第29話 新鮮だからな
ヴーッ、ヴーッ
あれから時間はそこまで経っていない。
「綺星くん、電話だよ〜?」
「あー、悪い、今動けないから取ってくれ。」
「はいはーい、って…、この人綺星くんのお姉ちゃんだ。」
姉さんか、なんの用だろ。
俺が姉さんかけてきた理由を考えていれば…。
「あ、もしもーし。私綺星くんの友達ですー。」
「いや、は?なんで出てんの?」
その後も姉さんとの話は盛り上がっているようだった。俺は膝の上で寝る希空の寝顔を眺めるくらいしかやることがなかった。
「あ、はーい、わかりましたー!」
ようやく電話が終わりそうで安心した。
ツー、ツー、ツー
「いやー、面白い人だねー。」
「そうか、俺はいつも話してたからそんなわかんねぇけど。」
「そうだねー。あ、私ちょっと外行ってくるよ。」
「…?あぁ、わかった。」
急に外行ってどうしたんだろ。
別に興味ないしどうでもいいけど。
「それにしても、希空はいつまで寝るつもりなんだ?」
もうだいぶ寝てるよな。
そのくらい疲れてたってことか?別に俺の膝の上が落ち着くならそれでいいけど。
カシャ
さて、後で海音さんのスマホは取り上げるとして。
「なんで撮った。」
「いやー、綺星が子供を膝の上にのせるなんて思ってねぇから新鮮だからな。」
ん?この声、姉さんじゃね?
「海音って子が今の綺星の状態教えてくれたから様子見に来ただけなんだけど。」
「いやー、ほんと面白いお姉ちゃんだねー。」
「何この2人、まじで会わせない方がいいタイプすぎるだろ。」
「あ?実の姉に向かってその言い方はなんだ?体調崩したっつぅから昼ごはん作ってやったのによ。」
「それは感謝してるけど。それとこれとは話が別だろ。」
「いやー、姉弟仲がいいようで。…陸斗にも見習って欲しいんだけど……。」
「海音ちゃん、なにか言った?」
「何も言ってないでーす。」
いや言ってただろ。
まぁ姉さんは知らなくてもいいか。
希空は生徒会長のこと好いてんのか分かんねぇんだよな。
「……陸斗は希空と親以外の人間は嫌いよりだよ。私も好かれてないから。」
「陸斗って誰?海音ちゃんの知り合い?」
「あぁ、陸斗は海音さんの双子の兄で生徒会長だよ。」
「へー、どうでもいい情報だわ。」
なら聞くんじゃねぇよ。
こんなん直接言ったら殺されるから言うの我慢してよかったぁ。
「てかそこの寝てる子希空って言うんだ。」
「そういや言ってなかったな。」
「紬さーん、希空の初めての友達綺星くんなんだよー。」
「そっかー。綺星って友達いたんだ。」
「マジで馬鹿にしすぎだろ。普通に希空以外にもいるからな?」
「悠真でしょ?あと妹の…結衣だっけ、綺星が昔よく遊んでたの。」
「そうだな、それ以外にも学校に行ってなかっただけで別にいるからな?」
「いや知ってる。姉舐めんな。」
舐めてんのはどっちだよ。
「えー…、姉弟喧嘩してる?」
「してない、これと喧嘩してたら疲れる。」
「だから実の姉に向かってその言い方なんだよ。まぁいいや、さっきの言い方的に陸斗ってやつとは喧嘩してんの?」
「…喧嘩は、してないかな。適当にあしらわれるから。親は産んでくれたから、希空は頭いいから好きとかいう単純な理由だから私とは合わないけど。」
「ふーん、一回会ってみてぇな。」
絶対色々言うつもりだ。
ダブルでめんどくさいから生徒会長には頑張ってもらうしかないな、これ。
「あ、私も写真撮っとこー。」
カシャ
「おい。」




