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ざまぁ展開 レイモンド哀れ!!

「えっ? 本当にいいのか?」

俺はフレイヤに聞く。俺とフレイヤはステーキ屋での食事の後会計をしていた。


「大丈夫だ。払わせろ。久しぶりに楽しい時間だった」

フレイヤが会計をする。


「それに無職の男に払ってもらったら胸が痛むからな」

フレイヤは笑う。


「そっか。ありがとう。フレイヤが友達で良かったよ。本当にそう思う」

俺は言うとフレイヤは真っ赤になっていた。



俺たちは公園に来ていた。大きな噴水が見える公園だ。

「ほらあそこ日陰があるぞ!」

俺は指をさす。


「よし競争だ!」

と言ってフレイヤは走り出した。俺も笑いながらフレイヤを追いかける。


「よしっ! いいところを取ったぞ!」

フレイヤははしゃぐ。


「はぁ……はぁ……」

俺は公園のすぐそばにジェラート屋があるのが見えた。


「フレイヤ。ジェラートを買ってくるよ。なにがいい?」

俺は聞く。


「そうだなぁ。じゃあ当ててみてくれないか? 今私がどれを一番食べたいか」

フレイヤはいたずらっぽく言う。


「そうだな。頑張ってみるよ。一番無難なの買ってきてもいい?」

俺は笑顔で尋ねる。


「だめだよ。ちゃんと私が好きなの狙って当ててみて!」

フレイヤは言う。


「そうかわかった。行ってくる」

俺は立ち上がる。俺とフレイヤは実は大学以前に幼いことから友達だった。


時々俺たちは幼い時のテンションに戻る時がある。

俺はジェラート屋の前に立った。


「へい! いらっしゃいませ! なににしましょう!」


俺はメニューを見る。フレーバーはいちご。もも。りんご。ピスタチオ味もある。ここは……やはりラムレーズンかな。あいつ好きそうだもんな……あっ! ミックスもあるぞ。あいつ昔から桃が好きだったからな。


ここは桃とラムレーズンのミックスでいくか!


俺はそうだな。俺もミックスで。四つの味の一つでも当たればいいやって感じで……


俺はピスタチオといちごでいくか。


「すいません。この桃とラムレーズンのミックスが一つ。ピスタチオといちごのミックスが一つでお願いします」


「はい。かしこまりました」


店員がそう言うと俺にジェラートを渡してくれた。


俺はフレイヤのところに帰る。


「フレイヤ! フレイヤの好きな味はこれだろ! ラムレーズン!」

俺はジェラートを手渡す。


「ラムレーズン……?」

フレイヤは怪訝な表情だ。


「あっ! そうかこっちか。ピスタチオ味!」

俺は俺用に買ったジェラートを渡した。


「ピスタチオ味?」

またもや外したみたいだ。


「外したな。アーサー。私が好きなのはピーチ味だぞ! まぁラムレーズンも好きだけどな」

というフレイヤ。


「いや! ミックスなんだこれ。二種類の味が楽しめる! ほらピーチ味もここにあるぞ!」 俺が説明する。


「アーサー! 無難は駄目だって言ったじゃないか。ちゃんと狙って当てて欲しいって。四種類も買ってきて! それじゃどれか当たるだろ」

と言いながら笑うフレイヤ。


「いや、どうしても当てたくて。ほら早くたべないと溶けるよ。ジェラートくんも言ってるよ。溶けて一緒の味になるから早く食べてーーって」

俺はジェラートを人形劇の要領で振りながら言う。


すると、プッっとフレイヤは吹き出した。


「分かった。正解でいいよ。アーサー」

と言ってフレイヤはジェラートを手に取った。

「やった!」

俺は答えた。



食べ終わったあとフレイヤは俺の太ももを枕にして横になっていた。ちょうど俺がフレイヤを膝枕をしている形になる。


「なぁアーサー。アーサーは今どんな仕事をしてるんだ?」

フレイヤが聞く。


「俺は今家庭教師の仕事をしている。ナイトブリッジ家に住み込んでね。そこのお嬢様がたに魔法を教える仕事だ。それにソロの冒険者としてたまにクエストを受けたりして報酬を得ているな」

俺は答えた。


「ナイトブリッジ家。貴族か。学園で何百人もの前で講義してたお前を家庭教師に雇うとは……贅沢なもんだな」

フレイヤが言う。


あぁ。そうだと思う。というか仕事内容はフレイヤの妹たちに魔法を教えるだけで今までの給料の五倍はもらっていた。


今までがどれだけやりがい搾取をされていたのかが分かる。はるかにホワイトな職場で生徒たちも優秀。心底楽で楽しい職場だ。今までが一体なんだったんだろうと俺は思う。


「まぁ俺を求めてくれるってことが嬉しいんだ。正直昔のアガサ学長は悪夢みたいだったよ」

プッっとフレイヤは笑う。


「まぁ確かにあの豪邸を作るのに我々を駆り出したのは悪夢以外の何物でもなかったな」

とフレイヤは言う。


そうだ。思い出した。アガサ学長は豪邸に住んでいる。その建設のために我々教職員を駆り出して建築作業をさせたのだ。もちろん無給で。最初ホームパーティーでもやるのかなと思いながら俺たちはアガサ学長の家に行った。そしたらトンカチを渡されたのにはびっくりした。それで教職員の間で当時大問題になったのだ。学長の業務の私物化だと。


「アガサ学長は教職員を奴隷にしか思っていないのが分かった瞬間だったな」

俺は言うとフレイヤはプッっと笑った。


「なんというか世知辛いな。我々がどれだけ生徒たちのために頑張っていても、上の人間がバカなお陰で全てその頑張りが無駄になる。兵士を一番多く殺すのは敵兵ではなく、無能な上官だってことか」

フレイヤは皮肉っぽく言う。


「そうだな……その通りだ」

俺は同意する。


「よしっ!」

フレイヤは起きた。あっ……なんだか名残惜しい。

「これからは私も私の人生を生きないといけないな!」

と言ってフレイヤはニコッっと笑った。



俺はフレイヤを家まで送り届けたあとナイトブリッジ家まで帰っていた。


「いけません! アーサー様は現在いらっしゃいません! お客様を屋敷内に案内するわけにはいきません!」

と召使いが言う。


「そこをなんとか! アーサー先生を! 学園の危機なんです!!」

レイモンドの声だ。どうやらナイトブリッジ家の鉄製の扉の前で口論しているようだった。


「どうしましたか?」

俺が聞くと


「先生!」

とレイモンドが俺に抱きついてきた。俺はそれをひょいとかわす。


「うおっ!」

ドサッっと惨めに地面に倒れるレイモンド。


「レイモンド……先生……」

俺は引く。


「アーサー様。こいつがアーサー様に会わせろとしつこいんです! ホントにしつこくて! 最悪ですよもう!」

怒る召使い。


「なにをしに来たんですか? レイモンドさん」

俺は冷たく言い放つ。


「アーサー先生に学園に戻ってきて欲しいんです! お願いです! この通り!」

レイモンドは地面に頭をこすりつけながら土下座をする。うっ……惨めな姿だ。


「ですからそれは無理ですって。僕は学園で冤罪を着せられた。そんなところに帰りたくなると思いますか?」

俺は聞く。


するとニヤリとレイモンドが笑った。

? なんだ。なにを企んでいる。


「先生には副学長の座が与えられます! もしアーサー先生が学園に戻って頂けるなら副学長の椅子はあなたの物です!」

レイモンドは言う。


あっ! これか。フレイヤが言っていた。全部俺に面倒くさいことをさせて責任を押し付ける方法というのは……


「いや。無理です」

俺は答える。


「えっ!??」

レイモンドは心底びっくりした表情だ。


「新しい職場が決まってるんです。今辞めたらそこを裏切ることになります」

俺は冷静に告げた。


「ですが! アーサー先生! 分かりました! そこまでおっしゃるなら! 今までの給料の1.2倍支払いましょう! これでどうか戻ってきて下さい!」

レイモンドが言う。


いや俺は今元の給料の五倍貰ってるんだが……なにを言ってるんだこいつは……


「1.2倍ですよ! 1.2倍!! 今までのアーサー先生の給料が3000クローネなら3600クローネですよ!!」

レイモンドが言う。いや今その五倍の1万5千クローネ貰ってるんだが……


「すいません。お断りします。迷惑なのでお帰り下さい」


「お願いします!! では負けに負けて1.25倍にします!! これならどうですか?」

1.25? 刻んできたな……ていうか、なんだそのやる気のないオークションみたいな値段のつり上げ方は……


しかし、一教職員であるこいつが給料の決定なんてできるハズもない。もはや自分がアガサ学長と繋がっていると隠さなくなってきたな。こいつ。


「おねがいじまぁずううう!!!!!!」

レイモンドは頭を下げる。うっ! 惨めだ。思わず同情心が出てきてしまいそうだが……ここは心を鬼にして


「すいません。お断りします。なにもかも全部遅いです」

俺は答えた。


「あーざぁーーーぜんぜーーー」

泣きながらレイモンドは叫ぶ。俺はナイトブリッジ家の門の中に入った。ガチャンと俺とレイモンドの関係の終了を告げるように門扉が閉められた。




面白かった。


クスリとした。


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生き別れの兄が近所のスーパーでレジ打ちをしてたんだが……
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