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嘘まみれの学校説明会

「全ての責任をニナに押し付けましょう!! あいつがやったことにするんです!!」


アガサ学長が叫ぶ。ここはアルケイン魔法学校。学長室。アガサ学長は激怒していた。


アーサー・ウォードが職場を辞めてからこの学校はとんでもないことになっていた。休講に次ぐ休講。バレてしまったのだ。レイモンドがニナと共謀してアーサーをハメたことが。全てゴシップ紙に載ってしまった。


それで連日取材の嵐だった。レイモンドとアガサ学長は話し合った。それで全ての責任をニナに押し付けることに決まった。学園を守るためだから仕方ない。



今日行われる学校説明会でニナ自身の口から説明してもらう手はずになっている。全部自分が計画したことだと。レイモンド先生やアガサ先生を責めないで欲しいと。自分が全ての責任を取って辞職すると。


レイモンドは正直残念だった。ニナは確かにバカ女だが体だけは良かったからだ。しかし、アーサー達に脅されて全部洗いざらい話すとは……やっぱり信用できるのは自分だけだな。レイモンドはそう思った。


「クソッ! それもこれもアーサーが新聞社に暴露したお陰で!!」

アガサ学長は憤慨する。暴露したのはアーサーではなかったがお得意の脳内変換で勝手にアーサーを悪者にしていた。


学園の中庭から声が聞こえた。


「アガサ学長は辞めろーーー!!」

「オーーーーー!!!」


「レイモンドも辞めろーーーー!!」

「オーーーーー!!!」


「ニナも辞めろーーーー!!」

「オーーーーーーー!!」


「学園は隠蔽を今すぐやめろーーー!!!」

「オーーーーーーーー!!」

学生たちのシュプレヒコールが聞こえる。


「クソッ! どいつもこいつも!」

アガサ学長が憎々しげに見つめる。


コンコン。ノックの音が鳴った。


「入りなさい」

アガサ学長が言うとニナが怯えながら入ってきた。


「ニナ。あなたが今からやることは……分かりますね?」

アガサ学長がニナを睨みつける。


「はい。あっ……アーサー先生をハメたのは全部私のどっ……独断でやったことです。アガサ学長やレイモンド先生はなんにも悪くないです」

ニナが怯えながら言う。


すると

「よしっ!」

アガサ学長がそう言った。


「ついでにこの前学校であった女子の体操着の盗難もあなたが関わったことにしなさい」

アガサ学長が言う。


この前学校で事件があった。女子学生の使い終わった後の体操着が大量に盗まれたのだ。実際の犯人はもちろんレイモンドだった。だが、レイモンドは口が上手いためなんとかアガサ学長を説得し

ニナに全部の責任を押し付けるように仕向けた。


レイモンドがニナを見てニヤリと笑う。


「そう言ったら……本当に別の学校の学長に私を雇うように紹介してくれるんですか?」

ニナが震える声で言う。


「はい。もちろんです。私を信用しなさい」

アガサ学長が微笑む。


アガサ学長の知り合いに同じ魔法学校の学長がいる。その学長にニナを紹介することになっていた。教員として採用するよう紹介するのは本当だった。ただ、教員としてニナを採用してもらって壮絶なパワハラで追い詰めてもらう予定だったが。


今までの経歴を偽り、男性教諭をたぶらかし下半身を使って味方につけ、あまつさえレイモンドを誘惑するとは……絶対にこの女許せない! 地獄を見せてやる! アガサ学長はそう思っていた。


アガサ学長は薄々分かっていた。レイモンドが学長を騙しニナと共謀してアーサーをハメたと。だが、レイモンドにべた惚れだったため、レイモンドが悪人だと認められなかったのだ。


だからアガサ学長は本気でニナが全て仕組んだと信じ込んでいた。


「そろそろ時間ですね。ではニナ先生。頼みますよ」

アガサ学長が言った。



ここはアルケイン魔法学校。大教室。大勢の学生たちがザワついていた。ここで今新聞で取り沙汰されているニュースについての説明が行われるためだ。


一つはニナとレイモンドの学内での淫行。


一つはニナがレイモンドと共謀してアーサーをハメたこと。卑怯な方法でクビに追い込んで、それを隠蔽していた。教師としてあるまじき行為の説明だ。


その他アーサーの土魔法の授業の引き継ぎをする人がいない問題や、イジメ隠蔽問題、男性教諭(主にレイモンド)の学生に対するセクハラ問題、女子体操服盗難問題、裏金問題などが様々な問題我山積みだった。


「全くとんでもない学校ですわ! そう思いません? ミア!」

貴族の令嬢であるフレデリカが侍女に聞いた。


「全くおっしゃる通りです。こんな酷い教師たちに教えられてたんですね。私たち」

ミアがフレデリカに言った。


「アーサー先生は別ですよ。あぁ! 悪貨が良貨を駆逐する。とはこのことですね。まともな教師がイジメられて酷い教師しか残らないんですね。そりゃこんな不祥事が起こりますわ」

フレデリカが言った。


ザワつく学生たち。


するとアガサ学長が教壇の上に立って説明を始めた。


「はい! みなさん静かにしてください。なおこの説明会の盗撮、盗聴は固くお断りします。見つけ次第除籍処分にしますのでお気をつけください!」

アガサ学長はいきなり学生に対して脅迫を始めた。引いたように静まり返る学生たち。



フレデリカはそれを聞いて苦々しく呟く。


「悪が勝とうなんてこのフレデリカが絶対に許しませんの」

と。


その他の学生たちも小声で呟く。

「最悪だ。自分が今までやってきたことを棚に上げて脅迫か?」

「除籍って言えば黙ると思ってるんだな」

「下半身で動いているバカ学長になんで命令されないといけないんだよ」

「プッ……それな」


学生たちが次々に呟いた。


こうして嘘まみれの学校説明会が始まった。




読んでくださってありがとうございます!


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