」
「お兄様、だから、その…。気を落とさないでください。私は、お兄様のこと好きですから。」
こいつ、ほんと優しすぎじゃねぇか?今までの生徒会長の行動に対しても怒ってないから言えんだろうな。
「あ、けど陸斗?少し絢星くんと約束してることあってさー…。」
「海音、もう僕は希空に口出しする気はないよ。だからもうそれ以上は言わないでくれないか。」
「無理かも、絢星くんにも伝えないといけないことだし。それと希空に関することだからさ〜、ね?」
何の話だ?急すぎて何もわかんねぇんだけど。
希空に関すること、か。
「いや、希空の口から言った方がいいか。希空、伝えてあげてー。」
「え…、あ、はい。わかりました。」
「ん、俺と約束してること、なんかあったか?」
「あの、これから土曜日には、お世話になってもいい、ですか…。」
…あぁ、あれか。食費さえ入れてくれれば別にいいんだけど。
「海音、ほんとにどういう約束をしているんだい?」
「んー、食費だけ渡したら希空の事見てくれるって約束。あの写真見せたと思うんだけど希空だいぶ絢星くんに懐いてるんだよね。意外でしょ?」
「お姉様、写真って…?」
「希空が絢星くんに膝枕されて頭撫でられてる写真だよ。へへ。」
「…〜〜っ!消してください!お願いします!」
「いやー、これはいい写真だからちょっと…。 」
「もう……!」
希空はかなり顔を赤くして恥ずかしがってるのがわかる。こういうのは慣れてないのか?
「いや、海音さんが消しても姉さんも写真撮ってたから意味ないぞ。」
「絢星さんは止めなかったんですかっ!」
「…?あぁ。」
「…絢星さんの、馬鹿…です……。」
カシャ
今シャッターを切った音したよな。
「ふふ〜ん。希空の可愛い写真ゲット〜。」
「海音、後で僕にも送ってくれないか。」
「陸斗、希空の可愛いところ私と同じで好きだもんねー。後で送るね〜。」
「お姉様!消してください!お兄様も、なんで貰おうとするんですか!」
兄妹仲がいいことで。俺なんで付き合わされてんの。てかHRまでまだ時間あんのかよ。
「じゃあ絢星くんと希空は先に戻っていいよ。私と陸斗は少しだけ残って話すからさ。」
「そうか、じゃあ先に戻らせてもらうからな。」
「もういいです…。戻りましょう、絢星さん。」
「そうだな。この場にいたら希空は、また恥ずかしい写真撮られるぞ。」
「絢星さん、意地悪ですね…。」
そんなこんなで俺と希空は屋上を後にして、教室でHRが始まるまで土曜日に何作って欲しいかとか、まぁ色んな話をした。




