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過去編 ハメられそうになるアーサー

「どうも。ありがとう。ミネルヴァくん」

アーサーはミネルヴァに荷物運びを手伝ってもらっていた。


アーサー専用の研究所にミネルヴァと二人きりになる。ミネルヴァは荷物運びを終えたというのにまだアーサーを見つめニヤニヤしている。


「ミネルヴァさん? ありがとう」

アーサーは感謝の意を伝えて早く帰るよう言う。


「アーサー先生。私アーサー先生のことがカッコいいと思ってて」

髪をクルクルしながらミネルヴァはアーサーを見つめる。


「そうか。ありがとう。でも、僕は君のことをそんな風に見てないから出ていって欲しい」

アーサーは明確に拒否した。


「先生!」

ミネルヴァはアーサーに詰め寄り、その豊満な胸を押し付けた。


「おいっ! やめろ!」

アーサーは叫ぶ。


「この部屋に連れ込んだの先生じゃないですか。絶対期待してましたよね」

ミネルヴァは顔を赤らめながら言う。


「……君これは罰ゲームかなにかか?」

アーサーは言う。


「えっ?」


「くだらないからやめたほうがいいな。それに、俺が期待するのは生徒たちの健全な成長だけだ」

アーサーは拒否する。


「誰にも言いませんから……」

ミネルヴァはアーサーを見上げながら、アーサーの太ももを触った。


「やめろ!」

アーサーは研究室から出ていく。


「ちぇっもう少しだったのになぁ」

ミネルヴァは残念そうだ。


ミネルヴァが研究室を出るとそこにはフィンが居た。

「おい。どうだった?」

フィンは聞く。


「全然だめ。乗ってくれないんだもん」


「次は俺の番だな」

フィンはニヤリと笑った。



アーサーはミネルヴァから離れて廊下を歩いていた。ミネルヴァから受けたセクハラ被害を学長に訴えるためだ。


アーサーはノックをし、学長室に入る。


「学長。生徒よりセクシャルハラスメントの被害を受けました」


「なんですか? 一体」

アガサ学長は面倒くさそうだ。


「ミネルヴァさんより、研究室に入った途端、胸を押し付けられ誘惑を受けました」


「そ……そうですか」

アガサ学長は不思議そうな顔だ。


「学長! これは一大事ですよ! 教師たちでこの情報を共有し、ミネルヴァの両親にも伝えるべきです!」

アーサーは言う。


「えっ? アーサー先生! ちょっと待ってください! なにもそんな大事にする必要は……」


「大事ですよ。生徒が教師を破滅させようとしてきたんですよ? あの誘惑に乗ったら僕は破滅だったんですよ!」

アーサーは怒る。


「まぁ……まぁアーサー先生。ミネルヴァさんも出来心かも知れませんし……それに男と女なんですから……ここは……穏便に……」


「出来ません! 僕は自分を守る必要がありますから! ミネルヴァさんのご両親には僕の口から伝えます。そして、あったことを教職員に伝えます!」


「まぁ……まぁ……」


アーサーはアガサ学長に説得される。アーサーは真面目だった。学生たちの信頼を得るために必死だった。それをぶち壊そうとしてきたミネルヴァが許せなかった。


しばらくの話し合いの末にこの一件はアガサ学長に任せることになった。


学長室から出るアーサー。アーサーの心には生徒たちへの恐怖心が目覚めていた。まさか、生徒たちがあんなことをするとは……自分たちの弱い立場を生かして攻撃してくるとは……アーサーは困惑する


「あの……すいません。アーサー先生?」

ジュリアがアーサーに話しかける。厳しい顔つきからアーサーは少し柔らかい顔つきになる。


「どうした?」

アーサーは答える。


「相談したいことがありまして……」


ジュリアが言う。アーサーの目の前には学生のエリスとジュリアが居た。アーサーの目に恐怖の色が浮かぶ。まさかこいつらも……女の立場を利用して俺を陥れるつもりじゃ……


「先生! 見てましたよ!」

男の声がする。アーサーはそちらを振り返った。フィンだった。


「先生。生徒に手を出すとはねぇ……ミネルヴァ震えてますよ。急に先生から抱きしめられたって」

フィンはニヤニヤ笑っている。


エリスとジュリアはそのフィンの言葉に驚く。


「急に胸を押し付けてきたのはそっちだぞ!」

アーサーは反論する。


すると急にミネルヴァはシクシク泣き始めた。

「わ、私……怖くて……先生に個室に呼ばれて……それで急に押し倒されて……」


「どうするんですかぁ! 先生!」

フィンは嬉しそうだ。


「一体何の騒ぎですか!」

アガサ学長まで入ってくる。


「学長! この子がアーサー先生に無理矢理抱きしめられたって!」

フィンが大嘘を言う。


「違う!!」

アーサーは否定すると

「あの……ミネルヴァさん。それは本当なんですか?」

エリスがか細い声で聞く。


「本当よ! アーサー先生がケモノみたいになったんだから!!」


「あの……正直に言ってください」

すると、エリスが魔力を秘めた目でミネルヴァを見る。


「えっ? あ……うそ……嘘です。私の方からアーサー先生を誘惑しました」

ミネルヴァは急に正直に言い始めた。どよめく周囲の人間。アーサーはエリスを見る。一体なにをしたんだ……この子……


「今のはエリスさんの能力でしょう。エリスさんは生まれつき魔力が高いので、魔力の低い者に命令を強制させることが出来ます」

アガサ学長が説明する。


「ならば真実はミネルヴァさんの狂言ということでしょう。よってミネルヴァさん。あなたは退学です」

アガサ学長は言い放った。一瞬にして青ざめるミネルヴァ。


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生き別れの兄が近所のスーパーでレジ打ちをしてたんだが……
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