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エリス目線 ドラゴンの卵が孵化する前に

アーサーが街に急襲したブラックドラゴンを討伐してから数時間後……


エリスやタージ・ハーらの討伐チームはドラゴンマザーの討伐にヴァロンド遺跡に向かっていた。


ヴァロンド遺跡は古代エルフが使っていた居城である。美しい大理石で出来たその塔はもはや廃虚になっている。だが、そこをドラゴンたちはねぐらとして選んだ。


「グオオオオオオオオ!!!」


ブンッ!!

ブラックドラゴンが尻尾を振った! エリスを薙ぎ払って殺すためだ!


すると


ドクン!


エリスの能力

『天魔降伏』が発動する。周りは白黒の世界になりブラックドラゴンの動きが止まった。


そしてブラックドラゴンの後ろに召喚される地獄の門! そこから巨大な黒い蛇がエリスを殺そうとしたブラックドラゴンに噛みつき門の中に引きずり込む。そしてギィ……っと門が閉じられる。バタン!


元の色のある世界に戻った!


「うおおおおおお!!!」

討伐チームは歓声を上げる。エリスの能力『天魔降伏』それはエリスを攻撃する相手を地獄に転生させる絶対結界。


神々であろうと悪魔であろうとその能力からは逃れられない。地獄に転生したブラックドラゴンは永劫の苦しみを負うことになる。


なぜならこの世界においては聖人は攻撃の対象になりやすいからだ。善悪の入り乱れるこの世界では善そのもののである【聖女】は悪人や邪悪なモンスターから目の敵にされてしまう。


暗闇を好むものは光によって自らを照らされることを嫌う。善の光によって自らの醜悪さを見せつけられることを一番嫌う。


そして、数々の聖人がこの世から悪として認定され消し去られた。


そこでこの宇宙の意志は一人の聖女をこの世に作り出した。決して侵されることのない、決して傷つけられることのない絶対善。


自ら剣を持って戦えない聖女にこの宇宙の意志は最強の盾を与えた。


彼女を侮辱したものも、攻撃したものも全てその罪に応じて相応しい地獄に落とされる。


理不尽に悪を殺し尽くす絶対善。それが【聖女】の力だった。


「ありがとう。エリス。エリスが居て良かった。じゃなきゃ俺たちは死んでいた」

タージ・ハーがエリスを褒める。エリスはタージ・ハーにニコッとっと笑い


「さぁ! この調子でマザーを倒しましょう」

と言った。


多くの支柱が並ぶヴァロンドの地下宮殿。天井はとてつもなく高く、そして広い。ここにドラゴンマザーがいるハズだ。


トーチライトで辺りを照らしながらエリスたちは歩く。


すると


「ゴオオオオオオオオオオオオ!!!」

とドラゴンの咆哮が響いた。


するとゴゴゴゴゴ!!!!

と地下宮殿か揺れる。


「地震か?」

「いや……これはドラゴンの仕業では……」

身構えるエリスたち。


そして、巨大なT字路になっている通路の奥が明るくなった。


「まさか……ドラゴンが光弾を放ってこの地下宮殿の天井をブチ抜いたんじゃ……」

討伐チームの誰かが言う。


「そんなまさか……ここから逃げ出すつもりか?」

口々に言う討伐メンバーたち。


「行きましょう!」

エリスは走った。駄目だ! まさかここから逃げ出すつもりか? そうはさせない! なんとかして攻撃させて『天魔降伏』で討伐しないと!


このまま逃したらモントバーンの街が……アーサー先生が危ない!


エリスたちは走る。通路がどんどん明るくなる。エリスは通路を曲がった!


するとバサッ! バサッ! バサッ! これまで見たことのないほどの巨大なブラックドラゴンが天井から射す光に照らされながら羽ばたいている! ドラゴンマザーだ!


まずい!


エリスたちはドラゴンの方に向かう!


だが


「グオオオオオオオオオオオオ!!!」

ドラゴンマザーは錐揉みをするように一直線に空に向かって羽ばたいた!


「遅かった!」

タージ・ハーが言う。ブラックドラゴンのマザーは地上に出てしまった。マザーを逃してしまった。


「だが……あやつ大事な卵を放ったらかしにしておる。ワシらがここに来た目的はこの大量の卵を破壊することじゃ」

と言って討伐チームのドワーフのおじさんが大量の卵を指さした。


そこには緑色のネバネバしてそうな粘液で覆われたドラゴンの卵があった。気が狂いそうなほどの数の卵。高さが5メートル近くあるとてつもなく巨大な卵だ。白く分厚いブラックドラゴンの卵。これを内側から自力で破るなんて……そりゃあれだけの強大な力を持っているワケだ。エリスはそう思った。


「よしっ! ドラゴンマザーは街にいる守護チームに任せて俺たちはこの卵を破壊するぞ! 」

タージ・ハーが言う。


「じゃが一つ一つ壊すのは手間じゃのう。ここは土魔法でオイルを作り、炎魔法で燃やす。ブラックドラゴンのゆで卵と洒落込もうかのぅ。ちょうといい換気口も開いておるからのぅ」

ドワーフのおじさんは言う。


「これがあと2日くらいで全て孵るとか……本当にゾッするぜ」

別の男が言う。


すると……ピキピキピキピキ!! 


「なんじゃ……この音は……」


バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!

バキッ! バキッ! バキッ! バキッ!


無数の音が連鎖するように響く。

「卵が……孵る……」


するとバキッ! バキッ!


卵の中からブラックドラゴンがその凶悪な顔を出した。


「ひいっ! もう孵化するぞ!」

「全員攻撃しろ!」

タージ・ハーがそう叫ぶと同時に


ブラックドラゴンが卵を内側から打ち破り外に出てきた! そして羽を使い羽ばたく!


「もう駄目じゃ! 遅すぎた!」

ドワーフのおじさんが叫ぶ!


ブウウウウウウウウウウウ!!!!

ブウウウウウウウウウウウ!!!!

ブウウウウウウウウウウウ!!!!

ブウウウウウウウウウウウ!!!!

ブウウウウウウウウウウウ!!!!

ブウウウウウウウウウウウ!!!!

ブウウウウウウウウウウウ!!!!

ブウウウウウウウウウウウ!!!!

ブウウウウウウウウウウウ!!!!

ブウウウウウウウウウウウ!!!!


と無数の産まれたてのドラゴンが卵から出てきて羽ばたく!


そして!


「伏せろ!」

タージ・ハーは叫んだ! 全員一斉に伏せる!


すると一斉にブラックドラゴンのヒナは群れは飛び立った!


エリスたちのすぐに上をブラックドラゴンが飛んでいく!


あるものはドラゴンマザーが開けた大穴から外に飛び出し、あるものは巨大な地下宮殿を通り地上に出た!


「まさか……モントバーンの街に向かうつもりじゃ……」

タージ・ハーが呟く。


「先生……!」

エリスはそう呟いて床を掴んだ。


「お願い逃げてアーサー先生!」

エリスは強く願った。



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